(C)Two-way/小学校/国語/                                                             制作・実践:三村 弘

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「ことば」の授業は楽しい!

                      

1.はじめに

 国語では、一語にこだわり、それに裏打ちされたものでなければ、読み取りも上滑りで、かつ論理的思考力・個性的表現力というべきものも培うことは容易ではない。

 日本語のもつ独特な美しい響きや言い回し・表現技法に意図的に触れさせ、子供が「話す」「書く」活動を通して、それらを自己の表現に取り込んでいくうちに、言葉の使い方を知り、語彙力も養われていくものである。

 ここでは、形容詞の言葉集めをし、その言葉を意識的に感じて読み合うことで「ことばの学習は楽しい」ものだという授業を紹介する。原実践は、向山洋一氏である。あまりにも有名な実践なので、どなたも一度は追試したことがあることだろうと思われる。

 

2.授業のポイント

① 1単位時間の授業で、いつでもできる題材である。誰にでもすぐ追試できる。

② 形容詞という用語には触れず、「おわりに〜しいの付く言葉」の学習に限定する。

③ 本時は、3年生に実施した授業記録だが、対象学年は2年生以上であれば、どの学年でも追試可能である。

④ 黒板を子供たちに開放する。

⑤ 個々の能力差を考慮し、ノートに考えを書く作業を小刻みに取り入れる

⑥ 瞬時にノートチェックしながら、それと並行して黒板に書かせる。

⑦ 発言の少ないクラスでも充分に盛り上がる学習課題である。

 

3.準備・用意

・マグネット式ネームカードがあれば、全員分事前に集めておく。

・児童は、ノート・赤鉛筆等筆記用具さえあればよい。

・指示棒等

 

4.授業の流れ

黒板に日付を書き、次の指示を出す。


指示1
先生がこれから黒板に書くことをノートに、ていねいにうつしなさい。
先生がチョークをおくまでに、書き終えるんですよ。

 

と言って、ていねいにゆっくり板書する。


(板書)
しいのつくことば (「しい」は黄チョークで)

 

 本学級では、黄色チョークで書いたものは、赤鉛筆でノートに書くことにしている。

 書いたら「書きました」と言わせる。

 声を出すことの大事さ、友達を刺激する手立て、そして教師側の子供の作業状況の把握という点で有効である。「できた人、書けた人は3秒間手を挙げてください。」という指示を出すときもある。こういう小さな学習ルールこそ、学習を支える基となる。


説明1
これから、おわりに「しい」のつくことばをさがします。
わたしたちの使っていることばには、この「しい」のつくことばは意外にたくさんあるのですよ。たとえば、「楽しい」とか・・・。

 

 


発問1
ほかにはどんなものがあるでしょう。
思い浮かんだ人、すわったまま口々に言ってごらん。

 

数人に座らせたまま自由に言わせる。ここでは、これからの作業の例示なので数個にとどめるように打ち切る。


説明2
すごいなあ。(と、ほめて)いっぱいありそうだね。
だけど、こういうのは仲間に入れないでね。ABCとか、ネッシーとか。(笑)ちょっとへんでしょ。つまり、今日勉強するのは、「うつくしい山」というように、後ろにくるものを説明する言葉です。
そんな「〜しい」をいっぱいさがしてほしいのです。

 

 必要に応じて(質問が出た場合など)「〜らしい」など、「人から聞いたような言い方」は、仲間に入れないことを告げる。

 本時で扱う言葉は助動詞ではなく形容詞なのである。


指示3
それでは、ノートに思いつくだけたくさん書いてみましょう。
その時、ことばの上に①②③というように番号を付けて、その下に1つ言葉を書きなさい。番号は1行に1つずつ付けるのですよ。

 

 書き方は板書で示すとよい。決して自分勝手に書かせない。ノートのとり方にはこだわりたい。

 ノートの書き方は、低学年のうちからきっちりと指導するべきである。そして、そうした1時間1時間の積み重ねが、「書く力」そのものを育てていくのである。


指示4
では、始めなさい。5つ書けた人は、先生にノートもっておいで。
 

「5つ」というのがポイントである。子供は、それだけで競い合うように書いて持ってくる。

 また、数を限定することで、教師も行列を作らせないですぐに赤ペンでチェックできる。

 まちがっているものがあれば、だまってそれに×を付ける。

 見せにきた子の書いてきたことば1つだけに○を付けて、「いいことば見つけたね。これ、黒板に書いてちょうだい。」と指示する。どの番号のところにも書いていいことを告げる。

 一人一人違う言葉に○を付け、それを黒板に書かせる。

 全て、友達と同じ言葉を書いてきた子供には、全部のことばに大きな○を付けてやり、「もっと見つかりそうだね。もっと書いてきてね。」と言って席に返してやればよい。

 書けないでいる子供には、「1つでもいいから書けたら持っておいで。」と言い、同じように○を付けてあげて励ます。

 ノートの使い方の評価もさり気なく入れる。「きれいに書けているね。」「こう書くんだっけ?」と必要に応じて短い言葉かけをしていく。

 黒板の全ての番号がほぼ埋まったあたりで、作業を打ち切る。

 

 意外に子供たちは、言葉を知っているものである。

 本学級では、


あいくるしい・いとしい・こいしい・ふさわしい・あつくるしい・いやらしい・あやしい・ほほえましい・・・等
 

 36個出された。

 たくさん見つけることができたことをほめた後、


指示5
ここに書かれていないもので、まだ他に見つけた人いますか?
あったらおしえてください。

 

 あれば、番号を付けたして、発言させ板書する。


指示6
それでは、みんなで1つ1つ大きい声で読んでいきましょう。
 

 指示棒などで1つずつ黒板に書かれた言葉をさし、全員で声を合わせて読ませる。全員がわかりにくい言葉があれば、その言葉の意味や様子を、書いた子に尋ねて明らかにしていく。

 一通り読み終えた後、


指示7
もっと上手に読んでみよう。ふつうに読んじゃだめだよ。
「たのしい」だったら楽しく、「かなしい」だったら悲しい気持ちで読むんだよ。いいかい?

 

 以上のように指示して2回目の読みを試みる。子供らは、実にそれらしく読み上げる。全員集中している楽しい授業のひとときでもある。

 全員全部の言葉を読み終えた後、


説明3
とても上手だったので、もう一度読みます。今度は、これらの言葉の下にみんなの名前を貼っていくよ。だれが、どの言葉にあたるかわかりませんよ。どの言葉に当っても笑って許してね。
ただの遊びですから気にしちゃだめだよ。

 

 このような前置きの説明をして、ランダムにネームカードを貼っていく。担任のネームカードも加えると一層面白い。

 どんな言葉になろうと、気持ちが沈んだり暗い雰囲気にならないような普段の良好な人間関係・学級経営をしておきたい。

 1つ貼るたびに、子供たちはクスクス。または大騒ぎ。

 全部貼ったら①〜最後の番号まで、名前も一緒に言葉を読んでいく。

「いやらしい」あきら、「たくましい」みか子・・・あたりで爆笑になる。教室は、多かれ少なかれ、興奮状態になること間違い無しである。

全て読み終えたら、うれしい顔で「おわります。」

 

 PS.次の時間、教室に入ると何やら子供たちクスクス。見ると黒板の中央に「あやしい」三村と書かれて貼られていた。う〜ん、やるなぁ。明るい笑いと表情で、次の授業が始まった・・・・・。

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