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| 風と共に去りぬ 1939・米 |
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![]() 製作:デビッド・O・セルズニック 監督:ビクター・フレミング 原作:マーガレット・ミッチェル 脚本:シドニー・ハワード 撮影:アーネスト・ホラー 音楽:マックス・スタイナー 出演:クラーク・ゲーブル ビビアン・リー レスリー・ハワード オリビア・デ・ハビランド ハティ・マクダニエル トーマス・ミッチェル ワード・ボンド ランド・ブルックス ナオ・マンソン ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 1861年。アメリカは奴隷制存続を主張する南部と反対の立場を取る北部の対立が不穏な空気を孕んでいた。時の大統領は前年選出された奴隷制反対のエイブラハム・リンカーンであった。 そんな折、ジョージア州タラの大地主ウィルクス家の屋敷で大園遊会が開催された。 ウィルクス家と同じくタラの大地主オハラ家の長女スカーレット(ビビアン・リー)はウィルクス家の長男アシュレー(レスリー・ハワード)を愛していた。だが、アシュレーはいとこのメラニー・ハミルトン(オリビア・デ・ハビランド)と結婚するという噂だった。 スカーレットの気持ちを気にかけ、父のジェラルド(トーマス・ミッチェル)は言った。「タラもいずれはお前のものだ」 「農園など意味ないわ」 スカーレットは答える。「本気か?タラの土地が無意味だと?この世で頼りになる唯一のものが土地だ」 ジェラルドは諭す。 園遊会でスカーレットはアシュレーに婚約者のメラニーを紹介される。メラニーは活発なスカーレットに好意的に接する。しかしスカーレットの気持ちは晴れない。自分の気持ちをアシュレーに伝えなくてはとイラついた。 スカーレットの美貌は他の男たちの羨望の的だった。階段を上がるとき下から自分を見上げる見知らぬ男がいた。 「あれは誰?こちらを見てる人、いやらしいわ」 「レット・バトラーよ、評判のよくない人物だわ」 キャスリンが答えた。レット・バトラー(クラーク・ゲーブル)は船で何かを輸入して商売をしているらしい。 「あの目つき、私を裸にしてるみたい」 スカーレットはアシュレーを図書室へ招きいれ、求愛したがアシュレーは冷静に受け流す。「君は素敵だ。僕にはない燃える情熱がある。だが、結婚となると・・・僕たちは違いすぎる」 「私が怖いんでしょ、意気地なし!貴方なんか大嫌い!」 激昂したスカーレットがアシュレーを平手打ちにした。 アシュレーが部屋を出て行くと長椅子の陰から起き上がったのはレットだった。スカーレットははっとして、「何故そこで黙っていらしたの?」 「美しいラブシーンを邪魔するのも不粋だ。大丈夫、秘密は守る」 「紳士じゃないわね」 「あなたも淑女じゃないな、私と合いそうだ、アシュレー君よりもね・・・」 メラニーの兄チャールズ(ランド・ブルックス)がスカーレットを探してやって来た。 「戦争だ!リンカーンが我々と戦う決意をした!」 「戦争なんて馬鹿らしいわ」 「皆、軍隊に入るんです、もちろん僕も」 「皆?」 スカーレットの目はアシュレーを探した。「貴方は世界で一番美しくかわいい人だ、もし僕と結婚してくれたらどんなことでもします」 その時、窓の外にアシュレーとメラニーの姿が・・・「今、何て?」 「結婚して欲しいと・・・」 「お受けするわ・・・」 スカーレットはアシュレーに相手にされない腹いせにチャールズと結婚した。 だが、チャールズは間もなく戦場ではしかと肺炎を併発して死亡した。若くして未亡人となったスカーレットは毎日を喪服で過ごさねばならず黒人の侍女マミー(ハティ・マクダニエル)をてこずらせるのだった。母エレン(バーバラ・オニール)はスカーレットを心配し、基金集めの集会をやっているアトランタへ行くよう勧める。そこにメラニーもいるという。 バザー会場になっているアトランタ陸軍病院では大勢の紳士淑女が集まっていた。