| 白昼の決闘 1946・米 | |
![]() 製作:デビッド・O・セルズニック 監督:キング・ビダー 原作:ナイブン・ブッシュ 脚本:デビッド・O・セルズニック オリバー・H・P・ギャレット 撮影:リー・ガームス レイ・レナハン ハロルド・ロッソン 音楽:ディミトリ・ティオムキン 出演:ジェニファー・ジョーンズ グレゴリー・ペック ジョセフ・コットン リリアン・ギッシュ ライオネル・バリモア ハーバート・マーシャル ウォルター・ヒューストン チャールズ・ビッグフォード ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 1880年、南北戦争後のテキサスの町。 インディアンの混血娘パール・シャベース(ジェニファー・ジョーンズ)は、気丈な性格だった。ある日、淫乱な性癖を持つインディアン女の母親が行きずりの男と情事にふけっているのを知った父親、スコット・シャベース(ハーバート・マーシャル)が二人を銃殺した。パールは嘆き悲しむ。スコットはパールをまたいとこであり、昔の恋人であったローラ・マカンレスに託して絞首台に消えていった。 マカンレス家は広大な牧場を持つ資産家だった。ローラ(リリアン・ギッシュ)は優しくパールを迎えた。主のマカンレス(ライオネル・バリモア)は事故の怪我で車椅子の生活だったが、眼光鋭く、口の悪い頑固親父だ。 二人の息子の兄ジェシー(ジョセフ・コットン)は理性的な紳士だが、弟のルート(グレゴリー・ペック)は粗野で不躾な男だ。 マカンレスはパールの父親がかってローラと恋人同士だったのを知っているためか、パールを歓迎していない。 「パール、真珠(パール)ってのは白いもんだ」マカンレスがパールにイヤミを言う。混血のパールの肌は褐色なのだ。パールはマカンレスを睨みつける。 パールはジェシーに色々教えてもらいたいと思う。ローラのようにピアノも弾きたいし、淑女になる勉強もしたい。だがジェシーはつれない態度だ。 そんな夜、パールの部屋にルートが押し入り、いきなりパールにキスをした。 「ひどい人!大嫌い!」 パールは激昂した。ルートが出て行ったドアに唾を吐き掛ける。 「パールのことはかまうな、将来が楽しみな子だ」 ジェシーがルートに言った。 「へっ、自分がもう、ツバをつけたからか?」 ルートはふてぶてしい。 ルートはパールが負けず嫌いな女とみて、馬を使って気を引く。 「鞍を付けずに乗れるか?」 「乗れるわ!」 パールを乗せた馬が暴走した。慌てたルートが後を追う。平原でパールが馬から振り落とされていた。 「鞍なしで乗ったことないのか」とルート。「あるとは言ってないわ」パールも強気な女で負けていない。 ある日、パールがサンプの池で泳いでいると、いつの間にかルートが現れ嫌がらせをした。裸のパールは池から出られない。夕食に遅れて帰った二人を見てローラは不安になる。 ローラに呼ばれた教悔師ジュバル・クラブ(ウォルター・ヒューストン)は、訳のわからぬ説教をしてパールを懲らしめる。 牧場の境界まで鉄道が延びて来ていた。マカンレスは鉄道建設に反対だった。マカンレスは鐘を打ち鳴らし、牧童たちを集結すると鉄道の建設現場へ向かった。 マカンレスの領地の境界には鉄条網が張り巡らしてある。鉄道はもうそこまでレールが引かれてあった。マカンレスは鉄道建設を推進してきたラングフォード(オットー・クルーガー)と対峙した。 「法律なんかクソ喰らえだ!これがわしの法律だ!」牧童たちが一斉に銃を構えた。「土地へ侵入する者は射殺する!」 その時、ジェシーが言った。「父さんは間違ってる。鉄道は必要なんだ」 そして、鉄条網を潜り鉄道側に行き、カッターで鉄条網を切ろうとした。 「切ったら作業員を撃つぞ!」 マカンレスが叫んだ。ちょうどその時だ。ラッパを吹き鳴らし、テキサス兵の大軍が駆けつけた。国旗を見てマカンレスは「国旗を撃つことはできん」と、牧童たちを引き上げさせたのだった。 父親の逆鱗に触れたジェシーは勘当された。家を出て行く支度を整え、パールの部屋へ行くと、パールはルートと一緒のベッドにいた。「・・・・」 失望したジェシーに、「どこへ行くの?」 「オースチンへ行く、勘当されたんだ」 「仕方なかったのよ、私をふしだらな女と思ってるんでしょ」 「ルートを頼れ・・・実は君を愛していたんだ・・・」 パールは泣き崩れた。 サンプの池でパールはルートに抱かれていた。「結婚してくれるのね」 「するよ」 だが、そんな約束は簡単に反故にするルートだった。パーティの夜、ルートはパールに向かって言う。「女に縛られるのはごめんだね、特に混血の女には」」 教悔師ジュバル・クラブの話ではオースチンのジェシーは大成し、ラングフォードの娘ヘレンと結婚するらしい。 パールは半ば自棄になった。そんな時、パールに求婚してきた中年男、サム・ピアース(チャールズ・ビッグフォード)に「いいわ」と答えたのだ。パールはサムとダンスし、ルートに見せつける。 結婚式の前の日、酒場にいたサムにルートが言いがかりをつけた。 「人の女を盗みやがって、パールはいつまでも俺の女だ」 そのまま、サムを撃ち殺した。 ルートは殺人者としてお尋ね者になった。