| ガープの世界 1982・米 | |
![]() 製作:監督: ジョージ・ロイ・ヒル 原作:ジョン・アービング 脚本:スティーブ・テシック 撮影:ミロスラフ・オンドリチェク 音楽:デビッド・シャイア 出演:ロビン・ウィリアムズ メアリー・ベス・ハート グレン・クローズ ジョン・リスゴー ジェシカ・タンディ ヒューム・クローニン ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 看護婦のジェニー・フィールズ(グレン・クローズ)は赤ん坊を連れ実家に戻ってきた。「T・Sガープよ」 ジェニーは赤ん坊を両親に紹介した。 「父親はドイツから瀕死の重傷で運び込まれた軍曹よ、脳をやられていたわ。なのにどういう訳かいつも勃起していた、私がまたがると彼はたちまち射精してベビーが出来たの、彼はそのまま死んだわ」 ジェニーが説明すると、母(ジェシカ・タンディ)は卒倒し、父(ヒューム・クローニン)はおろおろするばかりだった。 ジェニーは『エベレット・ステアリング・アカデミー』という男子学校に住み込みの看護婦として働き始めた。ガープは想像力逞しい少年に育っていた。父親はパイロットだったと信じており、絵を描いては空を飛ぶ空想に耽っていた。 近所に住むおませな女の子クッシーと遊ぶガープ。それを物陰から見ていたクッシーの妹プーが犬のボンカーズをけしかけた。ボンカーズはガープの耳に噛み付いた。ガープの手当てをしたジェニーは怒りクッシーの父親に食って掛かった。「犬を出しなさい、安楽死の注射をしてやる!」 「味が良かったんだろう」と、彼は取り合わなかった。 ある夜、パイロットを夢想するガープが屋根の上で飛行訓練の真似をしていて足を滑らした。雨樋にぶら下るガープを窓から身を乗り出したジェニーがガープの片足をつかんだ瞬間、雨樋が落ちた。ガープはジェニーによって一命をくい止めたが下にいた校長は落ちてきた雨樋に当たり怪我をした。 校長を看病しながらジェニーは話した。「・・・軍曹が勃起しているのを見て、私は思ったの、夫婦の務めに縛られず妊娠するチャンスだと・・・当直の夜、私はまたがったの・・・」 「・・・き、君は、死にかけてる男をレイプしたのか!こんな酷い話は初めてだ!」 校長は憤り、手当てもそこそこに部屋から出て行った。 「ママの両親もお前のパパも死んだ・・・いつか、私もお前も死ぬのよ・・・死ぬ前にしっかり人生を生きるのよ、生きていくって素敵な冒険よ・・・」 ジェニーはガープを抱き締めて諭した。 青年になったガープ(ロビン・ウィリアムズ)はレスリング部に入り、それと共にレスリングコーチの娘ヘレン(メアリー・ベス・ハート)に恋をした。 レシリングの試合でもガープは応援席のヘレンに見とれている。ジェニーはそんなガープを見て不快だった。『・・・肉欲の塊だわ・・・』 ガープはヘレンに近づいていく。「結婚するなら作家がいいわ」 ヘレンは言った。 ある日、相変わらずセクシーなクッシーがガープを繁みに誘った。二人が抱き合っていると、クッシーの妹のプーが覗いており、通りかかったヘレンを手招きした。ヘレンはガープたちの行為を目撃し幻滅した。 ヘレンに見せようと書いた原稿用紙をヘレンは空中にばら撒いた。あわてて原稿をかき集めているガープを犬のボンカーズが襲った。怒り心頭のガープは今度は負けていない。反対にボンカーズの耳を噛み切ったのだ。「思い知ったか!命だけは助けてやる!」 犬が人間を噛んでもニュースにはならないが、人間が犬を噛めばニュースになる。 そんなこんなでジェニーとガープはニューヨークに移り住んだ。 ジェニーもガープ同様、小説を書きたいと思っていた。ガープと町を歩き、街娼に取材するジェニー。 ジェニーは自分をモデルにした『性の容疑者』という小説を書き、それが出版されるやそのショッキングな内容がベストセラーになる。自立した女性の話だった。 「ジェニー・フィールズこそ我等のヒロインです!」 女性集会が開かれ、サイン会でサインするジェニーはご満悦だった。ジェニーは女性解放運動の闘士に持ち上げられていく。 ガープの書いた小説も批評家から絶賛され、ガープはヘレンと結婚した。 ガープがヘレンと家探しに出かけると、程よい家が見つかったが、その時、どこからか飛んで来たセスナ機が突っ込んだ。 「家を買うよ、飛行機が同じ場所に落ちる確率はゼロに近い」 ガープは案内した不動産屋に言った。 やがてヘレンに男児が産まれ、ダンカンと名づけた。 ガープは小説を書き、ヘレンは教壇に立った。 ジェニーの住居には奇妙な女たちが居着いていた。皆、何かしら傷を持つ女たちだった。 その中にひときわ大きな女がいた。