「地下室のメロディー」
地下室のメロディー 
        1963・仏
 
地下室のメロディ

監督:アンリ・ベルヌイユ
脚本:アルベール・シナモン
撮影:ルイ・パージュ
音楽:ミシェル・マーニュ

出演:ジャン・ギャバン
    アラン・ドロン
    ビビアンヌ・ロマンス

アラン・ドロンとビビアンヌ・ロマンス


  地下室のメロディ
物語

5年の刑を服役してシャバに出てきた老ギャングのシャルルは、もう次のヤマを考えていた。恋女房のジャネットは「もう、危ない仕事はやめて!今度は一生出てこれないわ」と懇願するのだが、シャルルの心は決まっていた。「確実なヤマだ。ムショにいる間に相棒にうってつけの若造を見つけたんだ」

その若造、フランシスの所へさっそく話しを持ってきたシャルル。計画は、カンヌのパルムビーチにあるカジノの掛け金10億フランをそっくりせしめるという大胆なもの。シャルルにしてみればこれが最後の大仕事になる。フランシスの義兄も仲間に加え、慎重な計画を練った。

まず、フランシスはダンサーの一人に近づいて仲良くなった。楽屋の天井裏から屋上に抜けるためには楽屋に出入りする必要があった。丸一週間、ホテルに泊まり、金持ちの子息を装った。カジノの金を週に一度、地下の金庫に回収に来る。そこを狙うのだ。

いよいよ、決行の日が来た。夜のダンスショーが終わり、ダンサー達が楽屋に入って来た。物陰に隠れたフランシスは皆が帰るのを待った。しかし、ダンサー達は打ち上げを始めてしまい、なかなか帰らない。外ではシャルルと運転手役の義兄がイライラしながら、フランシスの合図を待っていた。

やっとダンサーがいなくなり、屋上へ上がったフランシスは、外へ向けて懐中電灯の合図をした。折りしも掛け金の回収の連中の車が到着した。フランシスは屋上から通風孔に入った。覆面をし、マシンガンを肩に通風孔の中を腹ばいに進む。その下はカジノで賑わっていた。

通風孔からエレベーターの上に乗った瞬間、エレベーターが下がりだした。ロープづたいにエレベーターの上に降り、中に入ると、そこが金庫室だ。丁度、掛け金を回収するところだった。6,7人の男達にフランシスはマシンガンをかざして凄んだ。別のドアを開けさせると、そこに覆面のシャルルが立っていた。
シャルルは当然の如く冷静に札束を2個のバッグに詰め、フランシスと共に立ち去った。まんまと10億フランを手に入れた!非常ベルが鳴り、大騒動になった。札束の入ったバッグはフランシスの部屋の秘密の隠し場所へ納まった。

翌朝、シャルルはフランシスをなじった。事件を報じた新聞にカジノの写真が載っていたが、そこにフランシスの姿が写っていたのだ。「すぐ、バッグを持ってこい。プール脇のバーで待ってる」とシャルル。
やがて、2個のバッグを持ってフランシスが現れた。シャルルがプール脇の椅子に座って新聞を読んでいる。が、辺りは刑事とホテルの従業員が歩き回っていた。フランシスはシャルルと対面の位置に座って様子を窺った。
辺りの事情聴取の声が聞こえる。「顔は覆面で判りませんでした。」「バッグはどんなバッグだ?」「見れば判りますよ」・・・・・彼らは遠ざかっていったが、フランシスは足元のバッグが見られはしないかと肝を冷やす。周りに気を使いながら、フランシスはバッグをプールに沈めた。対面のシャルルはそれを見ている。
プールサイドにさりげなく横になっているフランシスだが、やがてプールに何やら浮いた物がある。紙幣だ!1枚、また1枚、バッグの口が開き、札束が次々と浮いてきた。シャルルはなすすべも無くその様子を見ている。フランシスはその場を離れていった。老ギャングは無表情で動かなかった。やがて、プール一面に紙幣が浮かび上がった。

映画館主から

フランス映画界の大御所、ジャン・ギャバンと若手人気スター、アラン・ドロンが始めて共演した犯罪映画の傑作です。
フランス映画独特のテンポと、全編を流れるミシェル・マーニュのモダンジャズがおしゃれでした。この頃、犯罪が成功したかに見えて、ラストで破綻するパターンの映画が流行りました。「オーシャンと11人の仲間」、「トプカピ」、「現金に体を張れ」、「黄金の七人」などなど・・・・。ラストのプールに札束が浮かび上がるシーンは非常に映像的で、犯罪が一瞬にしてコメディに変化する効果がありました。

ジャーナリスト出身のアンリ・ベルヌイユ監督はこの映画のヒットで、その後も多くの暗黒街ものを手がけましたが、本作が最高傑作でしょう。

ジャン・ギャバンとアラン・ドロンは他にも「暗黒街の二人」で共演してますが、やはり、ギャバンの貫禄にはさすがのドロンも影が薄いようです。この映画の影響を受けて、東映が「御金蔵破り」という作品を石井輝男監督で発表しましたが、残念ながら私は観ていません。ジャン・ギャバンに片岡千恵蔵、アラン・ドロンに大川橋蔵というなかなかのキャスティングです。
私は高校生の時、この映画を、「シャレード」との2本立てで観たのです。しばらく、ハッピーな気分でした。

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