| ハムレット 1948・英 | |
![]() 製作:監督: ローレンス・オリビエ 原作:ウィリアム・シェイクスピア 撮影:デズモンド・ディキンソン 美術:ロジャー・ファース 音楽:ウィリアム・ウォルトン 出演:ローレンス・オリビエ ジーン・シモンズ ベイジル・シドニー アイリーン・ハーリー フェリックス・エイルマー アンソニー・クエイル ピーター・カッシング ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 13世紀、デンマークのエルシノア城。 深夜、城の上の露台にマーセラス(アンソニー・クエイル)は、亡霊を信じないホレーショを連れてきた。果たして、マーセラスの言うとおり、1時に霧の中に亡霊が出現した。甲冑に身を固めた亡霊は無言で立っている。 ホレーショ 「先王に似ている・・・声があるなら出してみろ・・・何をしてやれば魂が安らぐのだ、言ってみろ」 亡霊は霧の中に消えていった。 ハムレット(ローレンス・オリビエ)は、毒蛇に噛まれて死んだという父である王の死に疑念を持ち、心を暗く閉ざしていた。 先王の弟クローディアス(ベイジル・シドニー)は王となり、先王の王妃である母ガートルード(アイリーン・ハーリー)と結婚したのだ。 ハムレット 「・・・あの母が、兄と雲泥の弟とたったひと月で結婚するとは・・・」 ハムレットが思いを寄せるオフィーリア(ジーン・シモンズ)は、重臣ボローニアス(フェリックス・エイルマー)の娘だ。ハムレットの恋歌をうっとり見つめるオフィーリアに兄レアティーズが忠告する。「ハムレット殿下とは余計な口をきくな」 ホレーショとマーセラスはハムレットに会い、亡霊の出現を話した。 「昨夜、先王に会いました・・・」 その夜、ハムレットは彼らとともに露台に上がった。1時、霧の中に亡霊が現れた。その姿はまさに死んだ父であった。亡霊が階段の上の方へ手招きしている。ハムレットは引き止める友人を振り切って階段を上がっていく。亡霊は低く沈んだ厳かな声を発した。 亡霊 「・・・お前の父は、毒蛇に噛まれて死んだのではない。庭園で仮眠していた時、密かに忍び寄った弟に耳に毒を流し込まれて死んだのだ・・・その獣が王冠をかぶり、お前の母を妻としたのだ・・・」 ハムレットは胸をかきむしった。疑念はこれで明らかになった。ハムレットは復讐を心に誓う。 それからのハムレットの言動はどこか狂人のふるまいであった。オフィーリアに贈り物を返されて、ハムレットは叫ぶ。 ハムレット 「尼寺へ行け、何故罪びとを産みたがる」 その様子をカーテンの陰から見ていた王クローディアス。 「・・・あれは異常だが狂人ではない。心の底に何かがくすぶっている。燃え上がると危険だ・・・」 ハムレット 「生きるか死ぬかそれが問題だ・・・」 ハムレットは城の上から海を見下ろして苦悩する。短刀の一突きで死ぬのはた易い。だがその先の悪夢は永遠に続くのだ。 ハムレットは一計を策し、役者を集めた。王宮で「ゴンザーゴ殺し」を演じさせ、王クローディアスの心を探るのだ。ハムレットは親友ホレーショに言った。 「ホレーショ、叔父をよく見ておけ」 「ゴンザーゴ殺し」の芝居が始まった。仮眠する王に男が近づき、耳から毒薬を注ぐ場面で王クローディアスの顔色が青ざめた。ハムレットは確信した。父の亡霊の言ったことは真実だ。 王クローディアスは、自分の悪事がハムレットに悟られたと知り、神に懺悔した。その後ろを通りかかったハムレットは、いっそのことこの場で父の仇を討とうと短剣を抜いた。しかし思いとどまる。 『・・・今、本懐を遂げれば奴は天国へ行く、それは考え物だ・・・復讐にならぬ、いましばらく生かしておこう・・・』 ハムレットは母ガートルードの部屋へ行き、母をベッドに押し倒した。 「その心を鏡に映してあげようぞ」 ハムレットは短剣を抜いた。「殺すのですか!」ガートルードはのけぞった。その時、カーテンの奥から人の気配がする。重臣ボローニアスが隠れて様子を窺っていたのだ。 ハムレット、「ネズミめ!」