´99.12.10
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環境の授業〜水の授業「今、水が危ない!」 |
1.主題名 「今,水が危ない!」
2.ねらい
地球上にある水のほんのわずかしか飲料水がないことを知り,
そのために私たちはどのように大切な水を確保していけばよいか考えることができる。
3.指導にあたって
私たち地球上に住む人間にとって,飲み水の問題は切実である。
地球は,水の惑星とも呼ばれているが,地球上の水の98%は海水である。
残りの1.7%は氷山,そして0.036%のみが飲み水なのである。
このような「水」の事実を通して,子供たちは飲める水の少なさを実感し,水の大切さを再認識するに違いない。
また,授業の終末部分では,我々人間は,この大切な水を確保するために,さまざまな工夫をしていることにも触れる。
その中でも,ダムの建設を採り上げ,必要であるにもかかわらず,
実際にダム建設を反対する住民がいることを突き付けることで,
子供らは森林伐採(自然破壊)と水の確保の両端でどうすべきか迷い,葛藤することであろう。
この授業は単発で終えたが,本来ならこれを入口にして森林破壊,自然環境を守る学習へと展開していくことが望まれる。
数時間の単元を組み,環境を扱った総合的学習として計画した方が,ゆとりと充実が図れるであろう。
対象は6年生。深澤久氏の修正追試である。
4.授業の実際
いきなり一人を指名して問う。
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発問1 あなたは,何ですか。 |
とまどいながら答える。「人間です。」
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発問2 そうですね。この中で,人間でないという人はいますか。 |
笑いが起きる。
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発問3 では,人間と植物の違うところは何ですか。 |
1分後発表させる。
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指示1 はい,やめ。1つでも書けた人立ちなさい。 |
大方次のようなものが挙がった。
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発問4 では,人間と植物の同じところは何でしょう。 |
同様に発表させる。
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・どちらも生き物で生きている。・子孫を残す。・地球上にある。・成長する。 |
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発問5 人間も植物もどちらも生きている生物ですね。 |
尋ねると,「食物」「栄養」「水」「空気」が出された。
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発問6 「空気」は当然ですね。地球には空気があります。私たちは自然に息を吸ったりはいたりして生きています。 |
ほとんどの子供たちから「水」という声が挙がった。
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発問7 そうですね。水がないと生きていけませんね。 |
子供たちは見当もつかないと言った表情で困惑している。予想通りである。
そこで用意して置いた容器を提示する。以下の5つである。
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作業後,手を挙げさせて人数を確認した。
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ここは,正解を告げた。
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説明 正解はこれです。(じらしながら「一升瓶」を持ち上げる。 |
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発問8 今,世界には何人くらいの人が住んでいますか。 |
「50億人。」一人答えた子がいた。大いに褒めた。「すごい!その通り!」
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発問9 地球上で,水を必要としているのは人間だけ? |
「違う。植物や他の動物も。」の声。
ここで別紙の方眼用紙を配った。
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発問10 この方眼紙のます全部が,地球上にある全ての水の量を表します。地球上にある水がこの方眼紙の全部を埋めるとします。 |
子供たちは自分の勘を頼りに思い思いに色を塗る。
2分後,意図的指名で発表させた。
その際,周囲に分かるように塗った用紙を掲げさせ,「このくらい飲めると思います。」と言わせた。
多く塗った子,少なく塗った子様々である。
発表するたびにどよめきが起こる。
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説明 正解は,・・・・このぐらいなんです。(じらしながらゆっくり提示する。子供からは「えっ?何も塗っていないよ。」という声。) |
子供たちはここで少なからずショックを受ける。「まさか。」といった表情である。
一気に間髪入れず問う。
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発問11 飲めない水の多くは何でしょう。 |
ほとんどの子がわからない。ここは,「海水です。」と告げる。
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説明 地球上の98%は海の水。1.7%が氷山。なんと!飲める水は |
板書しながら静かに言う。教室も一瞬,静寂が漂う。
子供らは信じられないのである。
しかし,これは事実なのである。
もっと飲める水があると思っていた子供たちに逆転現象が起こるのである。
ちょっと間を置いた後に問う。
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発問12 飲める水が少ないので,いつでも水が確実に手に入れられるように,私たちはある工夫をしています。 |
作業後,自由起立発言させる。我がクラスでは次のものが出された。
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どれも受容したうえで問う。
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発問13 ダムを作ると言いましたが,どうしてそういうことをするのですか。 |
「水を貯めるため。」と子供たちは言う。たたみかけるように聞く。
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発問14 ダムが必要だと思う人? |
数人除いてほとんどが挙手。
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発問15 ダムを作った方がいいと思う人? |
これもほとんどが挙手。
「みなさん,ダム建設に賛成なのですね。」と言って1枚の写真を黒板に貼る。
時間も押し迫っていたので,こちらで簡単に説明した。
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説明 これは,ある県のある地域でダムを建設することになったのですが,ダム建設に反対する人々がデモ集会を開いているところです。 |
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発問16 どうして反対していると思いますか。 |
ここは,簡単に聞くだけにしてみた。
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「なるほど。」とうなずきながら受け止める。
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発問17 では,もう一度聞きます。飲み水の確保のためダム建設は止めるべきだと思う人は○,いや仕方がないと思う人は×をノートに書きなさい。 |
人数分布を見る。
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数名にその理由を尋ねてみた。
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ここで終了のチャイム。
「どうしたらいいのでしょうね。授業感想文を書きなさい。」と言ってオープンエンドで授業を終えた。
5.おわりに
原実践のポイント及び修正点は以下の2点である。
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この授業が「環境を考える授業」になっていくためには,②の手立てが必要である。
そうでないと,ただ単に「地球上では飲み水が少ない」という事実を知るだけのものに成り下がってしまう。
これはこれで,強烈なインパクトを子供は感じるのだが,それだけでは,環境問題に迫る授業としてはいかにも弱い。
しかしながら,深澤氏はこの授業を環境問題(森林伐採に焦点を当てた)を考える学習の入口と位置付け,数時間の単元を組んで実践化している。確かに,そのほうが無理なくしかも発展性を持ったものとして展開していくことが可能であろう。
今後の課題である。
最後に,子供の授業感想文をいくつか紹介する。
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・ダムは絶対必要だ。自然破壊も反対だ。どうすればいいのだろう。 |