アトランタの医師であるミード博士(ハリー・ダベンポート)が大声を上げて一人の男を紹介した。 「帆船団を率い、敵の砲火をくぐり、我々に衣類を届けてくれた人物、それは神出鬼没の海の英雄、チャールストン生まれのレッド・バトラー船長!」 レットが現れ、スカーレットに気づいた。その場を離れようとするスカーレットだが・・・ 「皆さん、基金募集のために名案を!ご希望の淑女と踊りたい殿方には入札をお願いしたい!」とのミード博士に 「金貨で150ドル!」 と申し出たのはレットだった。「お相手は?」 「ハミルトン夫人だ」 驚きながらもスカーレットは嬉しい。「夫人は喪中の身です、承知なさらんでしょう。他のご夫人を」 その時、「お受けします」 とスカーレットは進み出た。 非難がましい視線の中、二人は踊る。 「誰が何を思おうと今夜は踊りまくるわ、リンカーンとだって」 スカーレットが言うと、「アシュレーに言った言葉を聞きたい、“愛してる”と・・・」 とレット。「一生かかっても聞けないわよ」 あくまでも強情なスカーレットである。 アシュレーがクリスマス休暇で帰ってきた。アシュレーは妻のメラニーのことをスカーレットに託した。「彼女は虚弱だし、君を頼ってる」 スカーレットはアシュレーに強引に抱きつきキスをする。 「愛しているわ、貴方だけを愛してきたわ、腹いせに結婚したの、愛してると言って・・・」 「さようなら」 アシュレーは振りほどくように出て行った。 「待つわ、アシュレー、戦争が終わるまで・・・」 北軍に押され負傷兵がジョージア州に流れ込んできた。スカーレットはアトランタで妊婦のメラニーと共に従軍看護婦として働く。だがメラニーは衰弱していたので、スカーレットはミード博士に付き添っていた。 母親の病気を知ったのはそんな時だったが、アシュレーとの約束でメラニーの面倒を見なければならない。 メラニーが産気づく。ミード博士は負傷兵の看護で手が離せない。駅前の広場は夥しい負傷兵で一杯だ。スカーレットは黒人の召使と共に難産だったメラニーの赤ちゃんを無事に取り上げた。 一刻も早く母の元へ帰りたいスカーレットは、レットの援護を頼むしかなかった。レットの馬車にメラニーと赤ちゃんを乗せる。北軍に追い詰められた南軍が倉庫に火を放った。中の爆薬に火が移る前に脱出しなければならない。馬車を奪おうと押し寄せる群衆。レットは彼らを殴り蹴落とした。 アトランタが燃える。馬車が街を出た時、背後に爆発が起き倉庫が焼け崩れた。 「軍隊に志願する」 馬車が小高い丘に達したときレットが言って降りた。「か弱い女を放り出すの?」 「か弱い?君に出会う北軍こそ災難だ」 「行かないで、行ったら許さない!」 「我ながらこんな行為は愚かと思う。弾丸に当たったらそれは天罰だ。だが君への愛は本物だ。俺たちは似ている」 レットはスカーレットを抱きしめキスをする。 「下劣な男ね、噂どうりだわ、貴方は紳士じゃない」 「紳士じゃなくて結構、死んだら少しは悲しんでくれよな」 「さっさと弾丸に当たって吹っ飛べばいいわ!」 夜更けにやっとの思いでタラに着いた。オハラ家の屋敷は残っていた。だが母エレンは既に死に、父ジェラルドは精神を病んでいた。黒人侍女マミーとスカーレットが抱き合い悲しむ。 スカーレットは現実の前に打ちひしがれくず折れた。黒人召使のポークが言う。「衣類も食べ物もみんな北軍が盗んでいっただ」 辺りを見回すと焼け野原だ。泣いてばかりはいられない。スカーレットは立ち上がる。 「神よ、お聞きください!この試練に私は負けません、家族にひもじい思いはさせません。たとえ盗みをし、人を殺してでも!神よ誓います。二度と飢えに泣きません!」 スカーレットは空に向かい誓うのだった。
