(C)Two-way/小学校/道徳/命                                                    制作・実践:三村 弘

HOME                 TOSSLAND

                               ’99.11.26

命の授業〜いのちのバトン
「相田みつを」の詩を使って

                           

○ はじめに

 対象学年は6年生である。

 卒業学年がやはりふさわしいかと思われる。

 これまでの小学校生活をふり返り、自分・友達・家族を見つめ直す絶好の時期に成りうるからである。

 自分たちを支えてくれている人たちに感謝しようと言っても、その言葉だけでは子供の心は動かない。

 ここでは、「相田みつを」氏の作品を使う。(「にんげんだもの」文化出版局より)

 この詩から、子供たちは何を感じ、心を揺さぶられることであろう。

 実践は、清田浩文氏(熊本県)の修正追試ということになる。

 以下、授業の記録である。

 

○ 授業記録


指示1 自分の大好きな花を一輪、ノートに描きなさい。
絵です。花を描いて。茎を描いて。最後に根を描きます。簡単でいいです。
 

「知っている花なら何でもいいんだよ。」「何の花好き?」「この花は何かな?」

「大好きな人にプレゼントするような花を大きく描きなさい。」など机間巡視しながら声かけしていく。

 「パンジー」「かすみそう」「ひまわり」・・・思い思いの花を描いている。


発問1 みなさんは、花・くき・根のうちどの部分が一番好きですか。
ノートにどれか一つ書きなさい。
 

 座らせたまま何人かに尋ねたあと、挙手にて人数を確かめる。


「花」・・・29人、「くき」・・・1人、「根」・・・2人
 

 


発問2 「花」が好きだと答えた29人の人に聞きます。どうして「花」が好きなのですか?
 

 指名なし発言させた。


・きれいだから。
・くきは緑色だけど、花はいろんな色があるし、形もさまざまなのでいい。
・花の部分は種になるから。
・かすみそうが好きなんだけど、かわいい。
・くきは色がほとんど決まっているけど、花はいろんなのがある。
・ひまわりを描いたんだけど、そのたくさんの種があって、何回も同じ花を咲かせるからいい。
・好きなのはたんぽぽだけど、白い綿毛にも変化したり、花の形も変わっていくからいい。
・花はいい臭いがするから好き。
・いろいろな色があるし、花がないとさびしい。
・花は一番目立つし、はなやかだから。
 

 


指示2 「根」が好きだと言った二人、そのわけ教えてください。
 

 


・花はいばっているというか、根は縁の下の力持ちというか、そういうところがすき。
・抜いたら、形が複雑になっているところがおもしろい。
・ジャガイモだって根だから。
 

 


指示3 「くき」って言った人、わけをいってくれる?
 

 


・好きなのはコスモスだけど、いっぱいあると風に揺れてゆらゆらするところがいいです。
 

 


指示4 いいんだよ。その人の感覚だからね。
これから先生がある詩を書きます。同じようにノートに視写しなさい。
 

(板書)(    )は空欄。


 花をささえる枝
 枝をささえる幹
 幹をささえる根
 根は(     )だなあ。
 

 


指示5 書き終わった人から、立って一回読みなさい。四角の部分は、ホニャララとかなになにと読みなさい。
 

 全員一回読み終えたあと、尋ねる。


発問3 さて、最後の部分、空欄になっています。
この中に、ある言葉が入ります。どんな言葉が入るのでしょう。
□に直接書かないで、三行離れたところに考えて書いてみてください。
 

 3分後、全員に言わせた。座ったまま答えさせた。

 子供たちは、次のような言葉を入れた。


・かっこいい・美しい・地味・丈夫・すごい・強い・大変・力強い・元気・力持ち
 

 


説明1 この詩を書いた人は、相田みつをという人です。このように書いています。
赤鉛筆で書き込みなさい。(板書)「みえねん」
 

 


指示6 もう一度、みんなでこの詩を読みましょう。さん、はい。
 

 「みえねん」を入れて一斉音読させる。


発問4 さて、きれいに咲いている花が自分だとしたら、根にあたるものは何だと思いますか。(間)自由に頭に浮かんだものをノートに書いてごらんなさい。
 

 3分後、全員に指名なし発言させた。以下のものが出された。


・お母さん・あした・宇宙・父母・家族・脳・親・おばあちゃん・おじいちゃん・大好きな人・自分の心・心・心の強さ・友情・おしり・栄養分・足の裏・心臓・骨・地球・愛情・命・才能・自分の気持ち
 

 


