「2001年宇宙の旅」
2001年宇宙の旅 1968・米


監督・製作:スタンリー・キューブリック

原作・アーサー・C・クラーク
脚本:スタンリー・キューブリック
    アーサー・C・クラーク
撮影:ジェフリー・アンスワ−ス
SFX:ダグラス・トランブル

出演:キア・デュリア
    ゲイリー・ロックウッド
    ウィリアム・シルベスター
物語

400万年前の地球。人類の祖先である類人猿達は、いくつかに群れをなして住んでいた。ある時、奇妙な物体を見つけた。黒く、四角い柱(モノリス)が聳え立っていた。

おそるおそる近づいて取り囲む類人猿達。モノリスに触れた者がいる。その集団はモノリスから何か力を授かったかのように強くなり、「道具」に目覚めていく。獲物の骨を歓喜の表情で空中に放り投げる類人猿。

骨は、400万年の時を経て、宇宙船に進化していた。宇宙船には、ある調査のため月の基地へ向かうフロイド博士が乗っていた。途中、宇宙ステ−ションに立ち寄り、月の基地へ向かった。

月の火口の中に、不思議な物体が立っている。モノリスだ。モノリスから木星の方角に強力な電波が発せられていた。これは何を意味するのか。
隊長ボウマン博士ら5人の科学者が宇宙探検船ディスカバリーで木星に旅立った。宇宙船の管理はコンピュータの”HAL”が取り仕切っていた。”HAL”は人間並の思考力を持つ最高度のコンピュータである。

長い旅のある時、”HAL”が反乱を起こした。宇宙船の内外での格闘により、仲間を殺されたボウマン博士は、”HAL”の電子頭脳を停止してしまう。”HAL”は単なる航行機械に成り下がった。

たった一人、木星の軌道に入ったボウマンは見た。軌道に巨大なモノリスが浮かんでいた。近づいていったボウマンの宇宙船は、突然、時間と空間の裂け目に物凄いスピードで突入して行った。

目くるめくボウマンの目に飛び込んでくる光と闇。ふと我に返ったボウマンは、ルイ王朝時代の部屋にたっており、しかも何と、豪華なベッドに年老いた自分が寝ているではないか。次第に年さらばえたボウマンのベッドの前にモノリスが立っている。臨終の前、モノリスに手を差し伸べるボウマン。

胎児として蘇えったボウマンが静かに地球の廻りを周っている.次の進化の機会を待つかのように。




映画館主から

今から30年以上前の映画にしてこの出来栄え。この映画の封切りから1年少し過ぎて、人類が初めて月面に立ちました。世は正に宇宙時代の頂点に沸いていました。コンピュータグラフィックスの発達していない頃の特殊撮影として特筆に値します。NASAを始め、多くの科学者が協力したそうで、宇宙船の細部にまで実にリアル。

封切り当時、この映画の評価は賛否両論に分かれたそうです。余りにも抽象的で意味不明、何を言いたいのか解らない、という声。
キューブリックは言ったそうです。「この映画は、視覚的な体験によって、人間の運命とか、宇宙における人間の役割、哲学的な問題を観客がそれぞれ考えればいい。」

私がこの映画を観たのは、リバイバルで京橋の「テアトル東京」でした。(テアトル東京の大画面が消えてしまったのは実に残念!)その時感じたことは、モノリスの意味するもの、それは仏教における「曼荼羅」ではないかと。「曼荼羅」は宇宙森羅万象が象徴として縮図になっているといいます。

宇宙には生命が満ち満ちており、それは久遠の過去から未来永劫にと連なっている。類人猿からボウマンへ、また胎児へと永遠に続く輪廻転生の物語だと。
リヒアルト・シュトラウスの「ツアラトゥストラはかく語りき」や、ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」のクラシック曲が効果的に使われていました。 

”HAL”の名前は、コンピュータの巨人”IBM”のアルファベットの一文字づつ前の文字からとったとか。

参考文献:「ザ・スタンリー・キューブリック」 キネマ旬報社
       「 2001年宇宙の旅」  テアトル東京 パンフレット

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