小学校/総合/ボランティア/バリアフリー                                                             制作・実践:三村 弘

TOSSLAND

ボランティアの授業〜バリアフリー

1.主題名  「目の不自由な人のために」

2.ねらい 

①アイマスクを使った体験活動を通して、目の不自由な人の日常生活における困難さやその心情を知る。

②目の不自由な人に配慮した「人にやさしい設備・物」を知り、その意味を正しく理解する。

 

3.指導にあたって

①「バリアフリー」についての考え方を以下に簡単に述べる。

「バリアフリー」には、以下の2つの意味がある。


○障害をもった人たちや、お年寄りが安心して暮らしていくのを妨げる、いろいろな障害(バリア)を取り除くこと。
○障害をもった人たちと、そうでない人たちとの間の壁をなくすこと。

 

 今回は、「目の不自由な人」にスポットライトをあてた「バリアフリー」のボランティア授業を行うことにする。

②アイマスクを使った体験学習を試みる。身近な物に目を向け、ボランティアの授業を体感させるのである。

 体験活動をすることで、子供たちの心に訴える多くの発見があると考える。

③活動させる意欲付けになるものは、「物」である。効果的に提示して、思考を促していくようにする。

 特に身近にある物の中に、共用品の開発におけるバリアフリーがあることに気付かせたい。

④体験活動中心の展開にする。従って始めからグループ態形にしておく。

⑤対象学年は、3年生であるが、どの学年でも追試可能で実践してみたい内容である。

 

4.準備

・道徳ノート等筆記用具
・資料提示用カード
・お菓子4種類
・アイマスク(グループに1つ)
・お金8セット(1万円札・5千円札・千円札・五百円玉・百円玉・五十円玉・十円玉・五円玉・一円玉の9種類)
・写真資料と実物投影機
・バリアフリー商品(テレカ・電話・カセットテープ・TVリモコン・ビール缶・シャンプーなど)

 

5.授業の流れ

 日付を板書した後、いきなり次のように問う。

発問1

土崎駅(最寄りの駅)で、目の不自由な人が立って困っています。あなたが、助けて自分の小学校まで一緒に行くことになりました。どうやって、手助けしますか。(課題カードを黒板に貼る。)
 考えられる方法を、ノートに箇条書きでたくさん書きなさい。

 

と言って机間巡視し、ノートに赤○印を入れ、数名に指名予告しておく。

指示1
ノートに赤ペンで○付けられた人立ちましょう。
そのノートに書いたことと同じことをやってもらいます。先生は目の不自由な人の役をやります。

 一人ずつ前に出て演示させる。教師はアイマスクを付ける。

・「ぼくは、声をかけながら連れてきます。」「君の席まで連れて行ってくれ。」と言ってやらせる。
 机にぶつかり、うろうろする教師に笑いが起こる。

・「わたしは、手を引っ張って連れていきます。」これも同じ様にやってもらう。
 声よりもいいが、スムーズとは言えない。

・「ぼくは、おんぶします。(笑い)」「おい。大丈夫かぁ。やってもらうよ。」当然の事ながら、うまく行かない。

 

 「なかなか難しいものだね。」と言って次の問いをテンポよく投げかける。

発問2
目の不自由な人が、机にある4つのお菓子のうちの一つ(  )を食べたがっています。どうやって、場所を教えてあげますか?自分の手を貸さないで、上手に教えて欲しいのです。

 「実際やってみようか。」と言って、全員を1箇所に集める。

(集合)→(お菓子を4つ上下左右に置く)→(1人アイマスク)→(教える人)

・「右側!」「もうちょっと、上だってば!」など声をかけて、何とか取らせようとする。

 

 頃合いを見計らって次の様に説明する。

説明1
実は、確かな方法があるのです。実際に、目の不自由な人が、どのようにして食べ物の場所を教えてもらうかというと・・・・。(カード3,6,9,12を出して)このように「時計」で教えてもらっているのです。
3時のところに(  )があるよ。6時のところに(  )があるよ。9時のところに(  )があります。12時のところには(  )があるよ。どうぞ・・・って。
こう言うと自分でとって食べることができるのです。

 「この方法で、もう一度やってみましょう。」と言って、先ほどとアイマスク役を交替してやる。

(お菓子の位置を変える)→(一人アイマスク役)→(全員で教える)

