| ミザリー 1990・米 | |
![]() 製作:アンドリュー・シェイマン 製作:監督: ロブ・ライナー 原作:スティーブン・キング 脚本:ウィリアム・ゴールドマン 撮影:バリー・ソネンフェルド 音楽:マーク・シェイマン 出演:ジェームズ・カーン キャシー・ベイツ リチャード・ファーンズワース ローレン・バコール ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 冬のコロラド山中。超ベストセラー『ミザリー』シリーズの作家ポール・シェルダン(ジェームズ・カーン)は、新作の私小説を書き上げた。 新作をバッグに入れ車で山を降りていく。ニューヨークのエージェントのもとへ向かうのだ。折りしも山は猛烈に吹雪いてきた。そしてシェルダンは運転を誤り車は雪道を大きくはずれ、転落していった。 やがて、車のドアをこじ開ける音がした。瀕死の重傷を負ったシェルダンは何者かに助け出された。 ベッドで目覚めたシェルダンは、自分を覗き込んでいる女に気が付いた。 「一番のファンなの」 女は付近に住むアニー・ウィルクス(キャシー・ベイツ)と言い、元看護婦だったという。シェルダンは全身打撲のうえ、特に両足の頚骨は複雑骨折していた。 アニーは献身的な介護をした。シェルダンの熱烈なファンで『ミザリー』の愛読者だった。 「後をつけてたのよ、貴方が滞在しているのを知っていたから。時々、ロッジまで行って窓の明かりを眺めていたの、そうしたら貴方が車で・・・。『ミザリー』シリーズは最高よ、感動したわ」 アニーは目を輝かせて言った。 「ありがとう・・・妻と娘に連絡をとりたいのだが・・・」 しかし、この吹雪で電話は不通だという。 アニーが町へ出かけ『ミザリー』最終刊を買って帰った。エージェントと娘にも連絡してきたとアニーは言った。 シェルダンの介護もそこそこにアニーは『ミザリー』を読みはじめた。 「75ページまで読んだわ、大傑作よ、非の打ち所がないわ」 アニーは感激して言った。 シェルダンの部屋に豚が入って来た。「ミザリーよ」 アニーはペットの豚に「ミザリー」と名づけ、シェルダンに紹介した。顔の近くで鼻を鳴らす豚は大いに迷惑な話だが、シェルダンは身動きできない。 「今、300ページ、完璧どころか、神の創造だわ!」 そして、その夜は満月だった。アニーがドアを開けてぬっと入って来た。 「・・・よくも・・・こんな卑劣な真似を・・・許せない!」 アニーの顔色が変っている。「嘘でしょ!ミザリー・チャスティンが死ぬなんて!」 『ミザリー』の最終刊で主人公のミザリーは死ぬのである。アニーは主人公の死を知って激怒していた。 「当時は出産で死ぬ人が多かった・・・だが、魂は生きるんだ」 シェルダンは弁解がましく言った。 「魂じゃ駄目!彼女がいないと!・・・あんたが殺した!」 アニーの形相が凄まじい。 「うぅぅぅ・・・俺じゃない・・・」 アニーは半狂乱となり、椅子を壁に投げつけた。「いい人だと思っていたのに、裏切られた」 シェルダンには手も足も出ない。 「医者も家族もエージェントも来ないよ・・・連絡なんかしてない、誰も知らない・・・私の身に何かあれば、あんたも死ぬしかない・・・」 この時初めてシェルダンに恐怖が押し寄せた。 アニーが出かけた隙にシェルダンはベッドから床に降りた。激痛を堪え、床を這いずる。やはり、ドアに鍵がかかっていた。 帰ってきたアニーは床にいるシェルダンに言った。 「神が言ったわ、“彼を正しく導きなさい”と」 「・・・導く?」 アニーはシェルダンの新作の原稿を持って来た。それと、グリル台も。そこに新作の原稿用紙をぶちまける。 「燃やしなさい」 アニーは言いながら原稿用紙に点火オイルを撒いた。 シェルダンはマッチに火をつけ、グリル台に投げた。激しく燃え上がる新作原稿。