| ドラキュラ 1979・米 | |
![]() 製作:ウォルター・ミリッシュ 監督:ジョン・バダム 原作:プラム・ストーカー 脚色:W・D・リヒター 撮影:ギルバート・テイラー 音楽:ジョン・ウィリアムス 出演:フランク・ランジェラ ローレンス・オリビエ ドナルド・プレザンス ケイト・ネリガン トレバー・イブ ジャン・フランシス ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 荒れ狂う岸辺に漂う機帆船。船荷の長い木箱には、「ヨークシャー、ドラキュラ伯爵行き」と書かれていた。木箱を棄てようとした水夫達は何者かに咽喉を引き裂かれる。そして、船長も・・・。 精神科医スウォード博士(ドナルド・プレザンス)の病棟の患者たちがてんでに悲鳴を上げながら駆け回る。この吹きすさぶ嵐に怯えているのか。 その階上ではスウォード博士の娘、ルーシー(ケイト・ネリガン)と親友で静養に来ているミーナ(ジャン・フランシス)がくつろいでいた。 二階でベッドに着いていたミーナは目を覚まし窓から外を眺めると、岸辺に難破船らしきものを見た。何かに憑かれたように寝巻き姿のまま、墓場を通り海辺に向かう。洞穴の中に入って行くとコートを着て横たわる死体が? ミーナが死体の手を取るとその手が動き出しミーナの手を包み込んだ。 ミーナの手を取った人物は、難破船の唯一の生き残りで、ドラキュラ伯爵(フランク・ランジェラ)だった。背が高く、ハンサムな彼はこの近くで廃屋となっているカーファックス修道院の購入者だった。 スウォード博士の晩餐会にドラキュラ伯爵が招かれた。黒マントに身を包み颯爽と現れたドラキュラに一瞬にして魅せられた博士の娘ルーシーは食後のダンスを誘う。華麗に踊る二人にルーシーの婚約者ジョナサン(トレバー・イブ)は気が気でない。 夜もふけて、各自の部屋で休んでいると、舘の上方からヤモリのように壁伝いにドラキュラが降りてきて、ミーナの部屋のガラス窓を開けた。目覚めたミーナはかすかに微笑みドラキュラを受け入れる・・・・。 翌朝、ミーナに異変が起きる。「咽喉がとっても痛い・・・空気が吸えない・・・」 そして、ヒーッと咽喉笛を鳴らして息絶えた。ミーナの死因ははっきりせず、ミーナの父親、アムステルダム大学名誉教授のエイブラハム・バン・ヘルシングに電報が打たれた。 バン・ヘルシング教授(ローレンス・オリビエ)が蒸気機関車から降り立ち、旧友スウォード博士と抱き合う。さすがに娘の訃報を聞いた教授には苦悩が隠せない。 精神病院の女性患者の赤子が殺された。患者は狂ったように叫びまくっていた。 「目が真っ赤で口が耳まで裂けてて狼みたいな牙で、あたいの赤ちゃんをつかんだ・・・」 ヘルシング「その女は知ってる人間か」 「はい、知ってますとも、ルーシーさんの友達のミーナだ。昨日埋めたばかりの・・・」ヘルシングの驚愕!!・・・娘が!? 一方、ルーシーはドラキュラに益々魅せられ虜になっていった。 ヘルシングが食事もとらず書斎で目を通している文献には、吸血コウモリの記事が・・・。 やがて、スウォードとヘルシングはミーナの墓を掘った。棺はかっらぽで裂け目から地中の空洞につながっている。天井から吸血コウモリがぶら下がっている。 その時、ヘルシングはあまりの恐ろしさに息を呑んだ。娘ミーナの変わり果てた姿が立っていた。「パパ、パパ・・・一緒に来て、休みましょう・・・」ミーナに首筋を噛まれそうになる瞬間、駆けつけたスウォードが差し出した十字架をミーナの額に押し付けた。悶絶し、ぐらりと父のほうへよろめいたミーナはヘルシングの持っていた杭に刺し貫かれた。「パパ・・・・」 娘の体を抱きしめながら声を出して泣くヘルシング教授。 