「真夜中のカーボーイ」
真夜中のカーボーイ 
        1969・米
真夜中のカーボーイ

製作:ジェローム・ヘルマン
監督:ジョン・シュレシンジャー
脚本:ウォルド・ソルト
撮影:アダム・ホレンダー
音楽:ジョン・バリー

出演:ダスティン・ホフマン
    ジョン・ボイト
    ブレンダ・バッカロ





物語

テキサスのジョー・バック(ジョン・ボイト)はカーボーイルックに身を固め憧れの大都会ニューヨークへ向かっていた。鍛え上げた自信の肉体で金持ち女をたらしこみ金を稼ごうという腹積もりだった。

ニューヨークはすさんでいた。安ホテルを根城に女をあさる。しかし、やっとそれらしい中年女を相手にしたが逆にタクシー代をせがまれる始末。
そんな時、バーで知り合った小汚い男リコ(ダスティン・ホフマン)と意気投合した。リコは足が悪く、胸が悪いらしく変な咳をする。

「仲介者を通さなきゃだめさ」 リコに紹介された男は気色悪い福音師だった。リコに騙されたと知ったジョーはリコを探し回ったが見つからない。
金が尽き、ホテルを追い出される。若いホモとホテルへ。金をふんだくる。

そしてある日、レストランにいたリコを見つけた。ジョーはリコを叩きのめそうとしたが、リコは詫びを入れ、ジョーを自分の部屋へ連れて行く。そこは廃墟となったビルの一室だった。
「俺のことをラッツォ(ねずみ)と呼ぶな、俺の名はエンリコ・サルバドーレ・リゾーだ。リコと呼べ!」 リコは叫ぶ。そして、「ニューヨークじゃカーボーイは通用しない。せいぜいオカマさ!」
「じゃ、ジョン・ウェインはオカマか?」 そんな二人の奇妙な共同生活が始まった。

リコは盗みの達人だ。果物を店員の目を盗みポケットへ・・・。タクシー待ちの客の肩をたたき「ごみが・・・」と言いながら、ポケットから財布を抜き取る・・・

ジョーは女をあさるが・・・商売にならない。一方、リコはフロリダへ行くことを夢見ていた。しかし、胸を患っているリコの咳はますますひどくなる。

リコがとうとう寝込んでしまった。ジョーが薬を買ってくるとリコが怒った。「何故買った。盗めばいいのに!」 
「俺はもう、歩けないんだ・・・」 リコはフロリダへ連れて行ってくれとジョーにせがんだ。
ジョーが遊技場で会った中年のホモとホテルへ・・・。そこで、男をぶん殴り、金を奪った。

フロリダ行きのバスにリコを乗せるジョー。リコは相当具合が悪化していた。
フロリダの夢を見るリコ。 リコが泣いていた。「どうした・・・」 「・・・もらしちまった・・・」 そして、激しく咳いた。

途中でシャツとズボンを買い、リコにはかせるジョー。バスはフロリダへまっしぐらに進む。しかし、リコはマイアミが目の前だというのに眠ったように息絶えていた。ジョーはリコを優しく抱いたままフロリダに向かうのだった。
映画館主から

英国出身のジョン・シュレシンジャー監督の渡米第一作作品です。
アメリカン・ニューシネマの先駆けとなったこの作品で、イギリス人の目でアメリカのすさんだ病巣を痛烈な皮肉を込めて描いています。

テキサスの田舎から希望を持って乗り込んできたカーボーイは、大都会の歪んだ現実の前に打ち砕かれ挫折を味わいます。
ただ、彼が得た唯一の物は都会の片隅でラッツォ(ねずみ)のように生きているリコという男との奇妙な友情でした。

リコを演じたダスティン・ホフマンの会心の演技。この年のアカデミー主演男優賞に彼とジョン・ボイトがノミネートされましたが、受賞は長年の功労の意味で「勇気ある追跡」のジョン・ウェインでした。

しかし、アカデミー作品、監督、脚色の3部門に輝き、ジョン・シュレシンジャーの名は一躍有名になりました。
’76年に再びダスティン・ホフマンを主役にした「マラソンマン」という傑作サスペンスを発表しています。大御所ローレンス・オリビエをナチスの残党に配した、私の好きな作品です。

 映画館へ戻る