’01.9.20


ユーモアで切り返す+(プラス)思考
 

                           

○ はじめに

 「プラス思考」で、物事に対して前向きに取り組み、人間関係を円滑にためのいわば「ライフスキル学習」である。

原実践をもとに修正追試を実施した高山佳己氏の「足太いね」の授業を参考に授業を組み立てた。

http://www5a.biglobe.ne.jp/~jubilo/asifuto1.htm(TOSSランド)

 授業対象学年は6年生である。

 前半の説明1から説明3までは、高山氏の実践の追試である。

○ 授業の実際


説明1 先生は、先日バスに乗りました。そうしたら3人の女子高校生が乗り込んできました。しばらく楽しそうにおしゃべりしていたのですが、その中の一人が、別の子に向かって突然こう言ったのです。
 

 このように言ってから、黒板に次のように板書した。


「足太いね。」
 

 教室がざわめく。


発問1 さて、自分がこう言われたら何と答えますか。
ノートにズバリ書きなさい。書けた人は持ってらっしゃい。
 

 ノートをチェックして、黒板にこれはと思うもの13を書かせた。

 書かれたものにA〜Mまで記号を付けた。

 以下のものである。


てめえに言われたくねえ。まあ、そうだけど。ありがとう。私のチャームポイントなの。あなたは細すぎよ。だったら、どうしたっていうの。あなたもそう思う?失礼ね。最低な人ね。あんたって。やっぱり?そうなの。あなたは細くていいわね。あんまりたいしたことでもないわ。そうなの。わたしが象なら、あなたは小鹿ね。わたしにかなう者はいないわ。そうよ。安定感バッチリよ。
 

 


指示1 黒板に書いてあるのを見て、気がついたこと、感じたこと、思ったこと何でもいいからノートに箇条書きで書きなさい。
 

 3分後、指名なし発表させた。以下のようなものが出された。


・Aは言葉使いも悪いし、態度が悪い。
・Aはほとんどけんかになる。
・Kはおもしろいし、ギャグっぽい。
・JLMなどは何か全然気にしていないと言うか、たくましい。
・Cだが、本当にそう思っているのか。そこがチャームポイントなんて何か変。
 

 途中であったが、うち切って、次のように教師側で束ねた。


説明2 AEGは「反発・攻撃型」、BFHは「受け入れ型」、CLは「自慢型」、Dは「切り返し・巻き返し型」、IKは「よいしょ型」そしてMは「ユーモア型」と言えるでしょう。(板書)
 

 


説明3 さあ、みなさん、その女子高校生どう言ったと思います?
実は、こう言ったのですよ。(こう言って黒板にゆっくり書いた。)
「うん。太くてかわいいでしょう。」(子供たちから思わず笑い。)
これで、他の二人のお友達も大笑い。言ってる本人も大笑い。そして、それを聞いていた人たちみんな笑っちゃったんです。
何て愉快な言い方、ユーモアのある言い方なんでしょう。
言ってみれば、体のことを悪く言うのは失礼ですし、怒るのが当たり前だと思うのですが、その子は何と周囲を笑わせちゃうんですから大したものです。
思わず、先生も感心しちゃったという訳なんです。
 

 子供たちも「なるほど。」といった表情でにこにこしている。


説明4 さて、もうひとつこんなエピソードがあります。
みなさんは、キンさんギンさんのことは知っていますね。
満百歳の誕生日の時に、あるテレビ局のアナウンサーからこんなインタビューを受けました。
「おめでとうございます。ところで、いただいたお祝いのお金は何に使われる予定ですか?」
 

 


問答 さて、このときキンさんは何と答えたでしょう。
 

 列指名で尋ねてみる。

「孫にあげる。」「全部寄付する。」「好きなものを買う。」など。


説明5 実は、このように言ったそうです。
「そうだねえ。半分は施設へ寄付しようかねえ。」
キンさんギンさんが、「半分は」と言ったものだから、アナウンサーは気になってねぇ。さらに尋ねたんだ。
「では、残った半分はどうするのですか?」って。
 

 


問答 さて、なんて答えたと思う?
 