説明2 なるほど。いろんな考え方があっておもしろいですね。
でも、よく見てごらんなさい。
「花」を「自分」という言葉におきかえて心の中で読んでみなさい。(間)
相田みつをさんは、この詩で何を伝えたいのでしょうね。(間)
わたしたちは、いつももこのように明るく生きていますが、身近にありながら感じられないものってたくさんあるような気がします。
なくなってから気づく大事なものってあると思うのです。
 

 このように言ってから、もう一つの詩を静かに語るように読み聞かせた。

 題名は読まない。


   いのちのバトン

父と母で二人
父と母の両親で四人
そのまた両親で八人
こうして数えてゆくと
十代前で、千二十四人
二十代前ではーーーーー?
なんと、百万人を超すんです

過去無量の
いのちのバトンを
受けついで
いま、ここに
自分の番を生きている
それがあなたのいのちです
それがわたしのいのちです
 

 二回目は図を描き簡単な説明を加えながら読んだ。

 二度目は題名も読んだ。


指示7 今日の学習で、あなた方はどんなことを学びましたか。
ノートに今日の授業の感想を書きなさい。
 

 3分後、指名なし発言。次から次へと20名ほど発表した。


・人間は家族などの支えなどで生きていると改めて感じました。
・自分だけでなく自分の親、そのまた親、そのまた親と命がつながっていることに気づいた。自分はとても多くの人の血を受け継いでいるんだなあと思った。長生きしたいです。
・最初は何の授業なのかさっぱり分かりませんでした。でも、相田みつをさんの詩で、自分は見えない人や陰になっているものに支えられているのだということを感じました。「いのちのバトン」という詩を聞いたときは、すごく不思議に思いました。
・数多くの人たちから生まれた私だということは、考えられないけれど、なんだかおもしろい。
・何億何兆と人が命のバトンを渡しているなんてすごいと思いました。
・自分を支えてくれている人は、いっぱいいるんだなあと思いました。
・人間はやっぱり一人では生きてはいけないんだなあと感じました。
・見えないところでがんばっている両親とかに感謝しなければと思いました。
・私は一人だけで生きているんじゃなくて、陰で支えてくれている人がいることを改めて感じました。根とくきがあるからこそ、花が輝いているということがわかりました。
・自分が昔からずっとバトンが来ていて、今ここにいるなんてあまり実感がないけれど、生きていることに誇りを持って、立派に生きていきたい。
・自分は何万人の人の血を受け継いでいるんだなあと思いました。一日一日をしっかり生きたいです。
・「いのちのバトン」を聞いたとき、ひと言ひと言がずっしりきて、この命は大切だなあと思った。1000年後には、僕の子孫もいたらいいなと思いました。
・二十代前で百万人を越すなんて驚いた。今ぼくは、何万、もしかすると何兆人目かもしれない。だから、今の命を大切にしようと思う。
お父さんやお母さんの支えがあって、今の自分がいるということが分かった。
・私は、目には見えないけれど大切なものはたくさんあると思いました。
命はいろんな人から受け継いできていて、そして今私が生きていると考えると、なんだか奥深い何かがあるような気がします。
いろんな人たちの命のバトンがあったから生きていると改めて分かりました。やっぱり命や目に見えない大切な何かを大切にしたいです。
 

 最後に、次のように淡々と、しかし語るように静かに子供たちに告げて授業を終えた。


説明3 今まで築き上げてきた、そして受け継がれてきた命のバトン。
あるところで不用意にポトッと落としてしまったら、もうそこで途絶えてしまう。
だから最近のニュースや報道などで、いたましい子供たちが自分で自分の命を絶ってしまうニュースを耳にすると、実に心が痛みます。
悲しみは深く深く大きいです。
君たちが言ってくれたように、あなたたちが生まれてくるまで、お父さんお母さん、そしておばあちゃんおじいちゃん、たくさんの人が関わっています。
もちろん何代も前のことなんか私たちは知るよしもないが、その人たちのおかげで、今の自分がいる。
今あなたたちは「花」で、まさしく「花」で、大事にご両親に育てられています。
そういう見えない支えのおかげに感謝しながら、そして君たちは次に枝に幹になっていくんです。そして「根」になるんだよ。
「家族」。いつも温かな御飯。当たり前にあるもの。お父さん。お母さん。
なくなったらどうなるのでしょう。(間)
誕生日ってありますよね。
先生はこのごろ思うんです。
誕生日は、自分をこの世に生んでくれたお母さん、お父さんに感謝する日。そう思うんです。
12歳になった。12歳まで元気に育ててくれてありがとう。父母のおかげだよって感謝する日だと思うんです。
お誕生日にお母さんに花束を渡せたら何て素敵なことでしょう。
終わります。
 

 

                               HOME