「奴らを高く吊るせ!」
奴らを高く吊るせ! 1968・米
奴らを高く吊るせ!

製作:脚本:
    レナード・フリーマン
監督:テッド・ポスト
撮影:リチャード・H・クライン
音楽:ドミニク・フロンティア

出演:クリント・イーストウッド
    インガー・スティーブンス
    エド・ベグリー
    デニス・ホッパー
    ブルース・ダーン
    ベン・ジョンソン

   パット・ヒングル 

クリント・イーストウッド

奴らを高く吊るせ!
物語

ジェッド(クリント・イーストウッド)が大量の牛を輸送中、突然、9人の男たちに呼び止められた。
「この牛はお前の牛か?」 「買ったんだ。運ぶ途中だ」
「これは、盗まれた牛だ」 牛の焼印を見て、男たちの中で長老格のウィルソン(エド・ベグリー)が言った。「吊るせ!」 問答無用だった。

ジェッドは後ろ手に縛られたうえ首に縄をかけられ、近くの大枝に吊るされた。縄が首に容赦なく食い込む。男たちは牛を連れて去った。ジェッドの足が断末魔の痙攣をして動かなくなった。
そこへ、通りかかった男がいた。オクラホマへ囚人を護送する保安官ブリス(ベン・ジョンソン)だ。ブリスは枝にぶら下がったジェッドを見て縄を切る。
ジェッドにまだ脈がある。ブリスの人工呼吸でジェッドが息を吹き返した。
「何をしたか知らんが、リンチは許さん。裁判を受けさせてやる」

一命を取り留めたジェッドは囚人車へ乗せられ、オクラホマの町へ着いた。町の広場に絞首台があった。その絞首台を見下ろす建物の窓からフェントン判事(パット・ヒングル)が顔を出した。
囚人車を一人の女が覗きに来た。雑貨屋の女主人レイチェル(インガー・スティーブンス)だ。彼女は町に囚人車が着くたびに中を覗きに来るのだった。
目当ての顔がないと知るとさっさと帰ってゆく。

フェントン判事の前にジェッドが連れて来られた。
「釈放だ。お前は無実だ」 フェントン判事が言った。ジェッドは盗んだ牛を買わされたのだが、その犯人が逮捕され、事実が判明したのだった。
しかも、フェントン判事はジェッドが別の町で保安官をしていたことも知っていた。
「この町で保安官をやらんか。君を吊るした奴らが憎いだろう。探し出して逮捕しろ」 
ジェッドは受け入れた。
「ただし、殺すな、生きたまま連れて来るんだぞ」

ジェッドは復讐の鬼となり、保安官バッジを付けた。ある町の酒場で見覚えのある男に近づいた。男はジェッドを見たが記憶がないようだ。
「今度から人を吊るす時は、良く顔を見ておくんだな」 ジェッドが首に巻いた布をはずすと、そこに生々しい縄の跡が残っていた。男が青ざめ、腰に手をやる。
「抜くな!生きたまま連れて帰らなければならん」 しかし、男が銃を抜く。一瞬、ジェッドの銃弾が男を射抜いていた。

ジェッドをリンチにかけた仲間の一人、ミラー(ブルース・ダーン)も他の一人と共にジェッドに逮捕され、オクラホマに連行された。
ミラーたちは形ばかりの裁判にかけられた上、絞首台に吊るされていく。
フェントン判事はどこか、絞首刑を楽しんでいるかのようでもある。

町の鍛冶屋もリンチの仲間の一人だった。彼も絞首台に死んでいく。
長老格のウィルソンは牧場主だった。ジェッドが生きていて仲間が次々と死んでいくのを知り、恐れをなした。
彼は友人の保安官アルホーンに金を渡し、ジェッドに示談を依頼した。しかし、ジェッドが受け入れる訳がない。
ウィルソンはジェッド殺害を計画するが、仲間の2人はこれ以上の深入りを避けウィルソンから逃げ出した。
ウィルソンと部下の牧童2人は、ジェッドの隙を狙い銃撃した。ジェッドは数発の銃弾を受けた。

ジェッドは雑貨屋のレイチェルに手厚い看護を受け、又しても一命を取り留めた。いつしか、ジェッドはレイチェルに恋情を抱くが、レイチェルは受け入れなかった。彼女は夫を暴漢に殺された上に犯された無惨な過去があり、男が信じられないのだった。囚人車が来るたびに中を覗きに行くのは、その時の犯人が逮捕されるのを待っているのだ。レイチェルの生き甲斐はその犯人が絞首されるのをこの眼で見ることだけだった。

傷の癒えたジェッドが夜、ウィルソンの牧場へ向かう。
二人の牧童とジェッドを待ち構えていたウィルソンは、猛犬を放った。続いて牧童たちが外へ飛び出していく。
建物の中で外の様子を窺がっているウィルソン。汗が滲む。犬の咆え声と銃声が止む。静かになった。犬は?牧童はどうなったのか?窓から覗くと、二人の牧童が倒れている。
ジェッドが銃を構え、建物の中へ侵入した。部屋を次々と見ていく。
最後の部屋の天井からウィルソンが首を吊って揺れていた。

フェントン判事の元へ帰ったジェッド。ジェッドの仕事はこれで終わりの筈だった。しかし、フェントン判事は言うのだった。
「あと2人、逃げた奴がいるだろう。これが逮捕状だ」
映画館主から

テレビの西部劇シリーズ「ローハイド」(’58年)で人気が出たクリント・イーストウッドは、イタリア製西部劇「荒野の用心棒」(’64年)、「夕陽のガンマン」(’65年)、「続・夕陽のガンマン」(’66年)で大ヒットを飛ばします。
この「奴らを高く吊るせ!」は、本国アメリカに凱旋帰国したイーストウッドの西部劇映画第一作目です。

まだマカロニウェスタンの余韻を引きずっているような、どこか残酷な描写や筋書きですが、れっきとしたアメリカ映画です。
監督のテッド・ポストは、「ローハイド」の演出も手がけていた人で、イーストウッドの友人でもあり、「ダーティハリー2」(’73年)でも再びコンビを組んでいます。

共演者は、紅一点のインガー・スティーブンスの他、エド・ベグリー、デニス・ホッパー、ブルース・ダーン、ベン・ジョンソン、パット・ヒングルと芸達者が並び、中でもベン・ジョンソンは、ジョン・フォード映画の常連俳優です。出番は少ないものの味な保安官を演じていました。

クリント・イーストウッドといえば、今や俳優としても映画監督としても頂点を極めた感があります。
「恐怖のメロディ」(’71年)という異色スリラーで監督第一作に名乗りを上げた後、アクションや西部劇を次々と発表、中でも、「許されざる者」(’92年)は、アカデミー作品、監督、助演男優賞(ジーン・ハックマン)など主要部門を勝ち取る深みのある西部劇の傑作でした。
俳優兼監督の先人たち、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ケビン・コスナー、メル・ギブソン、そしてデニス・ホッパーなどの中にあっても特に異彩を放っています。

ちなみに私はテレビの「ローハイド」を見たことがありません。私の育った信州の松本では、「幌馬車隊」、「ララミー牧場」、「ライフルマン」、「ブロンコ」、「シャイアン」、「サーカス西部を行く」、「西部の男パラディン」などの西部劇はかわるがわる放映されたものの、遂に「ローハイド」は放映されませんでした。何故か未だに残念です。

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