「グロリア」
グロリア 1980・米
グロリア

監督:脚本:
    ジョン・カサベテス
撮影:フレッド・シュラー
音楽:ビル・コンティ

出演:ジーナ・ローランズ
    ジョン・アダムズ
    バック・ヘンリー
    ジュリー・カーメン
    パシリオ・フランチーナ





    
物語

ニューヨークのサウスブロンクス。あるアパートの住人は、ギャングの会計係だが、金をネコババした上に、極秘の銀行口座をFBIに垂れこんでいた。
ギャングの連中がアパートへ乗り込んできた。たまたま、同じアパートに住むギャングの情婦、グロリア(ジーナ・ローランズ)は、会計係の妻の親友だった。

「コーヒー飲ませて・・・」グロリアが会計係りの部屋を訪ねて来た時は、一家はそれどころではない。今にも仲間が襲いにやって来るのだ。会計係の妻はグロリアに事情を話し、6歳の幼い息子フィル(ジョン・アダムス)を預かってくれと懇願した。もとより子供が嫌いなグロリアは困惑したが、事態は切迫している。父親はフィルに極秘メモの手帳を渡した。「絶対、手放すな」

グロリアが少年フィルを連れて自分の部屋に入った直後、凄まじい銃声がアパート全体に響き渡った。会計係の一家が皆殺しになった。
「・・・悪い夢を見ているのよ・・・」 悲嘆に暮れるフィルにグロリアは慰めの言葉をかけた。しばらくして、グロリアはフィルを連れ、別宅へ向かった。

フィルはまだ6歳だが、グロリアにとっては手を焼いた。色々指示するたびに反抗したりする。「僕は大人だ。あんたと違う、強い男だ」生意気なのだ。
そこへ、ギャング仲間が数人やって来た。「グロリア、開けろ!・・・いるんだろ・・」 隙を見て、グロリアたちは裏口から脱出する。

グロリアは少年が煩わしい。なんで、自分がこんな目に会わねばならんのか。「家に帰りな・・・親戚がいるでしょ!」 フィルはグロリアにまとわりついて離れない。
グロリアたちを車で追って来た連中が二人を見つけた。「お前に用は無いんだ。欲しいのは、ガキと手帳だ・・・」 車から声を掛けるギャング達。「子供を撃ち殺す気!・・・」グロリアは応酬した。 そして、ピストルを向け発砲した。車が暴走して横倒しになる。グロリアとフィルはタクシーで逃げる。

「パパに会いたい・・・。友達と野球したい・・・」 フィルは呟く。「・・・もう、家は無いのよ、頼れるのは私だけよ・・・」グロリアは少年がいとおしくなった。

ギャングの網は張られていた。レストランにもいた。二人はタクシー、地下鉄を乗り継ぎ逃げる。やっとホテルにたどり着く。
グロリアはフィルにいくばくかの金を持たせた。「靴の中へ隠しなさい」 そして、自分の男に電話を入れた。「手帳を渡すわ」グロリアはフィルに言った。「3時間待ちなさい。・・・それで帰らなくても死んだとは思わないでよ・・・その後は、ピッツバーグの駅で待ち合わせよ」

単身、ギャングのアジトに乗り込むグロリア。電話の相手、トニーが仲間と待っていた。グロリアの男だ。「子供を渡せ・・・。FBIとCIAに証拠を売ってやがった・・・皆殺しは見せしめなんだ」 「あの子は最高よ・・・一緒に寝た中でも・・・」 グロリア、手帳を差し出した。「私は帰るわ。・・・撃ちたきゃどうぞ・・・」 グロリア部屋を足早に出た。エレベーターの脇にいた男を撃ち、エレベーターに乗り込む。追って来た連中がエレベーターの窓を破り、銃を乱射した。・・・・はたして、グロリアは、無事なのか。

フィルは時間が経ってもグロリアが戻らないので、ホテルを出た。列車に乗りピッツバーグ駅へ。そこにもグロリアはいない。
墓地で祈るフィル。「グロリア・・・ママと仲良くお話ししてね・・・」 その時、遠くに車が止まった。フィルは、その姿を認め走りよった。グロリアが変装して立っていたのだ。二人は、固く抱き合うのだった。
映画館主から

「ローズマリーの赤ちゃん」「フューリー」などで知られる性格俳優ジョン・カサベテス監督によるハードボイルド。

彼は、この脚本を書くにあたって、日本の「子連れ狼」シリーズをヒントにしたといいます。そして、カサベテス夫人でもあるジーナ・ローランズを主演に映画化。
完成した作品は、それまでの難解な作品と違って、新しいタイプの娯楽アクションとなり、かれの作品を支持してきた一部の批評家からは悪評をかったものの、ヒットを記録しました。

アバズレのギャングの情婦を演ずるジーナ・ローランズのカッコいいこと。成り行きで少年を親友から預かったジーナは、命も顧みず銃をもってギャング達に反撃します。今までの映画に見られなかった女性像です。

本作は、ベネチア国際映画祭作品賞を受賞し、ジーナ・ローランズもアカデミー主演女優賞候補となりました。
後に、フランスのリュック・ベンソン監督は、「レオン」でフランス版「グロリア」ともいえる作品を発表し、大ヒットを飛ばしますが、明らかに本作の影響と思われます。

カサベテスは惜しくも’89年に60歳で亡くなりましたが、その息子ニックは、母親ジーナを主演に「ミルドレッド」という映画で映画監督デビューをしているそうです。

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