´98.11

                                                                                   NO.79

食の授業〜砂糖の害

 

1.はじめに

 いわゆる「食」を扱った授業である。

 砂糖のとり過ぎは、どのような害を人に与えるのかを学ぶ授業である。

 これを「道徳の時間」に扱うことにした。

 3年生を対象に授業を行った。戸井和彦氏の追試である。(「生きる力」を育む環境学習’98明治図書より)

 

2.主題名

    「砂糖をとりすぎると・・・」

 

3.準備資料

(資料①)非行少年の清涼飲料摂取状況のグラフ(「食原性症候群」大沢博著〜ブレーン出版P109より)
(資料②)一人当たりの砂糖消費量の比較(米国)のグラフ(「健康へのパスポート」松本英聖著〜技術出版P31より)
(資料③)「砂糖は体も心も狂わせる」(高尾利数・ペガサスの一節)

 

4.授業の流れ

 ここで扱う「砂糖」は、主として白砂糖のことである。

 砂糖のいいところについてまず尋ねた。


発問1 砂糖のどんなところがいいですか。
 

 口々に言わせた。


・甘くておいしい。
・疲れがとれる。
・紅茶などに入れると飲み物がおいしくなる。

 

 


発問2 では、砂糖を食べ過ぎると、どうなりますか。
 

 一番多かったのは、やはりこれであった。


 虫歯になる。
 

 そのほかにも、次の3つが出された。


・糖尿病になる。
・太る。
・頭が悪くなる。

 

これだけ出されただけでも、3年生としては、それなりに情報をいくらかもっていると思われた。

虫歯については次のように説明した。


説明1 砂糖が酸というものを出し、歯の表面のエナメル質というものを溶かしていくんです。簡単に言うと、これが虫歯の仕組みです。
 

 また他にカルシウム不足になってしまうことも付け加えておいた。

 次に、現代の人が、砂糖を食べる量がどう変化しているのか予想させた


発問3 さて、1915年の一人当たりの砂糖の食べている量を1とすると、60年後の1975年には、何倍くらいになっていると思いますか。予想でいいですので、ノートに何倍と書きなさい。
 

 10倍、100倍、3倍・・・などと思いつきで子供たちは言う。予想であるからして、これはこれでいい。

 正解を告げる。


説明2 だいたい、5倍くらいです。その後はあまり増えていないようです。
 

 その後、資料①を提示した。拡大コピーしての提示である。

 グラフのタイトルは伏せておく。

 

 グラフの読み方を簡単に確認した後、尋ねてみた。


発問4 これは何のグラフでしょうか。
 

「タバコ」「ビール」「お酒」などが挙がった。

 タイトルを見せ、正解を告げる。   


説明3 これは、非行少年、つまり社会にとってよくない行いをする少年たちがどのくらい清涼飲料水を飲んでいるかというグラフです。
 

清涼飲料水については、自動販売機で気軽に買える飲み物で、具体的な名前を出して全員で確認した。


発問5 何か気づいたことはありませんか。
 

・1日に最高5本も飲んでいる人がいるなんてびっくり。

・20本飲んでいる人もいる。飲み過ぎだ 。

・悪いことをする人と飲んでいる本数歯、 関係があるみたい。

 以上のような感想が出た。

 そして、資料②を提示して説明した。


説明4 アメリカの場合ですが、家庭で使う砂糖は減っているのですが、加工食品といってすぐに飲み食いできる物、特に清涼飲料水に含まれる砂糖の量が増えているのです。実は日本でも同じような傾向がみられるのです。
 

 3年生にとっては、分かりにくい内容だが、そこは、教師の方で補足し、自動販売機で買えるような飲み物にたくさん砂糖が使われている事実を教える。実際、「食生活と健康」(日本科学者会議編)によると、日本の飲料の自動販売機はアメリカを抜いて世界一になっているということだ。

 このあと、以下の話をする。(資料③)


 イギリスのある家庭に小学生になって間もない子がいました。
 この子は大変けんかが好きで、学校に行っても家庭でも勉強にも遊びにも集中できず、何かを忍耐強くやり通すことができませんでした。
 家でも、すぐにおもちゃを壊したり、兄弟をつねったり、ひっかいたりしてけんかをいつもやっていました。そのうえ、いつも落ち着かず、手がふるえていました。
 話をしようとするとどもるし、イライラして怒りっぽく、自分の爪をよくかんでいました。
 この子は、典型的な「悪童」だったのです。しかも、夜になると眠れず、しばしばひどくうなされていたそうです。
 マッカーネス博士は、この子が普段どういったものを食べているか、調べてみました。
 両親が外で仕事をしていることもあって、生活が不規則で、「鍵っ子」のような生活をしていました。
 お金を自由に使えることができるので、毎日自分の好き勝手な食事をしていたのです。
 毎日主に食べていたのは、アイスクリーム、ケーキ、チョコレート、シリアル(砂糖とミルクをかけて食べるもの)、お菓子、白パンなどでした。
 マッカーネス博士は、この子の問題が深いところで食物と関係があると思い、母親と相談して、1つの試みをしてみました。
 今までに食べているものは全て食べないようにさせ、その代わりに野菜と黒パンを主に食べさせ、肉類もなるべく控えさせたのです
 こういったことを一週間続けさせたところ、「悪童」の特徴が目に見えて消え、数週間たつと、以前と全く違った「よい子」になったそうです。

 

 子供たちは、しーんとして聞いていた。


発問6 マッカーネス博士は、しばらくしてこの子に再び、以前と同じ食事をとらせてみました。
 この子はどうなったでしょう。

 

 自由に自分の予想をノートに書かせて発表させた。大方、以下の3つに意見が分かれた。

 A また、悪い子になった。

 B 一度直ったから、前ほど悪くならなかった。

 C 分からない。

 答えを告げて授業を閉じた。


説明5 答えはAです。砂糖のとり過ぎは、体だけでなく心までも狂わせてしまうのですね。みなさんは、大丈夫ですよね。
 

 

5.おわりに

昨今「キレル」「ムカツク」子供が増えていると言われ、その要因の一つに食生活の乱れが取り上げられている。

これまでも「食」に関する教育がなかったとは言えない。

しかし、そのほとんどが、家庭科や保健などの学習において、栄養や病気の予防と知識に関することが中心であった。

新教育課程では、福祉・健康が総合的な学習の例示としてはっきりと打ち出されている。

今までのような栄養中心の「食」の指導では不充分なのである。

新たな「食」の教育が強く求められていると思われて仕方がない。


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