ジュラシック・パーク後編
    1993・米

ハモンドたちは対策を協議する

製作:キャスリーン・ケネディ
    ジェラルド・R・モーレン
監督:スティーブン・スピルバーグ
原作:マイケル・クライトン
脚本:マイケル・クライトン
    デビッド・コープ
撮影:ディーン・カンディ
音楽:ジョン・ウイリアムズ

出演:サム・ニール
    ローラ・ダーン
    ジェフ・ゴールドブラム
    リチャード・アッテンボロー
    ボブ・ペック
    マーティン・フェレロ
    ジョゼフ・マゼロ
    アリアナ・リチャーズ
    サミュエル・ジャクソン
    ウェイン・ナイト


ガリミムスの群れから逃げる

高圧電線のフェンスを乗り越えるグラントたち

ヴェロキラプトルが厨房室へ

ヴェロキラプトルから逃げる子供たち

恐竜模型にぶら下るサトラー
物語

ビジターセンターのコンピュータ制御室では、戻ったサトラーとハモンドが論争していた。
「インチキではない本物を見せたかったんだ」 とハモンドが言えば、「でもこんな危険が・・・」 と、サトラーは食い下がる。
「ネドリーにシステムを任せたのが間違いだった、今度は万全の管理を・・・」 「万全な管理なんて無理よ、生命を甘く見すぎていたのよ・・・今大事なのは愛する人の命よ、危険にさらされているのよ」 「・・・・・」 ハモンドは言うべき言葉もない。

グラントと子供たちは平原を歩いている途中で恐竜の卵を発見した。卵が孵って小さな足跡がある。
「やはり、野外で繁殖してるんだ」 「でも、ここの恐竜は全部雌なんでしょ?」 「アニメの説明では、欠落してる遺伝子をカエルのDNAで補ったと・・・つまり恐竜の遺伝子にカエルの遺伝子を混ぜた・・・西アフリカのカエルは雌だけを隔離すると一部は雄に変る・・・マルコム博士の説は正しかった・・・“生命は道を見つける”」

「ネドリーが戻らぬ以上システムを切る他はない」 ハモンドが言うと、「危険すぎる」 制御装置を管理するアーノルドが反論した。
「システムを切れば彼の指示を消すことができる・・・その後再稼動させればシステムは正常な状態に戻る」 「理屈はそうです、再稼動しなかったら?」
「いよいよの場合はアミノ酸を・・・」 警備員マルドゥーンが言った。「馬鹿を言うな」 とハモンド。「恐竜が島から脱走した場合の非常措置がある」 アーノルドが言った。「遺伝子の操作で恐竜は体内でアミノ酸のリジンを作れない、だから外から補給しないと死ぬんだ」
「人間の命がかかってる!つべこべ言わずにシステムを切れ!」 ハモンドの一喝で、アーノルドがシステムのスイッチを次々と切っていく。「知りませんよ・・・」ぼやきながら切り終わると、ディスプレイに“システムOK”の表示が出たが明かりが付かない。ヒューズが飛んだのだ。
外の機械室のブレーカーを入れれば電話も警備装置も元に戻る筈だ。
「3分で直してきます」 アーノルドが機械室へ行った。残りの全員が地下室へ避難した。

「あの向うがビジター・センターの筈だ」 グラントと子供たちが平原を歩いていた。その時、遠くからダチョウのような大群が走って来た。
ガリミムスの群れだった。3人は走った。横たわる巨木の陰に逃れると、ガリミムスたちは巨木を蹴散らしながら走っていく。
その時、突如現れた
ティラノサウルスガリミムスに襲い掛かった。恐竜が恐竜を食べる光景を驚きながら3人は見た。

