TOSSLAND

小学校/3年生/音楽/器楽指導/リコーダー/変化のある繰り返し                                                    制作・実践:三村 弘                          

リコーダー入門指導例
    〜「変化のある繰り返し」を使って

                      

1.はじめに

 

 3年生から初めてリコーダーという楽器を手にすることになる。

 子供たちは、初めて手にした喜びで、すぐにでも吹いてみたい期待と衝動にかられる。これは、至極当然のことである。

 しかしながら、このリコーダーという楽器奏法は、初めの指導を誤ったり、疎かにすると大きな個人差を生む結果になりかねない。

 6年生にもなったのに、右手を上にして吹いている子を見かけることもあり、どきりとさせられる。

 上手な子はどんどん上手にもなっていくが、苦手な子はどんどん嫌がり、音楽そのものの好き嫌いに及ぶことも決して少なくない。

 何より初めが肝心である。丁寧に扱い、リコーダーは楽しいという気持ちを抱かせる導入を試みなければならない。

 ここで、紹介するのは、入門指導の一例である。

 もっと楽しく、意欲的にリコーダーに出合う指導法は、数多くあるに違いない。拙い指導に批評いただきたい。

 

2.授業の流れ


指示1
左手を出しなさい。自分の手のひらに息をやさしくかけてごらん。
 

 


指示2
あったかい息をかけると、ガラスがくもるでしょ。
できるだけくもらないように、涼しい息をかけましょう。
 

 

 「いいねぇ、そんな感じ。」と言いながら、乗せていく。


指示3
唇を少し開けて、ストローに空気を通すような、やさしい息をかけましょう。
 

 「上手!リコーダーも、これと同じなんだよ。」と誉める。


指示4
今度は、先生のまねっこをしてみよう。
「やまびこ」になるんだよ。いいかい?
 

 


T「オーイ!」(大きな声で)  C「オーイ!」(大きな声で)
T「オーイ!」(中の声で )  C「オーイ!」(中の声で)
T「オーイ!」(小さな声で)  C「オーイ!」(小さな声で)
 

 「なかなかいいぞぉ。反応が実にいい。」とか言って、


指示5
次は、先生が、リコーダーで音を出すから、その音の高さで「やまびこ」の声を出してね。
 

 


T「シー。」(シの音で)    C「オーイ!」(シの音で)
T「ラー。」(ラの音で)    C「オーイ!」(ラの音で)
T「ソー。」(ソの音で)    C「オーイ!」(ソの音で)
 

 こんな調子で、「ファ・ミ・レ・ド(低)・ド(高)」の音もテンポよくためす。教師と子供のやりとりが楽しい。

 ここまでは、一切リコーダーに触れさせない。

 「とっても上手でした。」「リコーダーすぐ上手になるよ。」と誉め言葉をかけてから、いよいよリコーダーを持たせる。


指示6
右手で、リコーダーの下の方を軽く持ちなさい。
 

 持たせるだけである。ここでもまだ、吹かせない。徹底する。


指示7
右手はそのままです。
左手は、「シ」の指使いで、軽くリコーダーをおさえるように持ちましょう。
 

 隣同士確かめさせる。きちんと「シ」の押さえ方をしているか、教師は全員を確認する。


説明
リコーダーを持つときは、必ず、いつも左手が上。右手が下にきます。
 

 


左手・・・上、右手・・・下
 

と板書する。

 

 そこで次のように指示する。


指示8
「シ」の音をふいて、「やまびこ」をやろう。
 

 


T「シー  」(短く)     C「シー  」(短く)
T「シーー 」        C「シーー 」
T「シーーー」(長く)    C「シーーー」(長く)
 

 「初めてなのに、大変上手ですねぇ。」と大げさに誉める。

 そして、


      やさしい息づかい
 

と板書して、「これが大事なのです。」と告げた。


指示9
いったん、リコーダーを置きなさい。
 

 


指示10
これから先生が、ある曲を2回ふいてみます。
どう違うか、よ〜く聞いていなさい。
 

 『メリーさんの羊』の1フレーズのみ演示する。

 (1回目)・・・・タンギングなし

 (2回目)・・・・タンギングあり


発問1
1回目と2回目、どこが違って聞こえましたか。
 

 

 ・1回目は、一気にふいている感じ。息継ぎしていない。伸びたゴムみたい。

 ・2回目は、聞きやすい。弾んでいる感じ。この曲に合っている。

 


発問2
1回目と2回目を比べて、どっちが上手に聞こえましたか。
 

 「2回目。」という声が断然多い。

 そこで、次のように説明する。


説明2
実は、2回目はねぇ。こんな言葉を使ったんだよ。(と言って次のように板書。)「ふえことば」難しい言葉で、これを別にタンギングとも言います。トゥ・トゥ・トゥという言葉なんです。
 

 


  タンギング
 

 


指示11
では、ふえことばで「やまびこ」できるかな?
声に出して、先生の真似をしてごらん。
 

T「トゥ・トゥ・トゥ」     C「トゥ・トゥ・トゥ」

T「トゥー・トゥ・トゥ・トゥー」C「トゥー・トゥ・トゥ・トゥー」

T「トゥ・トゥ・トゥ・トゥー」 C「トゥ・トゥ・トゥ・トゥー」

 

 

 教師がやさしく「トゥ・トゥ・・・」と言うことが大事である。

 リズムやテンポを変化させながら、いろんなバリエーションで、タンギングを楽しむことがコツである。


指示12
先生がリコーダーをふくから、みなさんは、ふえことばで歌ってみよう。
 

T「トゥ・トゥ」(リコーダーで) C「トゥ・トゥ」(歌声で)

 これも、いろいろ多彩に試してみる。


指示13
ないしょ話するよ。ないしょ話で歌ってごらん。
 

T「トゥ・トゥ」(リコーダーで) C「トゥ・トゥ」(歌声で)

 先ほどよりも、やさしく囁くように。

 テンポ良く、徐々に早くしていくと、子供たちは乗る。

 最後は、ゆっくり静かに終わって締める。


指示14
それでは、リコーダー持ちなさい。「シ」の押さえ方です。
「右手は下になっていますか?」「左手は上ですよね。シだよ。」
 

 


指示15
さあ、リコーダーで「やまびこ」だよ。できるかな?
最初は「シ」の音だけでやろう。先生の後を追いかけなさい。
 

T「シ・シ・シー」     C「シ・シ・シー」

T「シー・シ・シ・シー」  C「シー・シ・シ・シー」

T「シ・シ・シ・シー」   C「シ・シ・シ・シー」

 


指示16
「ラ」の音でいこう。
 

 「ラ」の押さえ方を「シ」の時と同様にしっかり確かめて教える。

 同様に「やまびこ」をする。


指示17
今度は「ソ」の音だぞ。
 

 「ソ」の押さえ方を教え、同様に行う。

 

 「大変上手です。先生びっくりしちゃいました。すごいねぇ。」

 よくできたのなら大いに誉めまくりたい。

 最後に、「これは、できないだろうな。」「とっても難しいよ。」と言うと、子供からは、「大丈夫。できるよ。」の声も挙がる。

 うまくできなくて当り前なので、次時への意欲付けと考えて試みるとよいだろう。


指示18
では、「シ」から始まって、違う音が加わるよ。やってみようか。
 

T「シー・ラー・ソー」    C「   〃    」

T「シー・ラ・ラ・ソー」   C「   〃    」

T「シ・シ・ラ・ラ・ソー」  C「   〃    」

 

 結構できるものである。まだ、押さえ方がおぼつかない子も何人かいるが、その後、個別指導で全員「シ」の音は、きれいに出せるようになった。

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