「007/ゴールドフィンガー」
007/ゴールドフィンガー
         1964・英
  
  
007/ゴールドフィンガー

製作:ハリー・サルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督:ガイ・ハミルトン
原作:イアン・フレミング
脚本:リチャード・メイボーム
撮影:テッド・ムーア
音楽:ジョン・バリー

出演:ショーン・コネリー
    ゲルト・フレーベ
    シャーリー・イートン
    オナー・ブラックマン

   バーナード・リー
    デズモンド・ルーウエリン


ボンドはもてる

ゴールドフィンガー役のゲルト・フレーベ

物語

マイアミビーチのホテル。美女にマッサージを受けていたジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)に仲間の英国秘密情報部のフェリックスがMからの指令を持ってきた。
「ゴールドフィンガーを探れ」
ゴールドフィンガーは同じホテルに投宿していた。

ゴールドフィンガーは、世界中に資産があり、米国に馬の飼育場も持っている。ホテルでゴールドフィンガーのインチキ賭博を見破ったボンドは、自分の部屋でゴールドフィンガーに雇われた女、ジルといるところを何者かに襲われた。
気がついたボンドはジルがベッドで裸体のまま死んでいるのを発見する。
ジルは全身に金粉を塗られ皮膚呼吸ができずに死んだのだった。

M(バーナード・リー)に呼ばれたボンドは、Mの説明を受けた。
「ゴールドフィンガーは英国から金を持ち出し、世界中に分散させ所有している。金塊は溶かして鋳込めば追跡不能になるため、密輸にうってつけなんだ。」
ボンドの使命はゴールドフィンガーの金塊密輸の実態を暴くことだ。

Q(デズモンド・ルーウエリン)の秘密工場でボンドはQから新車の説明を受ける。新車、アストンマーチンは防弾ガラス、小型の発信、受信装置、マシンガン、煙幕装置、シフトレバーに脱出装置が組み込まれた新兵器だ。
「たまには無傷で返してくれないか」 Qは言った。

ゴルフ場でゴールドフィンガーとプレイするボンドは、途中でゴールドフィンガーのボールをすり替え、ゴールドフィンガーとの賭けに勝つ。
ゴールドフィンガーの執事、オッド・ジョブ(ハロルド・坂田)は口が不自由だが、いつもゴールドフィンガーのそばに就いているボディーガードである。オッド・ジョブが帽子を取って投げた。帽子はクラブの庭の女神像の首を切り落とした。
それを見たボンド、「クラブの支配人が何と言うかね」「何も言わん、ここは私の所有なんでね」 ゴールドフィンガーは平然と言ってのけた。

ゴールドフィンガーの車に仕掛けた発信装置の信号を追ってボンドは追跡する。
スイス、ジュネーブ。ゴールドフィンガーが経営するオリック株式会社の工場へ侵入したボンドは、そこが金の精錬工場で、車のボディが金で作られているのを見る。ゴールドフィンガーが中国人のリン博士と会話しているのを耳にする。
「グランド・スラム作戦」という言葉が耳に入る。
ボンドは工場の裏山で謎の女、ティリー・ソームズを発見した。工場の中を銃で狙っている。それを阻止した時、銃口が張られたセンサーに触れた。工場から作業員が飛び出して来た。ボンドとティリーは車で逃げた。山中のカーチェイス。行き止まり。山の中へ走ったティリーをオッド・ジョブの帽子が倒した。

黄金の板に縛り付けられたボンド。「ようこそ、007、君の車は面白い。私の方はもっと実用的だがね」 ボンドの前に装置がセットされた。「工業用レーザーだ。月に絵が描ける」 レーザー光線がボンドの足元を照射し始めた。ボンドに向かって溶断していく。
「何か吐けと?」ボンドは言った。「いや、死ぬだけでいい」ゴールドフィンガーが答える。レーザーがボンドの又に近づく。汗が噴出す。「グランド・スラム作戦のことも知ってるぞ」 ややあってゴールドフィンガーはレーザー照射をストップした。「もう、しばらく生かしておこう」 ほっとするボンドを銃が撃った。

ボンドが目覚めると目の前に美女がピストルを向けていた。美女の名はプシー・ガロア(オナー・ブラックマン)、ゴールドフィンガーの配下だ。ボンドは麻酔銃で撃たれ、気を失っていたのだ。そこはボルティモアへ向かうジェット機の中だった。

ケンタッキーのオリック飼育場の地下室に集まった出資者たちの前でゴールドフィンガーが計画をぶち上げた。「フォート・ノックスの金塊貯蔵所、ここの金庫には150億ドルが眠っている。私は15年の歳月を費やし準備した。明朝、ガロアの空中サーカスが神経ガスを散布する。周辺の人間は24時間、人事不祥に陥るのだ」
地下牢を抜け出したボンドはそれを聞いていた。そこへプシーが来て再びボンドは捕らえられる。
出資者たちは密閉された部屋で神経ガスを散布され死んでいく。これは致死ガスだった。