「どこの遊園地にも最初はトラブルがある、ディズニー・ランドも故障続きだった」 ハモンドが言い訳がましく言うと、「“カリブの海賊”は人を食わないよ」 と、マルコムの皮肉はきつい。
アーノルドの帰りが遅いのでマルドゥーンとサトラーは様子を見に外へ出た。何か気配がする。マルドゥーンは銃を構えた。サトラーが走り機械室へ入った。
ハモンドからの無線の指示で地下室の高電圧の表示にたどり着いた。サトラーはハモンドの指示の通りにハンドルを上げ下げした。次にグリーンの釦を押す。
ブーンと唸るような音。パーク内の各システムは赤い釦だ。サトラーは赤い釦を次々と押していく。

その頃、グラントたちは高圧電線が張られたフェンスの場所まで来ていた。この高圧電線を乗り越えなければならない。グラントは警告灯が消えているのを見て電線を掴む。「ウワ〜〜!」 グラントが悲鳴を上げ、子供たちは叫び声を上げた。グラントの悪戯だった。電流は流れていない。「ひどいわ!」レックスが怒る。
後方から
ティラノサウルスの唸り声が聞こえる。3人は高圧電線によじ登って行く。反対側を降りる段になってティムが途中で止まってしまった。グラントとレックスはすでに降りている。警告ブザーが突然鳴り出した。
「飛び降りろ!」 グラントが叫んだ。「こんな高い所から?」 ティムが怯んだその時、ティムが弾かれたように空を飛んだ。電流が流れたのだ。グラントが危うく受け止めたが、ティムは息をしていなかった。
必死の思いでグラントが人工呼吸を施すとティムが咽て息を吹き返した。

サトラーは全ての電源がONになりホッとした、その時、金網の外から恐竜が襲い掛かった。体長2メートルの肉食恐竜、
ヴェロキラプトルだった。悲鳴を上げサトラーが壁に寄りかかると背後から人間の腕が!食い千切られたアーノルドの腕だった。
サトラーは地下室を走る。恐竜が追ってきた。
一方、マルドゥーンは茂みの陰にいる
ヴェロキラプトルに銃の狙いを定めていた。その時、別のヴェロキラプトルがいきなり現れマルドゥーンを襲った。

グラントたちはビジター・センターにたどり着いた。誰もいない。
「人間トーストになりかけたな」 グラントがまだショック状態から醒めていないティムに話し掛けた。
グラントが人を探しに行っている間にレックスとティムはレストランの食べ物にぱく付いていた。その時、カーテンに影が動いているのを見た。恐竜の影だ。
恐怖に凍りついた二人は厨房室に逃げた。ドアの小窓から中を覗く。鼻息が窓ガラスに吹きかかる。
ヴェロキラプトルが厨房室のドアノブを回して入って来た。
厨房室の中で二人と2頭の
ヴェロキラプトルの息詰まる攻防戦が始まった。
隙を見て厨房室を逃げ出した二人は制御室へ駆け込む。

制御室にはグラントとサトラーがいたが、間もなくドアの外に
ヴェロキラプトルが追ってきてドアノブを開けようとしていた。グラントがドアを閉めようとするがヴェロキラプトルは凄い力で押してくる。鋭い爪がグラントに迫る。
「ドアをロックしろ!」 グラントは叫ぶ。「UNIXなら使えるわ!」 レックスがパソコンを操作する。パークの全システムからドア・ロックのファイルを探す。レックスは必死だった。
「やった!」 レックスがドア・ロックのファイルを探し当てドアをロックした。
「電話も警備システムも元通りよ」 サトラーも狂喜した。
地下室のハモンドはグラントからの電話を受けた。「孫たちは?」 「無事です、本土に電話してヘリを呼んでください」 その時、ハモンドの耳に数発の銃声が轟いた。「グラント!」 ハモンドが絶叫した。

