「足ながおじさん」
足ながおじさん
  1955・米
足ながおじさん

製作:サミュエル・G・エンジェル
監督:ジーン・ネグレスコ
原作:ジーン・ウェブスター
脚色:フィービー・ヘフロン
    ヘンリー・ヘフロン
撮影:レオン・シャムロイ
音楽:ジョニー・マーサー
    アルフレッド・ニューマン
    ケン・ダービィ
    アレックス・ノース
    エドワード・G・パウエル
    他

出演:フレッド・アステア
    レスリー・キャロン
    テリー・ムーア
    セルマ・リッター
    フレッド・クラーク
    シャーロット・オースティン
    キャスリン・ギヴニー

孤児院でのレスリー・キャロン(左)

フレッド・アステアとレスリー・キャロン

足ながおじさん

足ながおじさん
物語

ニューヨークの大富豪ペンドルトン3世(フレッド・アステア)がフランス旅行をしているときのことだ。
車が道の溝にはまり動けなくなった。近くにジャンヌ・ダルク孤児院があった。
ペンドルトンは電話を借りようとした。院長が来るまで院内を見ていたが、教室で子供たちに勉強の世話をしている若い女性に気づいた。
 
18歳のジュリー(レスリー・キャロン)はもともと孤児であったが院長が引き取りここで育ててきた。そして今は先生の立場で孤児たちに勉強の面倒をみているのだった。
明るくはきはきして、ユーモアがあった。孤児たちも懐いているようだった。
ペンドルトンはジュリーを一目見て気に入った。
 
電話で手配したポンコツ車でパリのアメリカ大使館に向かった。ここのアメリカ大使はペンドルトンの友人だった。
大使にジャンヌ・ダルク孤児院のジュリーをアメリカの大学で勉強させてやりたいと申し出た。大使はペンドルトンが実名を出さず保護者としてならいいだろうと許可を出した。何しろペンドルトンは30以上の企業の大経営者なのだからゴシップは禁物なのだ。
 
院長はジュリーにアメリカの大学に行けると伝えた。夢のような話にジュリーは躍り上がる。
ジョン・スミスという人が保護者で、費用は全額無料。ただ、月の一回、ニューヨークに住むその人に大学での様子を手紙で知らせるというのが条件だった。
ジュリーは子供たちに聞いた。
「どんな人だった?」
「やせていて背が高く、すごく足の長い人よ」 女の子が答えた。
それからジュリーはその人を『足ながおじさん』と呼ぶようになった。
 
初めての飛行機。窓からアメリカの街が見える。
ジュリーはマサチューセッツのウォルストン大学に入学した。
大きなトランクが送られきた。たくさんの衣類が入っている。
「ブランド品ばかりよ」 学友たちが羨ましがる。
 
ジュリーは毎月『足ながおじさん』に手紙を書いて送った。
だが『足ながおじさん』からは一度も返事がない。
ジュリーの手紙はペンドルトンの秘書がファイルしていた。秘書が手紙のことを伝えてもペンドルトンは仕事にかまけて読もうとしない。
まるでジュリーの存在を忘れているかのようだった。
 
『毎月、感謝の手紙を書き続けているのに返事がきません。書き続けるのが辛いのです。私には興味がないのですか。褒めも怒りもせず、まるで機械の父のよう・・・』
秘書のプリチャード(セルマ・リッター)は手紙を読んで泣いた。あまりにジュリーが可愛そうだ。
「人間には肉も血も感情もあるのよ!」 プリチャードはもう一人の秘書クリッグズ(フレッド・クラーク)に訴えた。
クリッグズはペンドルトンにジュリーの手紙の溜まったファイルを投げ出して叫ぶ。「人間には肉も血も感情もあるんだ!」クリッグズはペンドルトンの古くからの友人でもあった。
 
ペンドルトンは2年前にジュリーをアメリカの大学に入学させていたことを殆ど忘れていた。
しかし、秘書の訴えを無碍にもできず、ジュリーの手紙を読み進んでいくうちにペンドルトンの頭に夢想の世界が広がっていった。
 
ペンドルトンはジュリーのクラスメイトのリンダ(テリー・ムーア)の伯父として大学を訪れ、ジュリーに会った。
孤児院の頃のジュリーと打って変わったジュリーの美貌に驚いた。
大学のダンス大会に出たペンドルトンはジュリーと踊る。二人のダンスはまわりのため息を誘った。

庭で休憩しているときジュリーが言った。
「私は保護者がいるの」 「どんな人?」 「ノッポで痩せてて杖で歩いてる。禿げてて回りが素敵な白髪。私、大学を出たらその人と暮らすのよ」
ジュリーは『足ながおじさん』を想像の世界で語るのだった。
ペンドルトンはジュリーを愛おしく思い始めていた。
 
とうとうジュリーの大学卒業式の日。ペンドルトンの秘書のプリチャードが来ていた。『足ながおじさん』にジュリーを会わせるためだ。
プリチャードはジュリーをニューヨークへ連れて行きある邸宅の前でジュリーを降ろした。「ここが『足ながおじさん』の家よ」

邸宅に入ったジュリーは壁に飾ってある肖像画を見て悟った。ペンドルトン3世、2世の肖像画。大学のダンスパーティに来たクラスメイトのリンダの叔父の顔にそっくりだ。
あれは嘘だった。彼が「足ながおじさん』だったのだ!

ジュリーの前にペンドルトンが現れた。二人は踊る。ペンドルトンがジュリーに結婚を申し出た。踊る二人を秘書のクリッグズと
プリチャードが微笑ましく眺めていた。

大学ダンスパーティ
映画館主から

アメリカの女流作家ジーン・ウェブスターの同名小説の映画化です。
何度も映画化されているのですが、本作はミュージカル仕立てになっており、フレッド・アステアとレスリー・キャロンの息の合ったダンスに魅了されます。

フレッド・アステアは言わずと知れたダンス映画の大御所ですが、レスリー・キャロンはフランス人の父親とフランス人の母親の間に生まれたバレリーナの経験を持つダンサーです。
ジーン・ケリーに見出され「巴里のアメリカ人」(1951年)で映画デビュー。
その可愛らしい顔立ちと切れの良いダンス、アステアとの絶妙なダンスは見もの。特に大学のダンスパーティの二人の踊りは圧巻です。

物語は大富豪に見出された孤児が毎月手紙を出すと言う条件で大学に行かせて貰う。しかし孤児には保護者が誰なのか分かりません。
偽名を使って会いに来た素敵な中年男に惹かれるが実はその人こそが『足ながおじさん』と分かり最後には結ばれるというシンデレラ・ストーリーです。

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