タラの土地でスカーレットと妹のスエレン(イブリン・キーズ)は綿を育てる。農作業などは初めてのことだ。「背骨が折れそうよ」 スエレンは愚痴をこぼす。 衰弱したメラニーが2階から降りてきて、「あなたが働いているのに寝ていられないわ」 「その体では無理よ」とスカーレット。 「でも・・・」 「今、病気をひどくしたら、その分世話が焼けるわ!」 「・・・考えが足りなかったわ・・・」 メラニーはスカーレットに感謝せざるを得ない。 そんな時、南軍が降伏し戦争が終結した。アシュレーが戻ってくる!メラニーとスカーレットは希望に胸を膨らませる。 「綿を育てましょう!天に届くほど!」 スカーレットはつぶやいた。 タラにかけられた税金の300ドルがスカーレットを悩ませた。戦争から帰還し、慣れない屋外作業をしているアシュレーに相談に行くスカーレットだが、アシュレーにそんな大金を工面できないことはスカーレットも良く分かっていた。 「アシュレー、メキシコへ逃げましょう!そして二人で暮らすのよ」 「僕には妻子がいるんだ」 「じゃ、私は・・・もう、終わりよ・・・戦う目的も生きる望みもないわ」 「いや、あるとも。僕より愛してるものが君にはある」 アシュレーは足元の土を掴みスカーレットの手に渡したのだ。「タラだ!」 父ジェラルドが落馬して死ぬ。スカーレットは進退窮まった。「レット!」 スカーレットの脳裏に浮かんだのはレット・バトラーの存在だ。彼はアトランタの監獄で北軍の囚われの身となっている。 カーテンの生地を使いドレスを作るスカーレット。 妹の名目でレットに会いに行く。タラで優雅な暮らしをしているとうそぶくスカーレットだが、レットはスカーレットの手のひらを見て悟る。「虚勢を張るのはよせ!これは小作人の手だ、何をたくらんでる?」 スカーレットはタラの税金300ドルの件を言わざるを得ない。 「優雅な暮らしなんて嘘よ、地獄のような毎日、助けてちょうだい!」 だが、スカーレットの試みは失敗に終わる。レットは簡単に落ちない男だ。 「俺の処刑に立ち会えば何か財産をくれてやるさ」 「縛り首を見て目の前で万歳してやるわ!」 捨て台詞を言うのが関の山だった。 アトランタの町でフランク・ケネディ(キャロル・ナイ)が店を開いている。フランクはスカーレットの妹のスエレンの婚約者だ。フランクが材木の商売で儲かっているのを知るとスカーレットの脳裏に残虐な考えが浮かぶ。 「スエレンは近くの人と結婚するのよ」 スカーレットは嘘をいい、自分に好意を寄せているフランクを手玉に取ったのだ。そうしてスカーレットはフランク・ケネディ夫人となる。 スカーレットは税金を納め、アシュレーを説得して共に材木商を立ち上げるのだった。 『ウィルクス&ケネディ』の看板を掲げた馬車に乗りスカーレットが街を走る。製材所が軌道に乗り忙しい。監獄を出たレットと出会った。 「愛してない男と結婚するのが趣味か?」 レットの皮肉もスカーレットは跳ね返す。「早く縛り首になって!」 「命を金で買える世の中だ、君もアシュレー君を買ったろう」 「まだ、彼が嫌い?嫉妬してるのね」 製材所へ行く途中、貧民窟で暴漢に襲われるスカーレットは居合わせた黒人の下僕ポークに助けられた。 その夜、フランクが集会に行くと出かけた。アシュレーもいない。 北軍の兵士がぞろぞろ入ってきた。北軍大尉トム(ワード・ボンド)が言った。「ウィルクス夫人は?」 「私です」 とメラニー。「ご主人にお会いしたい」 「ケネディさんのお店で集会があって・・・」 「集会など開かれていない!」 そして部下に命じた。「家の周囲を見張れ!」 しばらくして、レットがアシュレーを支えて帰ってきた。ミード博士も酔っているようだ。トム大尉が部下と取り囲んでいる。 「逮捕する」 トム大尉が言うと、「こいつが何をした?酒ならあんたも飲むだろう?」 とレットが食い下がる。「酒は関係ない、こいつは今夜、村の襲撃を謀り指揮したのだ」 「そりゃ見当違いだ、二人は俺と一緒だった」 「お前と?どこで?」 大尉が追求する。「ご夫人の前じゃ言えん」 その時メラニーが、「ここでおっしゃって、私も知りたいわ」 「・・・ベルの店だ」 ベルはレットの愛人で娼婦館の経営者なのだ。「紳士として誓うか」 と大尉。「誓う」 レットは毅然として答える。「私の思い違いだったようだ。申し訳ない」 トム大尉たちは引き上げて行った。 ドアが閉まると鍵をかける。アシュレーが倒れた。わき腹から出血していた。 レットが説明した。アシュレーたちはスカーレットが襲われた村を襲撃したのだった。