ヘルシングとスウォードの留守中、胸騒ぎがして駆けつけたジョナサンは、ルーシーが寝室で死にかけているのを発見した。多量の失血と診断され、ジョナサンの血が輸血される。又、ルーシーの部屋の窓やドアにはニンニクがすり込まれた。 ヘルシングが鏡の前でウィスキーを一杯あおっていると、扉がゆっくり開き、ドラキュラが入ってきた。ヘルシングが見ている鏡には扉しか映らない。ヘルシングは一瞬にして全てを悟る。 ヘルシングがニンニクの束を差し出したが、それ程の効き目はない。 「賢い方だ。たった一度しか生きられない者にしては。それだけ賢いになら即刻オランダに帰られたが良かろう。過去500年間、私を妨害した者は等しく死んでおる」 ドラキュラの鋭い眼光にヘルシングはニンニクを取り落す。が、催眠術にかかったと見せかけ、いきなりオスチアーミサ聖祭で聖別されたパンーを差し出した。ドラキュラ、大きく喘ぐと、「冒涜だ冒涜だ」と叫び、窓から飛び出すと、狼に姿を変え走り去った。 ドラキュラがルーシーを連れてルーマニア行きの船に逃げ込んだのを追いかけて来たヘルシング教授らの一行。はたして、船蔵の奥まった場所に例の木箱があった。蓋を開けると、ドラキュラがルーシーを抱いて眠っていた。 ヘルシング、ドラキュラの胸に木杭を構える。その時、「やめて〜!」ルーシーの叫び声。一瞬の隙に目を覚ましたドラキュラが杭をはっしと掴んでいた。 投げ飛ばされたヘルシングに向かいドラキュラが突進した。杭がヘルシングの腹を貫通し、ヘルシングは壁に宙吊りになった。 ジョナサンがドラキュラに発砲するが効き目がない。思い余ったジョナサンが頭上に垂れ下がっていた鉤の手をドラキュラに投げつける。ドラキュラが難なく避けると鉤の手はヘルシングの近くの壁に刺さった。ドラキュラ、ジョナサンの首をねじり折ろうとしている。 瀕死のヘルシング、その鉤の手を引き抜くと、ドラキュラの背中に投げつけた。背中に鉤の手が刺さる。ジョナサンを投げ出し、ドラキュラは懸命に鉤の手を取ろうとした。立ち直ったジョナサン、レバーに走り、レバーを倒した。ロープがするすると巻き上がる。鉤の手に吊られたドラキュラがハッチを突き抜けマストの天辺にせり上がった。 強烈な太陽の日を全身に浴び、獣の悲鳴を上げながらドラキュラが炎に包まれていく。そして、それはマントをはためかせ、まるで一羽のコウモリのように海の彼方へ飛んで行くのだった。 ![]() |
| 映画館主から 監督は「サタディ・ナイト・フィーバー」で大ヒットを飛ばしたジョン・バダム。 ドラキュラ伯爵を演じるのは、今までのドラキュラとはまったく違う二枚目俳優、フランク・ランジェラです。 吸血鬼映画は恐怖的な側面と同時に官能的な反面がありますが、本作ではランジェラの起用もあいまって尚更強調しています。スウォード博士の娘ルーシーは、婚約者よりも強くドラキュラに心引かれ、ラストでは太陽に焼かれながらコウモリの姿で飛び去るドラキュラに復活を期待するのです。 ドラキュラ退治に乗り出すヘルシング教授に大御所ローレンス・オリビエが扮しています。オリビエはさすがに痛ましいほどの老人になっており、昔の気迫には欠けますが貫禄たっぷりです。その辺は、ナチスを追い詰める、オリビエの前作「ブラジルから来た少年」と酷似しています。 そして、ドラキュラに逆に串刺しにされながら命を賭してドラキュラを死に追いやるのですが、はたしてラストでドラキュラは死んだのでしょうか。コウモリに姿を変え大空の彼方へ飛んで行ったような終わりかたになっているのです。 怪奇映画に欠かせないドナルド・プレザンスも脇を固め、見ごたえのある一篇です。 参考文献:「キネマ旬報 1979年10月号」 |
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