’00.11.7
NO.138
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歌唱「海」で月の学習ができた! |
○ はじめに
「月の学習」これもまた「星の学習」と並んで理科の難教材と言われている。
今やこの手のパソコンソフトもいくつかあるし、インターネットを活用することもできるので、
教室にいながらにしてシミュレーション学習ができるようになった。
しかし、すぐディスプレーを見れば容易に分かってしまうようなものは、理科の学習とは言えない。
提示の仕方、活用の仕方に関しては十分気を付けねばならないところだ。
やはり「月の学習」をするには、教科書に示されているように、
「太陽の動き」と同じように月の動きを実際に観測して、
その記録から発見・気づき・理解を深めていく方法が妥当と言えよう。
しかし、やはりこのやり方は難しい。
月が見られる時間帯は、太陽と違い一定していないからである。
したがって観測しにくいのである。
時期によっても各家庭で観測することができない場合もある。
教室で手軽にできる方法はないだろうか。
それが、新聞の「こよみ」を使った方法である。
さらに導入で歌唱「海」の一番の歌詞を使用する。この歌でなんと月の学習ができるのである。
原実践は、阿形 昭氏である。(「教材開発」’94(5)P26〜27明治図書)
以下、追試した授業の実際を記す。
○ 授業の実際
「海」の歌の一番を板書する。ここでは、題名は書かない。
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全員が視写した後、尋ねてみる。
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数名から「海」という声。(子供たち国語の学習なの?というような表情)
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教師も一緒になって大きな声で一回歌う。
「さすが五年生!上手!」とか言っておだててもう一回歌わせる。
歌い終わったところで、次の発問をする。
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挙手させる。
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訳を尋ねる。
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このような意見で全員「夕方」に納得した。
続いて月についての発問をする。
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机間巡視しながら、ノートに書かれているいくつかの月の形を黒板に書かせる。
大方以下の6種類の月の形を全員ノートに書いてあった。
ここで話し合いをさせても、埒があかない。
これという根拠がないため解決には至らないと考え、次の発問をした。
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すぐ書かせ、挙手させる。以下の通りである。数は人数である。
A・・・○23人、×15人 B・・・○30人、×8人 C・・・○24人、×14人 D・・・○38人、×0人 E・・・○36人、×2人 F・・・○4人、×34人
ここは聞くだけにして次に以下の資料を配った。
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朝日新聞に毎日載っている「あすの暦」を切り取って印刷した物である。
この資料で、予想したC、D、Eは、確認できた。A,B,Fに関しては「これらも本当にあるのかなぁ。」と投げかけ、
次時の学習で取り扱うことにした。
さて、ここで再度冒頭の歌に戻って、月の形の検討に入った。
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子供たちは、「えー。」「分かんない。」などといいながら真剣に考える。
「証拠はこの資料と歌にあります。」と言いながら机間巡視する。
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この指示から3分ぐらい後、何人かノートを持ってくる。どれも間違い。「×。」とだけ言う。
そのうちに正解者が現れる。
「すごい!天才第一号!」などといって他の子を刺激する。
言われた子は小躍りして席に戻っていく。
これは思いつきや勘では分からないのである。
「これはクイズなんかじゃない。資料をしっかり見なくちゃいけない。
書いてある言葉や数字をよく読めば分かるんだけどなぁ。」などと何気なく着目点を示唆する。
すると、子供たちは、辞書で「日出」「日入」「月出」「月入」「月齢」など調べるようになる。
5分後、何人かの正解者が出てくるようになった。
普段勉強がよくできる子供がなんと意外にもできないのである。
まさに逆転現象を生むのである。
これは、「月出」の時刻を見ることで、夕方に昇る月は、満月か満月に近い月という事が分かる。
さらに、歌では「月がのぼるし 日がしずむ」とあるから、「月出」と「日入」の時刻がより近いものが正解の月となるわけである。
即ちそれは「満月」なのである。
授業終了2分前、作業をうち切らせた。
分からない子供は、不完全燃焼気味で「待って。まだ教えないで。」とせびる。
しかしここは、正解した子供に発表させ全員で「満月」であることを確認して授業を終了した。
どの子供にも知的興奮を促し、どの子供も熱中した一時間であった。
参考までに、第二次以降の学習展開を発問等中心に記しておく。
(第二次)
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朝、昼、夕方、夜などが出る。
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出ている○、出ていない×として、話し合いをさせる。
確かな情報を得ていないわけであるから、討論までには至らない。
だが、ここで、話し合いを持っておくことで、どのように何を調べたらいいか考えさせる布石になる。
そこで次のように投げかける。
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各自ができることを考えさせる。本で調べる、観測、インターネットなどが出される。
「それでは、自分のできる範囲の調べ方で、次の時間までにできるだけ多くの、そして確かな証拠を掴んできなさい。」と告げて終える。
(第三次)
約一ヶ月分切り取って収集しておいた「あすの暦」を印刷したプリントを配る。
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時間を5分以上とって自分の考えをまとめさせる。その後、分かったことを発表。
結果、月は右側からだんだん欠けていき、右側からだんだんふくらんできていることを確認する。
「最初の時間に予想した月の形もあったね。」と言ってから、問う。
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これも、この資料から見て取れる。一日ごとに約一時間ほどずつずれがあることに気づくのである。
なおかつ、朝早くに月が出ているということを発見し、子供たちは少なからず驚く。
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これもまた、資料から分かる。
月は約一ヶ月で形が戻ること、それは、月が約一ヶ月かけて地球を一周しているからであるということ、
だから暦の数え方が何「月」ということを気づかせながら教えていくのである。
さらに月齢に関しては、これは月の年齢に当たるものであり、月の形によって、いくつになるかが決まっていて、
新月を0として始まるということにも触れると子供たちはなるほどと納得する。
こうして、第四次には、コンピュータ室で「天文シミュレーション」というソフトを使い、
自分たちが学習してきたことを連続動画で確認するのである。
このような学習展開でも、なかなか思うように観測ができない月の学習も、
新聞の「こよみ」蘭を使うことで、無理なく月の形の変化、月出の時刻を理解させることができるのである。
なお、もう一つ「月の形がなぜ変わって見えるのか」については、効果的な指導を自分自身見いだせなかったので
実践の記録を割愛させていただくことにする。
よりよい指導法があれば、是非教えていただきたいと思う。
歌「海」から始まった月の学習、子供たちは意欲的に取り組むことができた。