レットが駆けつけた時、アシュレーは負傷し、ミード博士と逃げるところだった。レットはアリバイ工作のため、ベルの店に急遽皆を連れて行ったのだ。 「又、あなたに助けていただきました、お礼を申し上げますわ」 メラニーが言った。スカーレットはアシュレーに近づいて手を握り締めた。「アシュレー、アシュレー」 「自分の亭主のことは心配しないのか?」 レットが言った。「彼もベルのお店へ?」 スカーレットが聞いた。「いや、道端に転がってる、頭を撃たれてな、死んだよ」 浴びるように酒を飲む喪服姿のスカーレット。 「レット船長がお見えです」 とマミーが呼ぶ。スカーレットは慌ててコロンでうがいをする。 「お前なしでは生きていけない」 レットは求婚に来たのだ。「こんな時に破廉恥な!」 「園遊会で出会った時からこの人だと決めたんだ、だが俺の金は必要ないから君から会いに来ない、だから結婚するしかない」 レットはスカーレットを強引に抱き寄せキスをした。 「気絶しそう・・・」 「して当然だ、こんなキスをした男がいたか?チャールズやフランクやアシュレーとは違うぞ」 スカーレットは酔いしれた。「結婚すると言え、言え!」 「・・・するわ」 スカーレットは渋々承諾した。「俺を見て正直に答えろ、金が目当てか?」 「まあ、それもあるけど、貴方が嫌いではないし」 「嫌いじゃない?」 「思い焦がれていると言えば嘘になるわ、私たちは似ているし・・・」 「似たもの同士だ、俺だって命がけで愛してるとは言わん」 そうしてスカーレットはバトラー夫人となった。 スカーレットはレットを説得し故郷のタラへ帰った。 「タラのこの赤い土がお前の支えなんだ」 「タラをもう一度昔の姿に戻したいの」 「じゃ、やってみるさ、金はいくら使ってもいいぞ」 やがて二人の間に女の子が誕生しボニーと名づけた。レットはボニーを溺愛する。しかし二人は相変わらず我の張り合いで口論が多い。 スカーレットが自分の部屋にアシュレーの写真を飾っているのもレットの機嫌をそこねていた。さすがのレットも男である。嫉妬心もある。 レットは娼婦館のベル(ナオ・マンソン)に怒りをぶちまける。「あんな見栄っ張りの分からず屋はいない」 「あんたは彼女のとりこよ、惚れ抜いてるんだわ、悔しいけど」 製材所のアシュレーを訪ねたスカーレットは、四方山話をしているうちについ抱き合った。その時、入ってきたアシュレーの妹インディアとミード夫人に見られてしまう。二人は憤慨して出て行く。 その日はアシュレーの誕生パーティの日だった。スカーレットはベッドに入り込んでいたが、レットが無理やり起こして服を着させた。アシュレーとの噂はレットの耳にも入っていた。 「行かないわ、誤解が解けるまでは」 スカーレットは駄々をこねる。「行かないともう人前に顔を出せん、ボニーの将来のためにも行くんだ!」 パーティの席に現れたスカーレットを見る一瞬驚きの表情のアシュレー。出席者の非難の目。だが、メラニーは優しく出迎えるのだった。 深夜、酒を飲もうと台所に降りていくとレットが先に飲んでいた。 「どうだ、恥をかかせた女にかばってもらった気持ちは?」 「酔ってるのね」 「徹底的に酔ってやる」 レットはスカーレットの頭を両手で掴む。 「そしてクルミを割るように押しつぶす」 力が加わりスカーレットの顔が恐怖にゆがむ。 「手を離して!この酔っ払い!」 スカーレットがレットを払いのけ、階段のほうへ行こうとするのをレットが追う。 「お前はやつを夢見て俺を締め出してきた、今日はそうはさせん」 スカーレットを抱き上げ階段を昇っていくレット。 翌朝、レットが切り出した。「良く考えたが、お互いのために離婚しよう」 「離婚?」 「意味のない結婚だ、金銭面では譲歩する。だからボニーを俺にくれ」 「まあ!私の子供よ」 「父親は俺だ、身勝手な母親のもとにはおけん」 「許せません、ベルのような女のそばに置くのは」 この言葉にレットは怒りを爆発させる。「男なら殺すところだ!何が母親だ、猫のほうがはるかにいい!」 レットはボニーを連れてロンドンに旅立った。