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「針の眼」 |
| 針の眼 1981・英 | |
![]() 製作:スティーブン・J・フリードマン 監督:リチャード・マーカンド 原作:ケン・フォレット 脚本:スタンリー・マン 撮影:アラン・ヒューム 音楽:ミクロス・ローザ 出演:ドナルド・サザーランド ケイト・ネリガン イアン・バネン ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 1940年、ロンドン。 鉄道公務員フェイバー(ドナルド・サザーランド)は、アパートの部屋でモールス信号をどこかに送っているところを大家の夫人に見咎められ、ナイフで夫人を刺し殺した。 フェイバーは、ナチスのスパイで暗号名は『針』であった。 1944年、第二次世界大戦も末期。『針』に総統ヒットラーから指令が出された。東アングリアの米軍を調査せよ、というものだった。写真を撮り、総統に直接渡すこと、そのためにスコットランド沖に一週間後から一週間、Uボートで待機するという。 『針』は、東アングリアの空軍基地に忍び込んだ。ずらりと並んだ飛行機は近づいて見ると、何と本物ではなく、張子の虎であった。基地も飛行機も敵の目を欺くための偽装だったのである。『針』はそれらをフィルムに納めた。 この基地が偽装だとすると、連合軍、パットン軍団はパドカレーではなくノルマンディに上陸する可能性が高い。『針』はそう判断した。 『針』は、敵の見張りに見つかると、飛び出しナイフで刺し殺し逃げる。 英国情報局員ゴドリマン(イアン・バネン)は、もと『針』ことフェイバーの後輩であったビリー・パーキンの協力で、『針』の消息を追っていた。 『針』は、1900年、5月26日西プロシア オルン生まれ。父親がワシントン在米大使館付武官だったので私立学校へ通い、英語は堪能だった。 31年、ヒットラーに会う。33年、ヒットラーが権力を握り、『針』はベルリンに配属。38年、姿を消した。そこまでが彼らの知っているすべてだった。 英国情報局員ゴドリマンは列車を止め、ビリー・パーキンと乗り込んできた。この列車の中に空軍基地を撮影して逃げる『針』がいる筈だ。 乗り合わせた乗客とトランプをしていた『針』は異変に気付き、車内を移動した。ゴドリマンは刺し殺されたビリー・パーキンの死体を発見した。『針』は走る列車から飛び降りた直後だった。 『針』はバイクを盗みオーバンへ、そこから又盗んだ船でストーム島へ向かった。ところが、折りしも天候が崩れ海は荒れた。小さな船はひとたまりもなく木っ端微塵になった。 ストーム島でただ一軒の家、そこにはまだ若い夫婦と小さな男の子が住んでいた。若き妻ルーシー(ケイト・ネリガン)は夫デビッドを愛してはいるが、肉体を持て余していた。それというのもデビッドは、結婚式の日、酒を飲んで車を運転し、事故を起こしたのが原因で、以来車椅子の生活になっていた。 デビッドは戦闘機乗りでスピットファイヤーに乗る筈だったのが果たせなくなり、性格までもがゆがんでしまっていた。 そんなルーシーの家に瀕死の『針』がたどり着く。ルーシーの介抱を受けた『針』は快復していった。『針』は自分は作家でヘンリー・ベイカーと名乗った。 夜、ルーシーと二人になり、彼女の身の上話を聞いているうちに、この女が不憫になっていった。 「あなたが不幸なのが悲しい」 『針』は言った。二人はどちらからともなく抱き合った。そして狂おしいほどの抱擁にのめりこんで行くのだった。 翌朝、デビッドは灯台へ行くと、『針』を誘った。車で灯台に向かう。ストーム島の灯台には灯台守のトムがいるが、この男は大抵飲んだくれて眠っている。 灯台の中を見て戻った『針』にデビッドが銃を向けた。「フィルムを出せ」 「・・・?!」 デビッドは『針』に疑惑を抱いていたのだ。しかし、『針』は彼の銃を取り上げ、銃座で突き上げると気絶したデビッドを断崖まで引きずっていく。 しかし、気が付いたデビッドは『針』と格闘になり断崖の上でもみ合った。デビッドを断崖から突き落とした『針』は何食わぬ顔でルーシーの家に戻った。 翌朝、ルーシーは散歩の途中、海岸でデビッドの死体を発見した。作家ヘンリー・ベイカーに疑惑を感じたルーシーは、夜、子供を連れて灯台へ逃げた。灯台守のトムも殺されていた。必死でSOSを発信するルーシー。英国情報局が察知して返信を送ってきた。「すぐに向かう。だがすぐに無線機を破壊しなさい」「・・・?」 その時、『針』が灯台のドアを叩いた。ルーシーは銃を発砲したが弾が切れた。ドアを開けて入ろうとした『針』の手に斧を振り下ろした。「ヒーッ!!」指を切断された『針』はさすがに七転八倒し転げまわる。しかし、彼は名うてのスパイだった。灯台に火を放った。 ルーシーが必死で火を消し止めると、『針』が入って来た。そしてどこかに無線連絡を始めた。ルーシーは電球のコンセントに指を入れてショートさせた。ショック状態のルーシーに『針』は言った。「何もかも戦争のせいだ。解ってくれ。・・・すまない・・・」 『針』が去っていく。辺りは明るくなっていた。沖のかなたにUボートの姿が見えた。銃声がした。更に銃声!!足を弾が貫きもんどりうって転がる『針』。拳銃を構えたルーシーが走って来た。砂浜のボートを引きずる『針』に狙いを定めた。夫の仇だ。それと同時にあの夢のような陶酔の夜に対する裏切りへの復讐心だった。最後の銃弾が『針』の胸を貫いた。 |
| 映画館主から ケン・フォレットのベストセラースパイ小説「針の眼」をリチャード・マーカンドが監督したスパイスリラーの一級品。 ナチススパイ『針』の非情なまでのクールな行動と殺人。北海の孤島での人妻との恋。さすがの『針』もこの女性だけは殺せなかったために、逆に自分が命を落とす結果になります。 しかも、連合軍のノルマンディ上陸という一大情報をヒットラーに渡す前に。 全編がスリリングな展開で息つく暇がなく、北海の孤島の描写も見所です。 リチャード・マーカンドは本作により認められ、「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」(’83年)で監督に起用されています。 ナチスのスパイ『針』を演ずるドナルド・サザーランドは一度見たら忘れられない顔の持ち主です。凄みがあります。そんな彼も傑作ブラック・コメディ「M★A★S★H」(’70年、ロバート・アルトマン監督)では、エリオット・グールドとともに珍妙な迷演技を披露してくれました。個性派俳優、性格俳優というのはこういう人のことでありましょう。 彼の息子、キーファー・サザーランドも俳優ですが、父親の貫禄と個性にはなかなか追いつけそうにありません。 人妻を演じたケイト・ネリガンはかなり魅力的ではありますが、美人であるか、そうでないかは見る人の好みの問題です。 |
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