| 素晴らしき哉、人生! 1946・米 | |
![]() 製作:監督: フランク・キャプラ 撮影:ジョゼフ・ウォーカー 音楽:ディミトリ・ティオムキン 出演:ジェームズ・スチュワート ドナ・リード ライオネル・バリモア ヘンリー・トラバース ワード・ボンド |
物語 天国で神々が地上の様子を窺っていた。今しも、一人の男が自殺しようとしているのだった。頭の弱い二級天使のクラレンスが呼ばれ、あの男を救えと命じられた。クラレンスはもう200年以上も天使をやっているが、翼を与えられていない。男を救うことができたら、翼をもらえることになった。 ジョージは子供の頃から利発な少年だった。薬屋のオヤジが薬を劇薬と間違えたのを未然に防いだこともある。弟が氷の割れ目に落ちたのを救ったこともある。父親の金融業を引き継いだジョージは、ダンスパーティで知り合った女性と結婚し、4人の子供にも恵まれた。 しかし、幸せは長くは続かない。町の実力者にことごとく妨害され、破産寸前になった。クリスマスの夜、荒れたジョージは、妻や幼い子供に当り散らした。 家を飛び出したジョージは酒場で、喧嘩をしてしまう。橋の上に来て、下を見る。死ねば保険金が下りて、妻と子供は何とかなる。いざ、飛び込もうとした瞬間、先に飛び込んだ者がいた。ジョージはすぐさま飛び込み、男を救った。 男はクラレンスと名乗り、ジョージを救うため、天国から来たと言う。頭の少し弱い老人だが、不思議にジョージのことを何でも知っている。絶望の淵に立っていたジョージは、自分なんか最初からいない方が良かった、と弱音を吐いた。クラレンスはその時閃いた。「自分のいない世界を見るかね」 クラレンスはジョージと町へ出た。何故か町の様子が違う。酒場で知り合いに会っても、皆知らん顔だ。そこへ、少年のころバイトをしていた薬屋のオヤジがやってくると、バーテンに酒をかけられ、いたぶられる。ジョージはかばうが、劇薬で人を殺して、20年刑務所にいた奴をかばうな、とバーテンは言う。 町外れの墓地には、出世している筈の弟の墓があった。昔、氷の割れ目に落ちて死んだのだとクラレンスは言う。ジョージは頭が混乱し、自分の家へ行くと、家族の姿はおろか、くもの巣の張った廃屋になっていた。町で会った妻は、ジョージから逃げて人々に助けを求めた。 ジョージはクラレンスに叫んだ。「元の世界に返せ!もう死のうなんて言わない、家族の所へ返せ!」ジョージは真剣だった。 家に飛び込むと子供達が待っていた。ジョージは子供達を力一杯抱きしめた。妻が外から帰ってきた。「いい知らせよ」続いて沢山の人々が押し寄せた。妻の必死の訴えに、ジョージの為ならと、皆が寄付を持ってきたのだ。昔、世話になったお礼だよと、皆は口々に「メリークリスマス!!」と言うのだった。 人々のカンパの中に、クラレンスの愛読書「トム・ソーヤの冒険」が混じっていた。巻末に「翼をありがとう、クラレンス」と、サインがあった。 |
| 映画館主から これぞ、人情物の大家、フランク・キャプラの代表作。私はビデオでしか観ていませんが、ラストは涙が止まらなくなってしまいました。何と言う、善意に満ちた映画なのでしょう。失意の男と、落ちこぼれの二級天使のユーモラスで、心暖まる物語です。 「自分のいない世界を見てみるかね」・・・この台詞から、ジョージも我々も、異次元の世界へ入っていきます。まるで魔法です。もっとも天使のことだから、魔法位使うのかも知れません。このさわりは、「バックトゥー・ザ・フューチャー」のSF感覚です。もちろん、CGもSFXもないのですが、ジェームズ・スチュアートの名演とフランク・キャプラの作劇のうまさに、すっかりはまってしまい、現実の世界に戻った主人公と幸福感を共有するのです。 ジェームズ・スチュアートは「スミス都へ行く」でも、フランク・キャプラ作品で熱演しています。古き良き時代のアメリカ青年を演じたら、彼にかなう者はいません。 長引く不況下の日本、しかも、次から次へと嫌な事件が後を絶たない世情ですが、この映画を観たら心が洗われること請け合いです。目の掃除にも最適です。 参考文献:「アメリカ映画作品全集」 キネマ旬報社 |
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