 速くできるようになって、歓声や拍手が起こる。

 ここで、いったん席に戻す。

指示2
さて、私達がいつも何気無く使っているものの中に、目の不自由な人のために役立つ工夫をしているものがあります。
どんなものに、どんな工夫がしてあるのでしょうか。アイマスクを使って勉強してみましょう。

グループにアイマスク1つとビニールの袋詰めしたお金を渡す。これだけで、教室は騒然となった。

ざわめきを制してから、言う。

指示3
今渡したのは、私達が使っているお金です。このお金をアイマスクをして、それぞれを区別して当ててみて欲しいのです。
1円玉から始めて、5円玉、10円玉・・・・そして1万円札という順にやってみなさい。必ず全員がやるようにしましょう。
頼りになるのは自分の手だけですよ。では、始めなさい。

 子供たちはワイワイガヤガヤ交替しながら体験活動を楽しんでいる。

・「1円玉や五百円玉なんかは分かるんだけどなあ。」

・「札のお金当てるの難しーい。」「やったあ。当った!」などの声が教室に飛び交う。
 ここには、できるだけ多くの時間を与えて充分活動できるようにする

 

 ほぼ全員が体験した頃合いを見計らって、

説明3
手を下において、こちらにおへそを向けましょう。
どうでしたか。お札なんか、なかなか当てにくかったでしょう。
でもね。目の不自由な人は、すぐ分かるそうですよ。
実はねえ。こんな秘密があるのです。

と告げてカードを黒板に貼る。

千円札には、右下に1つ、くぼみ(ア)
5千円札には、右下にたて2つ、くぼみ(イ)
1万円札には、右下に横2つ、くぼみ(ウ)

 

指示4
どうでしょう?本当にあるか確かめてごらん。

「あっ、あるよ。先生!」と子供たち。

指示5
あるでしょ。やさしく触れてみると分かるよ。じゃあ、もう一度、お札当てに挑戦してみてください。どうぞ。

回ってみると、得意げに見事に当てる子供も出てくる。

説明4
どうでしたか。指先や手が、目の代わりになっているのですね。そういうふうに作られているってこともすごいですね。

 子供たち、「なっとく。」といった表情。  お金とアイマスクを回収してから、

説明5
みなさん、こういうものは、実は身近にいっぱい有るのです。(前に集める。)見てください。これらが、全てそうなのです。

・プッシュホーン電話・・・⑤のところにポツ
・テレカ・・・・・・・・・刻みの部分が手前
・ビールの飲み口・・・・・点字(ジュースと区別)
・カセットテープ・・・・・▲などの凹凸
・シャンプーの入れ物・・・リンスと区別するためのギザギザ

など一つ一つ見せながら「バリアフリー」の品物に気付かせる。

指示6
とくに電話の⑤のポツですが、ここさえ分かっていれば、その回りの数字が分かるってわけです。薄暗かったり、見にくかったりするときもかけられるのです。
ちょっと(   )さんに、自分の家に電話かけてもらいましょう か。

 電話番号を聞いてから、アイマスクをしてかけてもらう。(数人)上手にできて拍手が起こる。

  席に戻す。

指示7
では、最後に街角で見つけた写真を見てください。(見せながら)こんなところにも工夫があるのです。
 

 何枚かの写真を実物投影機でTVモニターに映し出して見せる。(コンピュータなら、なおいいだろう。)

「これは何だろうね。」とか問いかけながら1枚1枚見せていく。

横断歩道拡声器  公衆電話  火災報知器 横断可器具 鉄板の溝塞ぎ
「あっ。これ知っている。」「見たことあるよ。」など子供たちのつぶやきが聞こえる。

残念ながら時間がきたので、以下の次の「?」は次回考えることにして、問いかけの言葉をかけるだけで授業を終えた。

①この違いは何なのだろうね。

 

②どうしてこれは、黄色なんだろうね。(弱視者の人のため)

 

③鉄板の溝ふさぎ、何のために置かれているのでしょうね。(車椅子の人のため)

 

指示8
今日の授業の感想を簡単に書きなさい。

 授業を終える。

 

6.終わりに

・このようなボランティアの学習は、実際に体験してみると言った活動が大切である事を再認識した。

・物の準備、特にお金の準備等は大変だが、1年に1回くらいは、是非ともやってみたい内容である。

・他にも「バリアフリー」の物が身近に存在していないか、調べさせるのも1つの手立てである。

・盛り沢山で欲張り過ぎたきらいがあるが、1つの授業に1つの活動をじっくり取り組ませると言った展開も考えられる。

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