と叫び、カーテンを刺した。手ごたえがあり、ボローニアスが転がり出た。 ガートルード 「何という残忍なことを・・・」 ハムレット 「残忍?王を殺して弟と結婚するのは何です?」 ハムレットは母を責めた。「その眼は節穴か、分別盛りでこの移り気はどういうことだ」 その時、亡霊のざわめきがハムレットを襲った。ハムレットは床にひれ伏した。 亡霊 「・・・時を逃し、気後れし、命令を実行せぬ息子よ・・・忘れるな、お前の鈍い決意を研ぎなおしに来たのだ」 目に見えない物の怪と話しているハムレットを見てガートルードは凍りついた。「誰と話をしているの!!・・・」 ハムレットは亡霊に手を差し伸ばした。「父が出て行かれる・・・」 オフィーリアは父ボローニアスの死で気がふれた。そして、河に身を沈めた。 ハムレットは英国船の襲撃から逃れて戻った時、オフィーリアの埋葬に出くわした。ハムレットはオフィーリアの死を知り嘆く。 「私は愛した、4万人の兄も敵わぬほどに・・・」 王クローディアスは、父と妹の死を悲しむレアティーズにハムレットとの御前試合を提案し、けしかけた。 「剣先に猛毒を塗るのだ。更にハムレットの盃に毒を入れておくのだ」 御前試合をハムレットは受けてたった。王宮にラッパが鳴り響く。 剣を交えるハムレットとレアティーズ。最初の一本をハムレットが取った時、王妃ガートルードがハムレットの盃を手にとった。王クローディアスは、「飲むな!」と叫んだが遅かった。「ハムレットに祝杯です」盃を空けるガートルード。クローディアスは頭をかかえた。 ふいにレアティーズの剣がハムレットの腕をかすめた。すかさずハムレットはレアティーズの剣を叩き落し、剣を取り替える。そしてレアティーズを刺した。 母が倒れた。この毒は回りが速い。 レアティーズ 「・・・むくいだ・・・剣に毒を塗ったのだ・・・酒にも・・・王が張本人だ・・・」 ハムレット 「!!卑劣な!!」 ハムレット、王クローディアスに襲い掛かり刺した。 猛毒がからだ中を駆け巡り、ハムレットは死んだ。復讐を遂げ、親友ホレーショに見守られながら・・・。 |
| 映画館主から 英国のシェイクスピア劇を少年時代から演じてきたローレンス・オリビエが、「ヘンリー五世」(’45年)に続き製作・監督・主演の3役をこなした名作。 当時41歳のローレンス・オリビエの堂々たる演技、音声、仕草には一部の妥協もなく、完璧といっても過言ではありません。また、演出家としての非凡な才能は、4時間半の舞台劇を2時間半に短縮し、重厚なモノクロ画面に反映させています。 私は本作のローレンス・オリビエに出会ってから尊敬できる俳優というものを実感しました。 オリビエは更に「リチャード三世」(’55年、監督・主演)、「オセロ」(’66年、監督・スチュアート・バージ、主演・ローレンス・オリビエ)でもシェイクスピアに挑んでいます。詳しくは、ローレンス・オリビエをご参照ください。 オフィーリアに当時18歳の新人、ジーン・シモンズ。その美貌はビビアン・リーの再来といわれました。彼女の演じた悲劇のヒロインは各方面から絶賛を浴びました。 異色なのは、ラストでの御前試合で審判役を演ずるピーター・カッシング。どこか変な道化役ですが、その後の「フランケンシュタインの逆襲」(’57年)のヒットから、ハマー・プロの怪奇映画に欠かせないスターになっていきました。 本作はアカデミー作品賞、主演男優賞、美術監督賞、装置賞、衣裳デザイン賞、さらに同年のベネチア映画祭グランプリを受賞しています。 「ハムレット」は’64年にソ連がグレゴリー・ゴージンツェフ監督で映画化しています。ハムレットをインノケンティ・スモクトゥノフスキー、オフィーリアをアナスタシア・ベルチンスカヤが演じて、オリビエの「ハムレット」に勝るとも劣らぬ評価を受けました。私は高校生の時、映画館で見ましたが、何故か二人の主演の舌を噛みそうな名前を今でも空で言えるのです。 |
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