 一人を指名し、座ったままで尋ねてみたが、答えられないでいる。


説明6 実はこう言ったんです。
「老後のために貯金しようかのう。」って。
 

 子供たち数名から笑いがもれる。ぴんと来ない子供もいる。

 それでも構わず、続ける。


説明7 先ほどの女子高校生やこのキンさんギンさんの話や言い方には、人間関係を温かくする秘密が隠されています。
①相手の言うことに素直に耳を傾け、穏やかに受け止めていること

②明るくユーモアで返しているということです。(板書)
つまり、物事をいい方へと考え明るい気持ちを持って人と触れ合おうとする心のゆとりがあるということです。
このような考え方を「プラス思考」と言います。
そして、周りのみんなをアッという間にほんわかと温かくしてくれる面白さのことを「ユーモア」と言います。
このふたつを身に付けると毎日が、とっても楽しくなります。
 

 ここで、次のように問うてみた。


発問2 さて、相手の体のことや見た目のことを無神経に相手に言ったり言われたりするのは、大変イヤな気持ちになるものです。
しかしながら、私たちは毎日の生活の中で、意外に相手の気にすることを何気なく言っていることってあるようです。
もし、あなた方が、自分が気にしていることをズバリ言われたらどのように受け答えしますか。たとえば「のっぽ。」「ちび。」「毛深いね。」とか。
こういうことを言われたら、どう明るくユーモアで切り返すかってことです。
ノートに考えてどう言うか書いてごらんなさい。
 

 3分で切り上げ、発表させてみた。

 なかなか言えない子供もいるだろうから、ここは言いたい子に言わせた。

 以下のようなものが出た。


・「にきびづらと言われたら」
美人になるための準備が始まっているの。うらやましいでしょ。(A.U)
・「大根足と言われたら」
ありがとう。だから大根に詳しいんだよ。大根料理もいっぱい知ってるよ。(E.S)
・「地黒と言われたら」
僕は気に入っているよ。君は自分で気に入っているところってないの?(M.H)
・「でかいと言われたら」
大人っぽいでしょ。(R.S)
・「デメキンと言われたら」
あなたの見えないものでも私には見えるのよ。(K.S)
・「やせと言われたら」
せまい道もスイスイだよ。(Y.A)
・「足短いねと言われたら」
子犬みたいでかわいいでしょ。(S.K)
・「チビと言われたら」
小さい子に見られてお金払うの安くなるんだよ。(K.I)
君はこびとの役できるかい?僕にしかできないよ。(H.S)
・「デブと言われたら」
あなたと違って、すぐ服が小さくなるからたくさん買ってもらえるんだ。(M.S)
・「ホクロと言われたら」
これ私のチャームポイントなの。かわいいでしょ。(J.T)
 

 ことのほか、よく発表してくれた。

 人間気にしていることというのは、人前ではなかなか言えないものである。

 もちろん普段の学級の雰囲気作りが為されていないと、こうはならないと思う。

  最後に以下のように言って、授業を閉じた。


説明8 みなさん、ユーモアたっぷりですね。そんなみなさんをすばらしいと先生は思いますよ。
ただ、勘違いしないでほしいことは、大事なことは、相手を如何に言い負かすかということなのではありません。
そうではなく、言われたことを自分の欠点短所と思って相手に感情をぶつけてしまうのではなく、むしろそれはいいところ、自分らしさと考え、いつも明るい気持ちで受け止めいられるように自分を上手にコントロールできるようにすると言うことです。
みんなが、そんな穏やかで前向きな心でいられたら、今よりずっと毎日が楽しくなってくるに違いありません。
そんな心のゆとりや構えが素敵なユーモアを生み、自分と周囲を明るくさせていくことでしょうね。
 

 授業の感想を書かせた子供からノートを提出させて休み時間にした。

 いずれにしても、この授業に対する子供の反応は概ね良好であった。

 中には、「先生おもしろかったよ。言ってすっきりした。」「今度言われたら、こんなふうに言い返してみるよ。」と言う子もいた。  

 

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