再び
ヴェロキラプトルはグラントたちを襲った。4人は脚立から天井裏に登る。中には配線や空調ダクトが走っている。ヴェロキラプトルが下から突き上げてくる。
はずれたパネルからレックスが落ちそうになった。下には
ヴェロキラプトルが待ち構えている。グラントがレックスを引き上げた瞬間、ヴェロキラプトルがジャンプしてレックスをかすめた。
天井裏からビジター・センターの中央ホールへ出た。巨大な恐竜の骨の模型が天井から吊り下げられている。グラントたちは模型に乗り移った。
ヴェロキラプトルは2頭だ。執拗な恐竜たちは模型に体当たりしてきた。模型がばらばらに粉砕され、4人は床に落ちた。
傷ついたグラント、サトラー、レックス、ティムの4人は2頭の
ヴェロキラプトルに両側を囲まれ絶体絶命の状況だった。
その時、どこから現れたか、体長12メートルの
ティラノサウルスヴェロキラプトルに喰らいついたのだ。恐竜対恐竜の戦いの脇を4人はすり抜けて外へ脱出した。

ビジター・センターの玄関口にハモンドが車を乗りつけた。マルコムも乗っている。グラントたちは車に乗り込む。
「このパークを承認することはお断りします!」 グラントは決然と言い放った。
「当然だ」 ハモンドも認めた。
雄大な滝が落ちるヘリポートからヘリコプターが飛び立った。想像を絶するジュラシック・パークのツアーは終わったのだ。マルコムは無言で海を見ている。ハモンドは複雑な思いでステッキを見つめる。そのステッキの頭には古代の蚊が閉じ込められた琥珀が設えてあった。
グラントの両脇にはレックスとティムが寝息をたてていた。サトラーはそんなグラントを微笑ましく眺めるのだった。
映画館主から

現代のウォルト・ディズニーとも言えるヒットメーカー、スティーブン・スピルバーグ監督の超大ヒット作品。
斬新な着想によるマイケル・クライトンの原作をもとに、スピルバーグはCG(コンピューター・グラフィックス)の最新技術を駆使した驚異の映像で6500万年以上も前に絶滅した中生代白亜紀の恐竜たちを蘇えらせました。

CG映像は殆ど完成の域に達し、「ジュラシック・パーク」を見た我々は、そのリアルな質感に驚きました。CG映像技術を知らない一昔前の人がいきなり本作を見たら、本当に恐竜が蘇えったかの錯覚を起こしかねないほどの出来栄えです。もう何でもありの世界なのです。
「アビス」(’89年、ジェームズ・キャメロン監督)や「ターミネーター2」(’91年、ジェームズ・キャメロン監督)から更にCG技術は進歩しています。
最新作「キング・コング」(’05年、ピーター・ジャクソン監督)のCG映像は更に進化しているように思えました。まったく驚きです。
ピーター・ジャクソンと同様、幼い頃に「キング・コング」(’33年)を見たスピルバーグは、自分もいつか恐竜を描いた映画を作りたいと夢に持ち続けていたのだそうです。

その後、「ロストワールド/ジュラシックパーク」、「ジュラシックパークⅲ」と続編が製作されましたが、やはり本作の衝撃が大きかったと思います。

主演のサム・ニールは、「オーメン最後の闘争」(’81年、監督:グラハム・ベイカー)で頭角を表わした英国出身の演技派です。本作は彼にとっての代表作の1本であることは間違いないでしょう。
数学者マルコム役のジェフ・ゴールドブラムは、「ザ・フライ」(’86年、監督:デビッド・クローネンバーグ)で蝿男を演じ、その独特の風貌で強烈な印象を残しました。彼は幼い頃、「キングコング対ゴジラ」(’62年、監督:本多猪四郎、東宝映画)を見て映画俳優になる決心をしたのだそうで、本作への出演は正に念願叶ったりといったところなのです。余談ですが、「ザ・フライ」の共演者ジーナ・デービスとも本作のサトラー役のローラ・ダーンとも結婚し、離婚しているとのこと。
大富豪ハモンド役のリチャード・アッテンボローは、「大脱走」(’63年、監督:ジョン・スタージェス、主演:スティーブ・マックィーン)などで重厚な性格俳優として知られますが、監督業も本格的で、「ガンジー」(’82年、主演:ベン・キングスレー)ではアカデミー賞作品賞、監督賞を含む8部門で受賞するという快挙を遂げています。’76年には英国王室からナイトの称号を与えられました。