だがロンドンでボニーがママのいるおうちに帰りたいというのを聞きショックを受ける。やはりボニーにとってはスカーレットは母親なのだ。 ロンドンから帰ったレットを階段のところで出迎えるスカーレット。階段の上でスカーレットが言う。「又、生まれるの」 レットは一瞬前に出る。「そうか、それで父親は?」 「貴方よ!産みたくなかったのに、貴方の子供なんて」 「流産を祈るさ」 売り言葉に買い言葉、怒りに駆られたスカーレットが掴みかかった。レットが体をかわしたその時、前のめりになったスカーレットが階段を転げ落ちた。レットは血相を変え、階段を駆け降りる。スカーレットが気を失っている。 流産したスカーレットがベッドに臥せうわ言を言っている。レットをメラニーが慰める。「俺の子を産みたくないと言ったんだ」 「本心じゃないわ」 「いや違う、彼女が誰を愛しているか・・・」 「噂を本気になさるの?私は人の口など信じません」 「彼女はすぐ元気になってまた子供を産みますわ」 「こんな事故にあったんだ、もう産めないさ」 「産めますわ、私だって今・・・」 レットはメラニーを見上げ、手を包み込む。「それは危険だ、万一のことがあったら・・・」 「子供は親の命を受け継ぎます、喜んで試練を受けましょう」 メラニーの顔は神々しく輝いて見える。「真の勇気とはこのことだ、無事を神に祈ろう。貴方にはお世話になり通しだ、心から感謝します」 「製材所を閉めてくれ、そして新婚旅行をやり直そう」 回復したスカーレットにレットが言った。「製材所を?儲かっているのに」 「俺たちには必要ない、メラニーへのお礼だ」 「何がメラニーよ、私なんかそっちのけ」相変わらずの口論だ。 この後、娘のボニーが子馬に横乗りになって二人の前に来た。バーを高くして飛ぶから見て欲しいという。スカーレットは厭な胸騒ぎを覚えた。 「レット止めて!」 ボニーが落馬した時、スカーレットが失神した。 ボニーが死に、一家は不幸のどん底に落ちた。 マミーがメラニーに言う。「あれほど子煩悩な方は見たことなかったです、ボニー様が亡くなったとき、即座にあの馬を殺しなすって。自殺なさるかと思いましただ」 「お気持ち分かるわ」 「スカーレット様はだんな様を“人殺し”だと責めなすってね、だんな様は“お前には母親の資格はねえって”」 メラニーは自室に閉じこもっているレットのもとへ行き、慰める。ボニーの葬儀を拒んでいるレットを説得したのだ。 「明日、葬儀を行われるそうよ」 メラニーが部屋を出てきて言った。「良かった!貴方には天使がついてますだ」 マミーが喜んだその時、メラニーが倒れた。 メラニーは死の床に着いていた。スカーレットがメラニーの手を握る。「息子を頼むわ・・・」 「変なことを言わないで、すぐよくなるのに」 「アシュレーも・・・面倒をみて、私の面倒をみてくれたように・・・」 「・・・みるわ」 「バトラー船長に優しくね・・・貴方を愛してるわ」 分かったわメラニー」 そしてメラニーーに死が訪れた。アシュレーは取り乱した。愛する者はいつかは死ぬ。スカーレットはハッと我に返る。「レット!レット!」 レットの部屋へ行くスカーレット。「メラニーは?」 レットが聞く。「神の恵みを・・・」 「あれほど優しい人はいなかった・・・死んでくれて都合がいいな」 「何てことを、彼女はいつも人の幸せを願ってた、最後に貴方のことを」 「何と?」 「優しくしてあげてと・・・アシュレーの面倒を見てくれと・・・」 「先妻の許しを得たか」 レットの言葉に棘がある。「どういう意味?」 レットはバッグに服を入れている。「何してるの?」 「お別れだ、念願かなってアシュレーと暮らせるな」 スカーレットは驚愕し、レットに駆け寄る。「別れるなんて嫌よ、私が愛してるのは貴方よ、初めて分かったの!」 「往生際が悪いな、気品を持って別れよう」 レットがバッグを手に出て行くのを追うスカーレット。「レット!どこへ行くの?」 「故郷のチャールストンだ」 「連れて行って!」 「ここの暮らしとは縁を切る。ゆとりと安らぎのある静かな人生を送りたい」 「レット、レット、残された私はどこへ行けばいいの?」 スカーレットが真剣に訴えた返事は、「俺の知ったことか!」 レットは霧の中へ消えていった。 階段にうずくまり嘆くスカーレット。「どうしたらいいの?」 涙に濡れたスカーレットの脳裏さまざまなに声が聞こえる。 父ジェラルドの声 『本気かね、タラの土地が無意味だと?この世で頼りになる唯一にものが土地だ』 アシュレーの声『僕より愛しているものが君にはある、タラだ』 レットの声『タラのこの赤い土地が君の支えなんだ』 スカーレットは立ち上がった。「タラ!故郷よ!彼を連れ戻す方法は故郷に帰って考えるわ!・・・明日に望みを託して!」 |