ルートに甘いマカンレスは金を持たせ逃がせる算段をした。 ローラは体が弱ってきていた。二人の息子はいなくなり、幼い頃の写真を見て嘆くのだった。 別れ際、パールの部屋に行くルート。パールは銃をルートに向けた。しかし、ルートに抱きすくめられるとメロメロになってしまう。 「メキシコへ行く。でっかい牧場を手に入れてみせる。ここの連中を見返してやるんだ」 「素敵だわ、一緒に連れてって!」 「付きまとわれるのは嫌だ」 「私は役に立つわ!」 パールがしがみ付く。「私はあなたの女よ、好きなの、他の男じゃいや!」 「うるせえ!」 ルートは非情にもパールを突き飛ばして去った。 ローラが死の床にあった。マカンレスは若き日の自分をローラに詫びた。 「俺が悪かった、嫉妬していたんだ・・・」 「・・・あなた、私を許して・・・あなたは私の夫よ・・・」 マカンレスの腕の中でローラの息が絶えた。 ジェシーが来た時、既にローラは棺の中だった。パールはローラの死後、馬小屋に閉じ篭っていた。ジェシーが馬小屋に行くと・・・パールがいた。 「・・・私はルートの女よ」 「愛してるのか」 「憎いわ!殺したいくらい」 「・・・苦しんだんだね・・・」 立派な法律家となったジェシーはパールを迎えにきたのだった。 「私と一緒にこないか、ヘレンとも仲良しになれるよ、君は学校へ行きたいと言っていたね・・・ワルツや話し方を覚えるんだ」 パールはそれを聞いて目を輝かした。 「ジェシー!・・・あなたのためなら、死んでもいいわ」 町に舞い戻ったルートの呼び出しを受け、ジェシーが出向くと、ルートは丸腰のジェシーを撃った。だが幸い、弾は急所を外れジェシーは一命を取り留めた。マカンレスはジェシーの前で言う。「わしは、間違いを犯してたのかもしれん、ルートを甘やかしすぎた・・・」 夜、ルートの子分がやって来てパールに告げた。 「ルートが国境を越える前に別れを言いたいそうだ、『女の顔』に隠れてる・・・着いたら銃を2発だ。2、3日かかるぞ」 今やパールはルートへの復讐心しかない。褐色の肌が怒りに燃えていた。 パールは馬で険しい山道を登っていく。『女の顔』に着いた時、空に銃を放った。遠くの岩山で手を振るルートが見えた。パールは不敵に笑みを浮かべ、狙いを定めて撃つ。ルートが倒れる。それを見たパールは泣いた。「ルート!」 駆け寄ろうとした。銃声がして、パールが撃たれた。傷ついた二人はお互い、近づきながら撃った。 パールが最後の高台を這い登るとルートが横たわっている。 「ルート!」 パールも瀕死だった。 「パール!・・・もう一度だけ・・・抱きたい・・・好きなんだ・・」 パールはいずりながらルートの元へ。二人は必死に抱き合った。「ルート・・・あなたが・・・好きよ・・・」 抱き合ったまま、ルートが・・・追うようにパールが死んでいった。 |
| 映画館主から インディアンとの混血女を演ずるジェニファー・ジョーンズの魅力が「白昼の決闘」の一番の見所といえます。 原作を書いたナイブン・ブッシュは、パール役を自分の妻、テレサ・ライトに演じさせたかったのだそうですが、原作を買い取った大プロデューサー、デビッド・O・セルズニックは、「風と共に去りぬ」以来の力の入れようで、当然のごとく自分の妻、ジェニファー・ジョーンズをその役に就かせたのです。 そしてその狙いは成功したといえます。テレサ・ライトはヒッチコックの「疑惑の影」(’43年)などで活躍していた清楚でチャーミングな女優ですが、ジェニファー・ジョーンズの演じたような野性味は多分無理だったに違いありません。 27歳のジェニファーはグレゴリー・ペックとジョセフ・コットンの二人の男の間で揺れ動く女心を複雑に演じきり彼女の代表作の一本となりました。特にラストでのペックとの愛憎がないまぜになった泥まみれの演技が圧巻です。 すでにデビュー作の「聖処女」(’43年、監督:ヘンリー・キング)でオスカーを得ていた彼女は、さらに押しも押されぬ大スターの座を獲得し、以後も「黄昏」(’52年)、「終着駅」(’53年)、「慕情」(’55年)、「武器よさらば」(’56年)などの名作で主役を演じています。 キャストが凄い。さきの3人のほかに、ハーバート・マーシャル、ライオネル・バリモア、ウォルター・ヒューストン、チャールズ・ビッグフォードそれに往年の名花リリアン・ギッシュとくれば、もう何も言うことはありません。 当時としては破格の600万ドルという予算をかけただけあり、2500人に亘るキャスト、6千有余のエキストラ、2000頭に及ぶ牛馬の大群、そしてそれらが駆け巡るアリゾナの大平原を見事に捉えたキャメラワークが血沸き肉踊る西部劇の醍醐味を堪能させてくれるのです。 監督のキング・ビダーは、サイレント時代から多くの映画を撮ってきた人で、戦後も本作の他に「摩天楼」(’49年、主演:ゲーリー・クーパー)、「戦争と平和」(’56年、主演:オードリー・ヘップバーン)、「ソロモンとシバの女王」(’59年、主演:ユル・ブリンナー)などで知られています。 参考文献:公開時パンフレット |
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