本作はアカデミー賞の視覚効果賞、音響効果編集賞、音響賞に輝きました。スピルバーグは驚くことにこの年、「シンドラーのリスト」(’93年、主演:リーアム・ニーソン)も監督しており、アカデミー賞は作品賞、監督賞、撮影賞、脚色賞、作曲賞、美術監督・装置賞、編集賞と総なめにしているのです。硬派、軟派のまったく毛色の違うドラマを操るスピルバーグの才能とエネルギーには敬服するほかはありません。

物語は最新の遺伝子工学に基づいています。
採掘された琥珀の樹液の中の蚊から恐竜の血液に含まれるDNAを抽出し、コンピュータで修復を加え爬虫類の卵子に注入する。更に受精卵を温度を管理し、酸素濃度を調節して孵化させるのです。
恐竜を現代に蘇えらせるという途方もない素晴らしい着想ですが、現代のバイオ技術をもってすれば、これは実現可能かも知れません。
「クローンは悪魔の科学か」の著者、軽部征夫教授は著書の中でクローン再生技術に関してこう述べています。
『恐竜のように、実際に遺伝子を採り出すことがむずかしい場合には、なかなか映画(ジュラシック・パーク)のようにはうまくいかないと思いますが、たとえばマンモスなどのように、永久凍土の中で遺伝子が完全な形で保存されている可能性のある動物の場合には、大いに期待できます』

実際に、シベリアの永久凍土から氷漬け状態で発掘された1万年前に絶滅したマンモスの精巣から精子を採取し、現代に蘇えらせる計画が進行中だということです。
さらに軽部征夫教授は、ヒトのクローンにも触れ、理論的には可能であるとしながらも、倫理的な理由から反対の立場をとっています。
’97年、イギリス発『クローン・ヒツジ第一号(ドリー)誕生』のニュースは記憶に新しいですが、ドリーの生みの親であるウィルムット博士も、「人間のクローンは禁ずるべきだ」と述べています。ヒトクローンの問題は各国で論議を呼び、基本的に反対、または禁ずる措置をとっています。

「ブラジルから来た少年」(’79年、監督:フランクリン・J・シャフナー、主演:ローレンス・オリビエ/グレゴリー・ペック)は、ナチス残党がヒトラーのクローン人間を世界中に配置させ世界征服を企むという内容でした。
近年の近未来SFサスペンス「アイランド」(’05年、監督:マイケル・ベイ、主演:ユアン・マクレガー)は、ヒトクローンがビジネス化されている社会で、主人公はクローンなのです。

また、軽部征夫教授は、ヒトクローンの技術を移植用の臓器を作る研究に関しては容認しており、将来「ミクロの決死圏」(’66年、監督:リチャード・フライシャー、主演:スティーブン・ボイド)のような手術の可能性についても言及しています。ただし、人間の替わりにマイクロマシンやバイオロボットが発達し、患者の血液の中を進んで行けるようにならなければなりませんが。

「近松座」の「ジュラシック・パーク」のBGMは「ベン・ハー」「大いなる西部」「駅馬車」「七人の侍」「羅生門」でもお世話になっているMIDI作者、大文字様の力作です。夢をかき立てるようなジョン・ウイリアムズの代表傑作を見事にクローン化(?)して頂きました。心より御礼申し上げます。大文字様のサイトへは映画館トップページ下の から訪問してください。

参考文献:公開時パンフレット
      : 「クローンは悪魔の科学か」 軽部征夫著 祥伝社
 前編へ
 映画館へ戻る