『もはや、この女は普通じゃない、何とかして脱出しなければ・・・』 アニーがタイプライターと原稿用紙を準備してきた。『ミザリーの生還』を書けというのだった。シェルダンはアニーの足元にヘアピンが落ちているのに気が付いた。 「この原稿用紙は使えないんだ。インクが滲む。白で縦縞のタイプ用紙を頼む・・・」 アニーはその時、「世話をしているのに少しは感謝したらどうなの!」 と、癇癪を爆発させ、シェルダンの足に用紙を投げつけた。 「う、う、ぅぅ・・・」 シェルダンは激痛に叫ぶ。 アニーが再び車で町へ・・・。 シェルダンは床のヘアピンを拾いドアに這いずった。以前、小説に書いたことがある、ヘアピンで鍵は開く筈だ、そして開いた。電話があった。しかし裏側の電子機器が外されていた。別室へ行き、薬らしきものをふところに入れた。 気配を感じてベッドに戻った瞬間、アニーが帰ってきた。「・・・!どうしたの、凄い汗よ」 「薬をくれ・・・」 ヘリコプターで偵察していた地元の保安官バスター(リチャード・ファーンズワース)が山の中腹に車が転落しているのを発見した。 「抜け出して死亡したようだ、雪解けに見つかるだろう、動物に食べられていなければ」と、コロラド署長が言うのへ、バスター保安官の意見は違った。『・・・ドアをこじ開けた跡がある、これは自分で脱出したんじゃない・・・』 シェルダンは『ミザリー』を生き返らせる小説を書き始めた。狂喜するアニー。 シェルダンは『ミザリー』生還の前祝いをしないかとアニーに提案した。アニーは応じた。食卓に料理を並べ、ワインで乾杯する。実はそのワインにはシェルダンが隙を見て溜め込んだ薬(睡眠薬入り)を入れておいたのだが、アニーはそそうして倒してしまった。あっけにとられ失望するシェルダンだった。 シェルダンはタイプライターに向かい原稿を打ち続けた。次第に完成に近づきつつあった。 アニーがパジャマ姿で顔を出したが表情が暗い。 「あなたを失うのが怖くてたまらないの・・・」 「何故失うんだ?」 「本が完成し、脚が治ったら出て行くでしょ?」 「ここが気に入ってる・・・」 「口先だけでしょ・・・」 アニーがポケットから出したのはピストルだった。 「時々これを使いたくなるの・・・本気かもよ」 「・・・・」 アニーが買い物に出た。シェルダンは台所まで這いずって行き、包丁を手に入れた。その時、『思い出のアルバム』とラベルの貼られたアルバムが目に付いた。そこにはシェルダンの行方不明の新聞記事が貼り付けてあった。さらにページを繰ると、アニーの幼い頃の写真や様々な事件の新聞記事、死亡記事の切り抜き、そして、「犯人は看護師か?」という記事にアニーの顔写真が添えてある。アニーは殺人犯なのか・・・ シェルダンがふと目覚めると目の前にアニーが立っていた。いきなり注射をされた。 「・・・出たのね」 「何が?」 シェルダンはベッドに縛り付けられていた。シェルダンが慌ててベッドの下を探るとアニーが「探し物はこれ?」 手に包丁を持っている。 「アルバムも見たのね・・・」 シェルダンは観念した。 「・・・昔、南アのダイヤ鉱山で盗みを働くとどんな罰があったと思う?殺したりしない、逃げないように足を潰すのよ」 「・・・・・!」 アニーはシェルダンの足の間にマキをあてがった。恐怖に襲われシェルダンが絶叫した。「アニー!止めてくれ!」 アニーはハンマーをシェルダンの足に振り下ろした。足首が折れた。そしてもう片方も・・・。「愛してる・・・」アニーは言った。シェルダンは激痛に失神しそうだった。 バスター保安官は町で見かけたアニーにふと感ずるところがあった。車でアニーの家へやって来た。 それを窓から見たアニーはシェルダンに麻酔注射を打ち、地下室へ運んだ。 バスター保安官がアニーにシェルダンについての質問をする。アニーは差し障り無く答えた。家の中を見て回る。特にめぼしいものがないので帰ろうとした、その時、「ここだ、地下室にいる!」と男の声がした。