帰ろうとした出資者の一人はオッド・ジョブの運転する車に乗ったが、郊外で射殺され車ごとスクラップ工場でプレスされた。
一方、ボンドの動きを見張っているフェリックスたちを欺くため、ゴールドフィンガーはボンドを呼び、親しげに語らい始めた。
「デルタ9は致死毒だぞ、9万人を殺す気か」ボンドが言うと、「交通戦争でも人は死ぬさ」ゴールドフィンガーはうそぶく。「150億ドルの金塊は重さにして1万5000トン、トラック200台分だ。だが、2時間もすれば陸海空軍が駆けつける」
「動かしはせんのだ」 「・・・・・・」 「核装置さ、放射能を浴びせるのだ」
ボンドは舌を巻いた。「・・・アメリカの金が放射能を帯びる、57年も・・・」「西側の経済は大混乱をきたし、内輪に見積もっても私の所有する金は10倍に高騰する。君には核を目の前で見せてやる」

そこへリラックスした服装になったプシーが来てボンドを散歩に誘う。遠くから双眼鏡で見ていたフェリックスはあきれた。「ボンドの奴、適当にやっとるわい」
ボンドはプシーを誰もいない倉庫に誘う。柔術の心得があるプシーもボンドに組み伏せられて自由を奪われ、やがてボンドの背に手を回す。

グランド・スラム作戦の朝。プシー・ガロア空中サーカスの5機がフォート・ノックスの上空を舞う。ガスが噴射される。地上に警備兵は次々と倒れていく。
防毒マスクを付けたゴールドフィンガーの一団がフォート・ノックスの扉をレーザーで破り、中へ入る。ボンドは核装置に手錠で繋がれ地下へと降ろされる。
そこは眼を見張る金塊の山。核装置の時限セットが始動した。
その頃、道で倒れていた警備兵は次々と起き上がりフォート・ノックスの周りへ結集していた。ゴールドフィンガーの一団と銃撃戦になった。プシーがボンドに説得され当局に通報したため、全員が毒ガスで倒れた演技をしていたのだった。
ゴールドフィンガーはそれを察知し、隙を見て逃げる。ようやく手錠をはずしたボンドが時限装置を解除しようとやっきになっていると、ゴールドフィンガーの忠実な部下、オッド・ジョブがボンドを襲った。怪力男は金のインゴットをぶつけても感じない。しかしオッド・ジョブの帽子を逆手に取ったボンドの奇襲で怪物は感電死した。
ボンドは再び核装置の時限装置を切ろうとあせる。爆発まで10秒、9秒、そこへ手が伸びセットが切られた。味方の専門家が駆けつけたのだ。タイマーは“007”で止まっていた。

空中サーカスの指揮官プシー・ガロアがボンドに寝返ったため大惨事は未然に防がれた。ボンドが大統領の招待機に乗った。上空でリラックスした時、現れたのは何と銃を構えたゴールドフィンガーだった。ボンドとゴールドフィンガーが取っ組み合いになる。銃が発射され機体の窓を打ち抜いた。気圧が急激に奪われゴールドフィンガーは窓から放り出された。
ボンドがようやくコックピットに行くと、操縦しているのはプシー・ガロアだ。「墜落するわ」

フェリックスたちがヘリコプターでボンドたちを捜索している頃、パラシュートで脱出したボンドとプシーは木の茂みでラブシーンを楽しんでいた。
映画館主から

007シリーズ第3作目。悪党のゴールドフィンガーがアメリカの金塊を放射能で汚染させ、自分が世界中に所有する金を高騰させようというアイデアが面白く説得力がありました。

前作「007/危機一発(ロシアより愛をこめて)」がシリアスな最高傑作でしたが、本作も私は好きです。
やはり、ボンド役はショーン・コネリーが最高。当初のボンド役の候補、ケイリー・グラント、ジェームズ・メイスン、ディビッド・ニーブンはスマートではあるが品が良すぎて動物的な色気に欠けています。
しかし、あまりにも武骨なコネリーは前2作のテレンス・ヤング監督にスーツの着こなし、歩き方からゴルフまでと紳士のたしなみを伝授されたのだとか。

あまりにもボンドのイメージが定着しすぎるのを嫌ったコネリーは「007は二度死ぬ」のあと、口髭を生やしイメージチェンジ。「未来惑星ザルドス」’74年、「風とライオン」’75年、「ロビンとマリアン」’76年などで渋い中年男を演じるようになります。
「アンタッチャブル」’87年、「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」’89年では、主役のケビン・コスナーやハリソン・フォードを完全に喰ってました。
男のカッコいい老け方として、ポール・ニューマンと双璧でしょう。

ゴールドフィンガー役のドイツ人俳優、ゲルト・フレーベも悪役ながらどこか人間的な味がある憎めない演技でした。翌年の「パリは燃えているか」でもな悩めるナチの将軍を重厚に演じています。

ラストの金塊の眠る金庫でのレスラー出身のハロルド・坂田との息詰まる格闘、核装置に仕掛けられた時限装置のタイムリミットの緊張感が手に汗握りました。

それにしても、ゴールドフィンガーの部下の女プシーが、一度ボンドに抱かれたからって、そんなに簡単にボンドに味方するなんてちょっと話が出来すぎなのでは?・・・ショーン・コネリーだからしょうがないか。

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