’98.11.20
NO.24
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酒井式でクロッキー〜「指ずもう」を描く |
1.はじめに
席の隣同士ペアを組ませる。机を向かい合わせにし、ぴったりくっつける。
注意する点は、描く利き手が同じ者同士でなければならないことである。
準備するものは、フェルトペン(マイネームペン)と九ツ切画用紙だけである。
原実践は、ツーウエイ誌(明治図書)に載っていた高橋正和氏のものだが、氏の実践では対象が中学生で、全4時間の実践である。
本実践は対象が小学校3年生である。しかも、このシナリオを1時間でやってしまおうという大胆な挑戦である。
3年生でも、かたつむりの線で酒井式指導を取り入れれば、見応えのある画が描けるものと信じて挑戦してみたい。
2.授業の流れ
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1.指ずもうして遊ぶ |
理屈抜きに、まず実際に指ずもうして遊ばせる。
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鉛筆をもたない方の手で、指ずもうしてごらん。 |
子供たちは無邪気に遊びに興じる。
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2.爪を描く |
左手(利き手が右手の場合)で指ずもうのポーズを取ったまま、右手にペンを持って描かせる。
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紙の真ん中に、自分の親指の爪をかきなさい。本物より少し大きめにかきなさい。 |
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3.親指を描く |
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4.手首までを描く |
ここまでテンポ良く進める。あくまで「かたつむりの線」で、ゆっくりと細めにならないように描かせる。
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5.相手の指4本を描く |
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手にくっつけて、指が細くならないようにかきなさい。 |
この指示がないと、4本の指を細くかいてしまう傾向がある。
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6.相手の親指を描く |
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これも短く細くならないようにかきなさい。 |
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7.相手のこぶしと手首を描く |
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8.自分の人差指と相手の人差指のからまっている部分を描く |
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9.鼻を描く |
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自分の鼻をいっぱいさわってごらん。目と目の間から鼻穴まで骨がありますよ。 |
こういうことは体感させないと意外に分からないものである。
また、位置や大きさが少し難しいので、ここだけは、鉛筆で薄く△マークを入れさせた。
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鼻は、紙の上の方の右か左に「ななめに」かきます。 |
爪と同じで、鼻が顔のポイントになる。「ななめ」は、画面に動きを出す大事な指示となる。
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10.口を描く |
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鼻の下から線をかいて口をかきます。戦っているんです。普通の口じゃいけません。戦っているときの口を作ってごらん。 |
それぞれ、口を歪めさせたり、歯ぎしりさせたりする。
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いいですねぇ。今のようなうーんと迫力のある口を描きなさい。 |
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11.目を描く |
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両目の形をかいたら、黒目は後にかきます。目玉はどこを見ていますか?指ですよね。だから下のほうに黒目を寄せてかいてごらん。 |
ここまでくると、この絵の雰囲気がガラリと変わってくる。一つの大きな山場である。
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12.まゆげを描く |
まゆげは、下から上へ、内側から外側へ1本1本、毛を植えつけるようにかかせる。決して横にペンを引かせない。
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13.耳を描く |
実際にこれも自分の両耳をさわらせる。ぐにゃぐにゃした感じや位置を体感させる。
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14.髪の毛を描く |
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1本1本はえている方向に、うえつけるようにていねいにかきなさい。もみあげまでかくんですよ。紙にかけるところまででいいです。 |
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15.あごを描く |
顔全体の形はあごを描かせるのがコツである。すぐ輪郭をかかせないことである。
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あごを触ってごらん。骨があって、とがっているでしょう? |
と言って、これまた、さわらせてからかかせる。
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16.顔の輪郭を描く |
あごの線を結ばないでかくようにすると立体感が出る。
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17.自分の後頭部や耳を描く |
自分の後頭部は、自分で見ることができない。そこで自分と似た髪型の子とペアにして、見ながら右下の方にかかせる。
垂直を避けると動きが出てくる。髪の毛の描き方は、同じ。つむじから1本1本ていねいにかかせる。
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18.画面の端まで腕を描く |
細くならないように、手首からそのくびれ具合や徐々に太くなっていくようなかき方を指示するとよい。
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19.首を描く |
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首を触ってみなさい。首はどこから出ていますか? |
このような問いかけや指示をしないと、子供は顔の大きさより絶対細く描いてしまう。
首は「耳の後ろから出ている」ことを耳の後ろを触らせてから、描かせると重量感が出るのである。
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20.襟を描く |
元のペアに戻って、相手の服の襟元をかかせる。
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21.相手の肩を描く |
直線にならないように画面の端までなだらかな線で描かせるとよい。
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22.相手の服を描く |
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23.服のしわを数本描く |
およそ、こんな具合で進めていくと、絵が出来上がる。
3.おわりに
ここまでで1時間である。実際、ペンをとって描いている時間は15分〜20分である。
酒井式はスモールステップで、教師側で導いてあげるとどの子も楽しく充分に描くことができるのである。
まだまだ、ていねいさという点では不十分だが、子供の可能性とは実に素晴らしいものである。決して中学生にひけをとらない。
出来上がった作品を何点か紹介する。(ギャラリーへ)