バスター保安官が戻り、地下室のドアを開けると下に男が横たわっていた。 バスター保安官は見た。「!!シェルダン?」 突然、バスター保安官の胸が背後から撃ち抜かれ、アニーが銃を構えて立っていた。シェルダンは声も出ない。 「・・・こうなる運命なの、啓示よ、私は神に選ばれ、あなたを助けた、永遠に結ばれるためこの世に別れを告げるの、心配しないで、準備はしておいたわ、弾は2発、あなたと私のためよ・・・ダーリン、楽しみだわ」 「・・・たしかに二人は結ばれる運命だ、だが、ミザリーは生き続ける、二人でミザリーに永遠の命を与えよう、本を完成させて・・・」 「時間がないわ、誰かがやって来る」 「もう少しだ、夜明けまでに完成させる」 「・・・」 ミザリーがシェルダンの言葉を受け入れた。車椅子を取りに行った隙に近くにあった点火オイルの缶をポケットにねじ込む。 シェルダンがタイプライターを打つ。そして、『ミザリーの生還』を完成させた。 シェルダンが本を完成させた時には必ず1本だけタバコを吸う。それに高級シャンペンをグラスに一杯飲むのだ。 大ファンであるアニーは勿論それを知っている。アニーはそれを用意した。 「今夜はグラスが二ついる」 シェルダンが言った。 「なんてロマンチックなの!」 アニーはキッチンへグラスを取りに行く。 シェルダンは急ぎ、点火オイルを出すと原稿用紙を床に置き、上から振り掛けた。最終頁を丸めマッチを手に構えた。 戻ったミザリーはそれを見て驚愕しグラスを床に落とした。 「結末が書いてあるぞ!」 マッチに火をつけ原稿の上に。勢い良く燃え上がる原稿にアニーは叫びながら飛びつき消そうとやっきだった。その頭の上にシェルダンはタイプライターを振り下ろす。 それからの死闘は筆舌に尽くしがたい。アニーのピストルがシェルダンの肩を打ち抜き、アニーに襲い掛かったシェルダンの指がアニーの目を潰す。最後にはシェルダンがアイロンでアニーの顔面を強打して終わった。アニーは死んだ。 18ヶ月後、松葉杖のシェルダンはエージェントのマーシャ・シンデル(ローレン・バコール)に会った。 「あの家での体験を本にしない?」マーシャが言った。 「冗談はよせ、小金のために悪夢を引きずるのか?・・・」 その時、料理を運んできたウェイトレスの顔がアニーに見えた。ウェイトレスの手に包丁が・・・。 「・・・今でも時々浮かんでくる・・・あの顔が・・・」 ウェイトレスが微笑み言った。「ポール・シェルダンさんでしょ?貴方の一番のファンなんです」 |
| 映画館主から スティーブン・キング原作の血も凍るようなミステリー映画の傑作。 交通事故にあった作家がある女に助け出され、手厚い看護を受けた、だが、その女の正体は・・・。 凄まじいばかりの怖い演技でその年のアカデミー主演女優賞を獲得したのは、キャシー・ベイツ。まさに鬼気迫るストーカー役でした。 その後、「悪魔のような女」(’96年版)ではシャロン・ストーンを追い詰める女私立探偵を存在感たっぷりに好演しています。 痛ましい作家を演じたのは、ジェームズ・カーン。彼の新人当時の傑作西部劇「エル・ドラド」(’67年、監督:ハワード・ホークス、主演:ジョン・ウェイン)では、若きナイフ投げを演じて強烈な印象を残しました。 その後の大ヒット作、「ゴッドファーザー」では、マーロン・ブランドの長男役で、抗争のはてに蜂の巣にされてしまいました。 そして懐かしいのはエージェントを演ずる、あのローレン・バコール。 故ハンフリー・ボガード夫人で、「脱出」(’44年、監督:ハワード・ホークス、主演:ハンフリー・ボガード)や「三つ数えろ」(’46年、監督:ハワード・ホークス、主演:ハンフリー・ボガード)での若き女豹のような眼差しを思い出させてくれました。 |
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