「愛と死の間で」
愛と死の間で 1991・米
愛と死の間で

製作総指揮:
    シドニー・ポラック
製作:リンゼイ・ドーラン
    チャールズ・H・マグワイアー
監督:ケネス・ブラナー
脚本:スコット・フランク
撮影:マシュー・F・レオネッティ
音楽:パトリック・ドイル

出演:ケネス・ブラナー
    エマ・トンプソン
    アンディ・ガルシア
    デレク・ジャコビ
    ハンナ・シグラ
    キャンベル・スコット

   ロビン・ウィリアムス


ケネス・ブラナー



エマ・トンプソン



物語

1949年。美しい若妻ピアニストのマーガレット(エマ・トンプソン)が殺害された。無残にもハサミで滅多刺しにされたこの事件で、夫の作曲家ローマン・ストラウス(ケネス・ブラナー)が逮捕される。ハサミから彼の指紋が検出され、家政婦も夫婦仲の悪かった証言をした為、上告しようとしない彼は死刑が確定した。
死刑執行の日、面会に来た友人の新聞記者グレイ(アンディ・ガルシア)にローマンは告げたのだ。「妻を愛していた。これからも永遠に愛しつづける。」と、記事に書くよう依頼して刑場に向かった。


それから40年後。連夜、悪夢にうなされる女性(エマ・トンプソン=2役)がいた。彼女は数日前、ゲートをよじ登って修道院に入ってきたが、完全に記憶を失っていたのだ。その夢は何者かにハサミで襲われるというものだった。
心配した神父は私立探偵のマイク(ケネス・ブラナー=2役)に彼女の身元調査を依頼した。彼は新聞社に勤めるピートに相談し、彼女の写真を撮って新聞に掲載することにした。
精神病院で診察してもらおうと彼女を連れて行くが、彼女が怯えたので引き返す。悪夢は相変わらず止まず、突然、絶叫する彼女にマイクは驚かされた。
新聞に彼女が掲載されたある日、フランクリン(デレク・ジャコビ)という男が現れ、催眠術を使って、彼女の身元を調べたいと申し出た。

フランクリンは古美術商を営んでおり、その店で催眠術を行った。時間を逆行させて過去を語らせようとするフランクリンの方法に彼女は反応していった。しかし、彼女の口から語られるのは、彼女の過去ではなく、1948年に出会って恋に落ち、結婚したマーガレットとローマンの華やかな生活だったのである。
その頃、ローマンはオペラの作曲家として名声を得、ロサンゼルス交響楽団の指揮者として活躍、マーガレットは同楽団のピアニストだった。二人は恋に落ち、結婚した。結婚パーティにはピューリッツァー賞の候補である新聞記者グレイもいた。グレイはマーガレットの美しさに心惹かれた。
マーガレットは長い間ローマンに仕えてきた家政婦のインガとその息子フランクリンに、隣室で寝ないよう語気強く言い放った。
ローマンはマーガレットに、夫が妻に贈るとたとえ死んでも、永遠に愛する心は一つであるという言い伝えのあるアンクレットを贈るのだった。


マイクはフランクリンの催眠療法に疑問を感じて、16年間精神科医をしていたコジー・カーライル(ロビン・ウィリアムス)に相談に行く。コジーは言った。「彼女の心の傷は前世の心の傷に繋がっている。因果は永遠に続く。前世で人を殺した者は現世で殺される運命にある。催眠療法を続ければ全てが解る」

日毎にマイクに愛情を感じ始める彼女にマイクも同様の感情をもった。ある夜、雨の降りしきる屋上でダンスをしながら、二人は固く抱き合った。マイクは彼女をグレースと呼ぶことにした。

再び催眠術をかけられたグレースは、仮装パーティに出席したストラウス夫妻の光景を語り始めた。
その頃、ローマンは生活費の不足に悩んでいた。そんな時、グレイがマーガレットのアンクレットを見ようと足に触れているのを目撃してしまう。ローマンはグレイを殴り倒した。
ストラウス夫妻の諍いが続くある日、家政婦の息子フランクリンが宝石の入った引出しを開けているところをマーガレットは見た。彼女はインガ親子を首にするようローマンに迫った。しかし、ローマンにとって、インガは昔の命の恩人だったのだ。二人は激しく言い争った。


