| 袋小路 1965・英 | |
![]() 監督:脚本: ロマン・ポランスキー 脚本:ジェラール・ブラッシュ 撮影:ギルバート・テイラー 音楽:クリストファー・コメダ 出演:ドナルド・プリーザンス フランソワーズ・ドルレアック ライオネル・スタンダー ジャック・マクゴーワン ![]() ![]() |
物語 ここはリンデスファーン島のノーサンバーランド。 一本道を何やら故障したらしい車がやって来た。運転席に乗っているのはアルビー(ジャック・マクゴーワン)。腹に一発喰らっている。車を押しているのはディッキー(ライオネル・スタンダー)。右手を撃たれて首から吊っている。 二人は何か事件を起こし逃亡してきたのだ。 ディッキーが車のアルビーを残し、丘に上がると目の前に古城がそびえていた。ディッキーは丘を駆け上がり城の中を窺がう。 そこに住んでいたのは奇妙な夫婦だった。若い女テレサ(フランソワーズ・ドルレアック)とスキンヘッドの中年男ジョージ(ドナルド・プリーザンス)だ。 ジョージは全財産をなげうってこの城を買い取り、若いテレサと再婚したのだ。 倦怠的で刹那に生きる奇妙な夫婦は、鶏を飼い、絵を描いたりして自然に溶け込んでいるように暮らしていたが、突然やって来た訪問者、いかつい風貌のディッキーによって今までの生活を狂わされたのだ。 ディッキーは勝手に電話をかけた。「メイプルソープ海岸だ。カトルバック氏と話がしたい」ギャングのボスに助けを求めた。 ディッキーは夫婦を促し車に残したアルビーを迎えに行く。すると満ち潮で道が消え、車のアルビーの首まで海水が満ちてきていた。 3人で車を押して高台まで押し上げる。アルビーを城の中へ運び込む。アルビーは瀕死の状態だった。 デッキーは夫婦を寝室に閉じ込めた。若いテレサは夫ジョージがギャングの言いなりで不甲斐ないのに腹をたてている。 夜、テレサは窓から抜け出して城から出ると、外でディッキーが穴を掘っている。酒を取りに部屋へ行ったテレサはぎょっとした。運び込んだアルビーが死んでいた。 テレサはジョージを呼びに行き、3人で穴を掘る。そして死体となったアルビーを埋める。フクロウが不気味な鳴き声をあげる。 翌朝、ディッキーがギャングのボスの迎えと思った車は、ジョージたちの客だった。男の子連れの夫婦や友人だ。 「妙な真似をするな」ディッキーはポケットにピストルを持っている。 ディッキーは不意の客に怒るが仕方なく執事役になる。テレサはこの時とばかりディッキーをこき使う。「酒を持ってきて」「オムレツ作って」 仕方なく、ディッキーは従う。 そのうちに、少年がどこからか散弾銃を持ち出してきた。慌てる大人たちに向けて発砲した。ディッキー、思わずピストルを抜く。少年の撃った先は城の窓ガラスだった。 「歴史的な貴重品だぞ」ジョージは憤慨して言った。「ガキを連れて出て行け」 客が去った後、ディッキーはボスが迎えに来ないので再び電話に向かった。「自分で解決しな」電話の向うで言った。テレサはその隙に掛けてあった背広からピストルを抜き取った。 テレサはジョージにピストルを渡すと撃つように命令した。ディッキーが出てきた。ジョージはディッキーにピストルを向けた。手が震え、まともに顔を見られない。近づくディッキー。ジョージは撃った。2発。3発。 ディッキー、まともに喰らった。血だらけでよろけながら車に行き、マシンガンを持ち出した。「・・・糞ったれが・・・」ディッキー、力尽き倒れる。最後の力でマシンガンの引き金を引くと車に当たり、車が火を噴いた。 ジョージは放心状態だ。そこへ先ほどの客の一人、若い男が忘れ物を取りに引き返してきた。テレサは男に着いて車で行ってしまった。 やがて、時がたち我に帰ったジョージは潮の満ちてきた道を走りながら叫ぶ。「テレサ、テレサ」 潮に囲まれた岩の上で孤独に泣くジョージ。 |
| 映画館主から 閉塞状態におかれた人間の行為をブラックなコメディに仕立てたポランスキーの異色作。 古城に住む奇妙な夫婦。そこへ逃げ込んできた犯罪者。行き場のない閉塞感。心が通じない人間関係。そこはまさに袋小路でした。 ポランスキーは、幼い頃、ユダヤ人の母親をアウシュビッツの収容所で失うという悲劇を味わっています。心の傷は深く、作品にも投影されます。 現代に巣食う悪魔的なものにこだわり、「ローズマリーの赤ちゃん」’68年を生みます。 東欧に伝わる怪奇に惹かれ「吸血鬼」’67年や「マクベス」’71年を生みます。 「吸血鬼」を撮り終えた直後に愛妻シャロン・テートの惨殺事件が起きるという悲運。今はヨーロッパで活動しているそうですが、その研ぎ澄まされた感性が、黒澤明がそうであるように、力強いドラマを生んでくれるよう願っています。 カトリーヌ・ドヌーブの一歳上の姉であるフランソワーズ・ドルレアックは本作の翌年、「ロシュフォールの恋人たち」でドヌーブと共演し世界一美しい姉妹と言われましたが、撮影終了後に交通事故でこの世を去りました。享年25歳、美人薄命でした。 本作は、ベルリン映画祭グランプリ、ベネチア映画祭国際批評家賞を受賞しています。 |
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