イーグルスのフットボール選手から性転換して女になったロバータ(ジョン・リスゴー)だ。 「私も子供を持ちたいわ、でも産めないし養子の許可も出ない。男の時に作れば良かった。ジェニーの力を借りて法廷に訴えるつもりよ」 ロバータは言う。 さらに、エレン・ジェームシャンなる奇妙な女たちもいた。12歳の時に強姦され、犯人に舌を切り取られたエレン・ジェームズ事件に怒った彼女たちは抗議のため自ら自分の舌を切り取った女たちだった。 ガープはそんな彼女たちに批判的だ。自分の肉体を傷つける運動なんてまともとは思えない。 ヘレンは次男ウォルトを産んだ。数年後、ヘレンは男子生徒マイケルと不倫の関係に陥っていく。 ある日、ヘレンの教え子からの密告で妻の不倫を知ったガープは、二人の子を連れ映画館に行った。気になり途中で家に電話をかけたが誰も出ないので急ぎ車で引き返した。 その頃、マイケルが家に押しかけヘレンに最後の密会を迫っていた。ヘレンはこれで本当に最後よ、と言い車の中でマイケルの要求に応じていた。 ガープは子供を乗せ車を飛ばした。そして家の前に止めてあった車に激突した。 結果、ウォルトは死にダンカンは片目を失明した。ガープとヘレンはむち打ち症になった。そしてヘレンの不倫相手のマイケルも悲惨なことになった。 駆けつけた性転換のロバータが言った。「・・・私は麻酔をかけて切り取ったけど・・・車の中で噛み切られるなんて・・・」 ガープとヘレンの間はしばらくギクシャクして気まずい空気が流れたが、 「お前は看護婦の息子よ、自分で傷を治すのよ」 ジェニーの取り成しで修復していく。そして二人の間に女児が生まれ、“ジェニー”と名づけた。ガープは女の子に母親と同じ名前を付けたのだ。 ガープはエレン・ジェームズ事件を題材に『エレン』を出版した。 母親ジェニーは女性知事候補の応援の為にヘリコプターに乗る。それを見送るガープが叫ぶ。 「ママ!父親は必要なかったよ!」 だがその声は騒音でジェニーの耳には届かない。 ジェニーが応援演説に立った。演説の途中、ロバータは向かいの建物の窓から銃口らしき影を見つけたその瞬間、ジェニーが胸を撃ち抜かれていた。 「『エレン』運動の支持者たちが君の本に抗議してるぞ」 出版社の社長が言った。 『エベレット・ステアリング・アカデミー』のレスリング部のコーチになったガープ。彼がコーチをしている時、近づいた看護婦姿の女が拳銃を向けた。 「!プー!」 ガープが見た時、眼鏡をかけたプーがガープを撃った。いつかプーはエレン・ジャームシャンになっていたのだ。 ヘレンに付き添われヘリコプターで病院に運ばれるガープはうわ言のように言った。 「空を飛んでる・・・」 「そうよ」 「・・・飛んでる」 私生児ガープの一生が終わろうとしていた。 |
| 映画館主から 何とも奇妙で不思議な映画「ガープの世界」。 ジョン・アービングのベストセラー小説の映画化で、監督は「明日に向かって撃て!」(’69年、主演:ポール・ニューマン)、「スティング」(’73年、主演:同左)などのジョージ・ロイ・ヒルです。 クレジットタイトルのバックで宙を舞う赤ん坊。ここからガープの世界が展開されていきます。逆説、パロディ、寓話に満ちたエピソードを連射し、ガープという人間を取り巻く人たちを一幅の縮図にしてしまいました。 ラスト撃たれ、ヘリコプターで空を飛ぶガープは、そのまま冒頭の赤ん坊のシーンにリンクしているかのようです。 登場人物がそれぞれ奔放な人たちばかり。私生児を生む母親グレン・クローズ。彼女は後の「危険な情事」(’87年)のサイコ女よりも本作の方がピッタリです。 性転換して女になったジョン・リスゴー。本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされています。 2メートル近い大男ジョン・リスゴーのオカマ役は気持ち悪いほどはまっており、これで味を占めたのではないでしょうが、後のサイコスリラー「レイジング・ケイン」(’92年、監督:ブライアン・デ・パルマ)でも不気味な女装でスリルを盛り上げています。 そして、ロビン・ウィリアムス。この童心を持ったまま大人になったようなあどけない表情が憎めない愛すべきコメディアンは、その後、「バロン」(’89年)、「フック」(’91年)、「ミセス・ダウト」(’93年)、「ジュマンジ」(’95年)、「フラバー」(’97年)といったコメディで怪演を披露しましたが、反面、「いまを生きる」(’89年、監督:ピーター・ウィアー)のようなシリアスな演技も見逃せません。 |
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