| ミクロの決死圏 1966・米 | |
![]() 製作:ソール・デビッド 監督:リチャード・フライシャー 脚本:ハリー・クライナー 美術:ジャック・マーティン・スミス デイル・ヘネシー ウォルター・スコット スチュワート・A・ライス 撮影:アーネスト・ラズロ 音楽:レナード・ローゼンマン 出演:スティーブン・ボイド ラクエル・ウェルチ エドモンド・オブライエン アーサー・ケネディ ドナルド・プリーゼンス ![]() ![]() |
物語 鉄のカーテンの向う側からアメリカに亡命して来たベネシュ博士は、その直後スパイ一味の襲撃を受け、脳内出血で病院に担ぎ込まれた。 ベネシュ博士からの情報を得るためには何としても博士を蘇生させなければならない。しかし、博士の脳内出血は外科手術が不可能と解った。将軍(エドモンド・オブライエン)は、新開発の医療技術を決行する決心をした。 アメリカ情報部員グラント(スティーブン・ボイド)はベネシュ博士の亡命を手助けしたのだが、すぐさま将軍に召集された。 博士の命を救うための方策を将軍から聞かされたグラントは驚愕した。 その方策とは、医療団をミクロ化して体内に送り込み、血管を通って患部にたどり着き手術をするというものだった!!しかもミクロ化のタイムリミットは60分。それを過ぎると元に戻ってしまう。 潜水艦の乗組員は、脳外科医デュバル(アーサー・ケネディ)、その助手ピータースン(ラクエル・ウェルチ)、循環器専門医マイケルズ(ドナルド・プリーゼンス)、艦長オウエンズ、それにグラントの5人だ。 潜水艦に搭乗した5人は、いよいよ人類初の旅に出るのだ。潜水艦に照射した光は潜水艦を見る見るミクロ化してゆく。第二段階、第三段階・・・。 とうとう注射器の中に収まった潜水艦はベネシュ博士の頚動脈に注入された。 潜水艦が猛スピードで人間の動脈を進む。5人は目を見張った。初めて見る小宇宙! 無数の血球が飛び交う神秘の世界だ。「哲学者は正しかった・・・人間は宇宙の中心だ」 デュバルは思わず呟いた。皆、その幻想的な光景に感嘆した。 ベネシュ博士を取り巻く一団は、将軍を中心に見守っていた。リーダーで潜水艦の位置は確認できる。 潜水艦は乱流に巻き込まれ頚静脈に入ってしまった。これでは脳内に行けない。かといって動脈に戻るには血液の流れに圧し戻される。 潜水艦からの無線を受けた将軍は賭けに出た。60秒間だけ心臓を止め、その間に潜水艦を心臓経由で通らせるというもの。 電気ショックにより、ベネシュの心臓が止まった。潜水艦は静脈から右心房へ、更に肺へと急いだ。心臓の弁を通過した瞬間、再び心臓が動き出した。 肺の中を進む潜水艦の浮力が落ちた。エアーポンベの故障だ。このままでは沈んでしまう。グラントが提案した。「幸い、ここは肺だ。酸素は一杯ある」 グラントは艦の外へ出るとエアーホースで肺から酸素を取り込む。肺はまるで暴風だった。やっと浮力が回復し、一行は内耳へと向かった。 レーザー銃に故障が発見された。配線の一部がショートしていた。レーザー銃が使えないと治療ができない。「中止して脱出しよう」マイケルズは主張したが、デュバルは反対した。グラントが無線機を分解し始めた。「何をする。外部と連絡できなくなるではないか」マイケルズが叫ぶ。「外からも我々の位置は解る」とグラント。無線機の配線コードを使いレーザー銃を修理するデュバル。 ベネシュの内耳にいた潜水艦は突然、大音響とともに嵐に巻き込まれた。 手術室にいた看護婦の一人が誤って手術用のハサミを床に落としてしまったのだ。抗体が襲ってくる。命がらがら、一行は脳内にたどり着いた。 ようやく脳内出血の患部を見つけたが、時間が迫っていた。あと6分の間に手術し、脱出しなければミクロ化が解かれてしまう。マイケルズが再び意義を唱えた。「脱出しないと死ぬぞ」 しかし、デュバルはレーザー銃を持って艦の外へ出た。グラントとピータースンも続いた。患部をレーザー銃を照射して焼ききっていく。 その時、艦内にいたマイケルズはオウエンズ艦長を殴って気絶させ、潜水艦を発進させた。やっと患部を焼ききった3人はそれに気付き、潜水艦にレーザー銃を照射した。潜水艦は壁に激突し止まった。 艦内でオウエンズ艦長が息を吹き返した。グラントたちは艦長を艦の外へ脱出させた。マイケルズは潜水艦の中に挟まれて身動きできない。そこへ抗体が襲ってきた。「逃げろ!」 潜水艦は抗体に取り付かれて吸収されていった。 「時間だ」 将軍はあせった。ミクロ化が解かれてしまう。ベネシュの頭部にメスが入ろうとしていた。「待て!彼らも一番の近道を知ってる筈だ。目だ!」 その時、ベネシュの目から涙とともに医療団の一行が出てきた。取り出された一粒の涙は、床の上で見る見る元の人間の姿に戻っていった。 手術は成功した。将軍たちは一行の偉業を称えるのだった。 |
| 映画館主から 監督は「海底二万哩」のリチャード・フライシャー。 ストーリーは、患者の命を救うため、ミクロ化された人間が患者の体内に入って治療するという奇抜な着想です。見ものは何と言っても人体内部の神秘的な映像です。大宇宙のようでもあり、海底のようでもあります。血球や抗体や無数の繊維質が浮かぶ空間。血管の壁、心臓の弁、脳内の風景・・・それらは、幻想的で息を飲むほどです。 現在のようなCG(コンピュータグラフィックス)が無い時代の特撮としても、その出来栄えは感嘆に値します。 アカデミー賞の美術監督賞、特撮視覚効果賞を得ていることも納得できます。 私は以前、病院の検査で光ファイバーカメラで胃や大腸の中をモニターで見せられた時、思わず「ミクロの決死圏だ!」と心の中で叫んだものでした。 主演のグラントに大作「ベンハー」のスティーブン・ボイドが扮しています。彼は残念ながら’77に39歳の若さで亡くなりましたが、「ベンハー」「ローマ帝国の滅亡」とともに本作が代表作になりました。 脇をベテラン、エドモンド・オブライエン、アーサー・ケネディ、ロナルド・プリーゼンス、それに紅一点グラマー女優ラクエル・ウェルチが彩りを添えています。 |
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