そこまで語ったグレースはマイクに向かって言った。「貴方は40年前にいた!」
ショックを受けたマイクは、今度は自分が催眠術を受けると言い出した。
フランクリンによって時間を逆行していったマイクが見たものは! 何と鏡に写った自分の姿、それはグレースの姿、いや、マーガレットだったのである。
愕然とするマイクにコジーは言う。「因果だ。前世の性が現世で入れ替わったのだ。殺される前にグレースを殺せ!」

その頃、グレースが画家であることが判明し、彼女は家に向かった。フランクリンは彼女に「マイクは危険だ。彼が殺しに来たらこれを使え」と、ピストルを手渡した。
グレイがまだ生きているとの情報を得たマイクは、入院中のグレイを訪ねた。年老いて喉に穴を開けているグレイが言った。「マーガレットを誰が殺したか、真相を知っているのは家政婦のインガだ」 そして、何とインガの住所はフランクリンの古美術商の住所と同じだ。
急ぎ、フランクリンの店へ行くと、奥に年老いたインガが寝ていた。インガはマイクに40年前の真相を語った。
若きインガはローマンに惹かれていた。そこへマーガレットが若妻としてやって来た。母の気持ちを察していた少年フランクリンは、盗みを咎められたこともあり、ベッドに寝ていたマーガレットをハサミで刺した。何回も、何回も・・・・・・

犯人はフランクリンだった!!グレースが危ない!
マイクがグレースの家に行くと、グレースはドアを閉ざしてしまった。「話がある!」マイクがドアを破って部屋に入ると、グレースがピストルを構えた。「待て!話が・・・」「ダーン・・」
マイクは撃たれ倒れた。そこへ、フランクリンが現れた。「手間がはぶけた・・・」 グレースは驚愕した。フランクリンがグレースを殴り倒した。
少年フランクリンがハサミを振り下ろす。グレースがハサミでフランクリンに向かう。もつれ合って、ハサミがマイクの方へ転がった。楽団の指揮をとるローマン。マイクが息を吹き返し、手にしたハサミでフランクリンの足に突き刺した。少年フランクリンがハサミを振り下ろす。猛然と襲い掛かるフランクリンは、グレースの部屋のハサミのオブジェに体を貫かれて絶命した。

こうして、全ては終わった。過去と現在、前世と現世は40年前の殺人事件の真相が解明されることによって、不思議に結びついた二人であった。
映画館主から

リーインカネーション、輪廻転生をドラマの主軸にしたミステリーです。
催眠術をかけ、どんどん過去へさかのぼっていくと、生まれる前、つまり前世の記憶まで到達するという話は、本で読んだことがあります。「前世を記憶する20人の子供」には、世界中から集めた事例が紹介されています。

「愛と死の間で」では、ローマンとマーガレットの夫婦が、生まれ変わって男女が逆になってるところが、何ともややこしいのですが、前世の因縁を背負った二人の愛憎劇はスリル万点です。

イギリスが生んだ“ローレンス・オリビエ”以来の天才映画作家とまで評価された、ケネス・ブラナーの監督・主演作品です。相手役のエマ・トンプソンはブラナー夫人です。共に、二役を演じています。
ブラナーの演出はオーソドックスで、40年前のシーンはモノクロ、現在のシーンはカラーで表現して、複雑なストーリーを解りやすくしています。
モノクロ画面の前世のシーンはヒッチコックの「レベッカ」を彷彿させます。豪華な館、そこへやって来る新妻、仮装パーティ、そして、家政婦が鍵を握っている点なども酷似しています。又、ハサミが小道具として使われているのは、「ダイヤルMを廻せ!」を思い出させます。全体のタッチもヒッチコック的です。
ラストの大団円では、過去と現在というよりは、前世と現世をカットバックで繋ぐという非常に魅力的な処理をしていて、このサスペンスの盛り上げ方のアイデアの為にストーリーを作ったのだとさえ思えるほどです。

     参考文献:公開時パンフレット

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