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| 映画館主から マーガレット・ミッチェルの時代長編小説『Gone With The Wind』の映画化。 南北戦争を背景にジョージア州アトランタを生きる気性の激しい女、スカーレット・オハラの半生を描いた壮大な叙事詩。 小説はアメリカだけで1000万部を、30ヶ国語以上に翻訳されて全世界で3000万部の超大ベストセラーになったもので、1937年のピューリッツアー賞を受賞しています。 ハリウッドの名プロデューサー、デビッド・O・セルズニックは、この小説が発売された翌月にたったの5万ドルで映画化権を買い取ったのだそうです。映画は撮影準備に2年半、撮影に7ヶ月、編集に4ヶ月半、製作費600万ドルと記録づくめ。総天然色、4時間のこの映画が今から70年近く前に製作されたとは驚きです。 撮影はアトランタ炎上のシーンから始まったのですが、その時はまだ、スカーレット・オハラ役の女優選びに難航しており、セルズニックは、そこでスタジオに一人佇んでいた女優に目を留めたのです。英国の新人女優、ビビアン・リー。彼女は同じく英国の俳優の恋人、ローレンス・オリビエと共に撮影の見学に来ていたのですが、セルズニックの目にはスカーレット・オハラがそこにいると映ったのでした。 傲慢さと気品、激しい情熱と気性、今までにないヒロインの誕生でした。 豪放で歯に衣着せぬ男っぽいレット・バトラー役にはエロール・フリンやゲーリー・クーパーなどが候補に挙がっていましたが、結局当時ハリウッド・キングのクラーク・ゲーブルに落ち着きました。彼はこの役に当初乗り気ではなかったそうですが、彼以外には考えられないほどの適役で文字どうり彼の代表作になりました。 勝気なスカーレットとは対称的に可憐で優しくまるで大和撫子のようなメラニーを演じたのはオリビア・デ・ハビランドです。「断崖」(’41年、監督:アルフレッド・ヒッチコック)でアカデミー主演女優賞に輝いたジョーン・フォンティーンの実姉です。本作でアカデミー助演女優賞にノミネートされながら果たせず、’46年の「遥かなる我が子」でアカデミー主演女優賞を獲得(’49年「女相続人」で2度目の受賞)したものの、妹に先を越されたオリビアと妹とはかなりの確執があったといわれています。 スカーレットが恋焦がれるアシュレイ役のレスリー・ハワードに関しては私は他の作品を見ておりませんが、この後数作に出演した後、’43年リスボンからロンドンへの飛行中、ナチの攻撃を受け消息を絶ったのだそうです。ナチはチャーチルが機乗していると推測したらしい。 インテリ風な抑えた演技が惜しまれますが、本作が彼の代表作であることは疑いのないところです。 マックス・スタイナーの華麗な「タラのテーマ」が随所で効果的に使われ、特にラストシーンではスカーレットがタラの土地で強く生きていこうとする意志を力強く印象付けました。 アカデミー賞は、作品、監督、主演女優(ビビアン・リー)、助演女優(ハティ・マクダニエル:黒人初)、脚色、美術、編集、色彩撮影、科学・技術の9部門に特別賞が製作者のデビッド・O・セルズニックに与えられました。10部門受賞のこの記録は’59年の「ベン・ハー」(11部門で受賞)まで破られていません。 参考文献:リバイバル公開時パンフレット 「週刊20世紀シネマ館NO.2」 講談社 |
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