| エデンの東 1955・米 | |
![]() 製作:監督: エリア・カザン 原作:ジョン・スタインべック 脚本:ポール・オズボーン 撮影:テッド・マッコード 音楽:レナード・ローゼンマン 出演:ジェームズ・ディーン ジュリー・ハリス レイモンド・マッセー ジョー・バン・フリート ![]() ![]() ![]() |
物語 時は1917年。うらぶれたモントレーの街。 キャル(ジェームズ・ディーン)は黒装束の女の後をつけていた。女は酒場と売春宿を経営するケート(ジョー・バン・フリート)だ。キャルは出てきた用心棒に追い返される。「あの女に言え。大嫌いだと・・」キャルは叫ぶ。 モントレーから24キロ離れた静かな街、サリナス。農場を営むアダムは敬謙なクリスチャンで、厳格な男だった。双子の息子の兄アロンは真面目で優秀だが、弟のキャルは暴れん坊で、反抗的な性格だった。 父アダムはアロンを可愛がり、キャルには手を焼いていた。アロンの恋人アブラはそんなキャルが何かと気がかりだった。 キャルは幼い頃死んだと聞かされていた母親が生きていて、モントレーで酒場を経営しているという話を人づてに聞いた。それがケートだった。 ある日、キャルはアダムに話した。「母さんは生きている」 アダム「・・・・」 キャル「人は善も悪も親から譲られるのに、僕は悪だけ受け継いだんだ」 アダム「それは違う!動物と違い人は道を選べる」 キャル「母さんはどんな人?」 アダム「憎しみにあふれた女だった」 アダムは野菜を冷凍して輸送する計画を研究していたが、ある時、その輸送列車がなだれのために立ち往生し、氷が溶けてレタスが全滅、アダムは無一文になった。 キャルはアダムを助けようと、大豆の栽培を密かに計画する。アメリカが参戦すれば大豆の相場が急騰する。そのための資金を借りるため、モントレーのケートに会いに行くキャル。ケートは度々やって来る青年が自分の息子だと知っていた。「お前は私に似てるね。父さんの聖人ぶりが良く解るだろう?」 母親に5000ドルを借りるキャル。 大豆を育てるキャル。その頃、アメリカがドイツに宣戦布告した。パレードの日、ドイツ人をめぐっての争いの中で、キャルはアロンを殴ってしまった。その夜、アブラの家に忍び込んだキャルは寝ていたアブラを起こした。「パパの損失を取り戻したい。豆で儲けたんだ。パパの誕生パーティでそれを贈りたい。パーティを手伝ってくれ。飾り付けをしてね」 「すごいわ!キャル。」アブラは喜んで協力を約束した。 アダムの誕生パーティの日。帰ったアダムにアロンがアブラと告げた。「僕たち婚約しました。それがパパの誕生日の贈り物です」 アダムは満面笑みで答えた。「何よりの贈り物だ。おめでとう!」 続いてキャルが紙の包みをアダムに差し出した。アダム「・・・何だ、これは?」 キャル「パパの損失を埋めるために、豆で稼いだ金です。受け取ってください。」 アダムの顔色が変わった。「この金は返せ!徴兵委員の私の署名で若者が戦争に行く。戦死する者もいる。その私が戦争で金儲けか?この金は受け取れん!」 キャルは悲痛に泣き、アダムにもたれた。「私を喜ばせたかったら、善人として一生を送れ!」アダムは言った。 外に出た失意のキャルに同情したアブラが寄り添った。アロンが言った。「昔からお前には迷惑してきた。お前は悪人だ。」 やがて、キャルがアロンに言うのだった。「母さんは本当に天国かな?」 アロン「・・・・・?」 モントレーの酒場にキャルがアロンを連れてきた。ケートの部屋へ入るとケートがもう一人青年がいるのを知り怪訝な顔になる。アロンは青ざめていた。キャルは「母さんだ。早く挨拶しな!」と、アロンをケートに向かって突き飛ばした。悲鳴をあげるアロンを残し、立ち去るキャル。 アダムのもとへ知らせが入った。「アロンが兵役を志願し、列車に乗ったぞ」 アダムが駆けつけた時、今しも発車する列車にアロンがいた。泥酔したアロンは父親を見ると、笑い出し、窓ガラスを額で割ったのだ。アダムはショックで倒れた。 脳卒中で倒れたアダムは病院のベッドに横たわっていたが、死は時間の問題だった。冷ややかな看護婦が担当だった。キャルとともに見舞っていたアブラは、アダムの耳元で言うのだった。「愛されないほど辛いことはありません。愛されないと心がねじけます。キャルがそうだったのです。彼を愛してます。彼を立ち直らせてあげて・・・」 アダムの口元が動いた。キャルが耳を寄せた。キャルの目が潤んでいた。「あの看護婦は気に入らん。お前に看護して欲しいって・・・」 アブラは泣いた。父と子の気持ちが通じ合った。 |
| 映画館主から 1955年に撮影所内で愛車のポルシェで激突死したジェームズ・ディーンの実質的なデビュー作です。彼は愛情に飢えてさすらう屈折した青春像を鮮烈に演じました。このあと「理由なき反抗」「ジャイアンツ」と計3本の映画にしか出演してませんが、彼の個性は充分発揮され、弱冠24歳の死後、半世紀にもなる現在に至っても伝説のスターです。 原作は旧約聖書の「カインとアベル」の物語に材を得た、ジョン・スタインべックの名作です。 エリア・カザン監督は貧しいユダヤ系ギリシャ移民の子としてイスタンブールに生まれました。ニューヨークの舞台演出を経て映画界に進出。「紳士協定」(’47)で、アカデミー作品賞、監督賞を獲得しました。若手のスターを見出す才能があり、「欲望という名の電車」「革命児サパタ」(’51)「波止場」(’54)で、マーロン・ブランドを、「エデンの東」でジェームズ・ディーンを、「草原の輝き」(’61)でウォーレン・ベイテイをトップスターに育てました。 戦後の米ソ冷戦のあおりを受けて、ハリウッドの赤狩り旋風の対象とされながら、転向を誓い、ハリウッド追放を免れた彼は、リベラル派から裏切り者のレッテルを貼られた時期もありました。 「エデンの東」は高校生の時、リバイバルで初めて観て感動しました。特にラストシーン、反抗的な主人公が父親の看護をするところで泣いてしまいました。ビデオで何回か観ても不思議とその場面で必ず泣きます。 母親を演じたジョー・バン・フリートはその複雑な愛情表現が際立っており、アカデミー助演女優賞を獲得しています。 又、アブラを演じたジュリー・ハリスも、母親のような慈愛のこもった演技が忘れることはできません。 レナード・ローゼンマンのテーマ曲も映画とともに永遠に人々の記憶に残るでしょう。 |
|
|