「汚名」
汚名  1946・米
ケーリー・グランドとイングリッド・バーグマン

製作:デビッド・O・セルズニック
製作:監督:原案:
    アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ベン・ヘクト
撮影:テッド・テツラフ
音楽:ロイ・ウェッブ

出演:ケーリー・グランド
    イングリッド・バーグマン
    クロード・レインズ

   ルイス・カルハーン
    
レオポルダイン・コンスタンティン





























 
物語

1946年・マイアミ。アリシアの父はナチスに協力したとして、反逆罪の判決を受けた。その晩、アリシアはパーティで酒に溺れた。皆が帰った後、パーティに来ていたデブリンをドライブに誘った。破れかぶれのアリシアは目茶な運転をし、パトカーに止められた。しかし、デブリンが身分証明書を見せると、警官はあっさり引き下がったのだ。

デブリンはFBIだった。デブリンはアリシアに、父と関係のあったナチのスパイがいるブラジルで働いてくれるよう依頼した。アリシアは引き受けた。二人はリオデジャネイロへ飛んだ。

そこで、セバスチャンの家で何が行われているか探らなければならない。かって、アリシアはセバスチャンと恋仲だったことがある。翌朝、アリシアは、乗馬の事故を偶然、セバスチャンに発見させる方法で、再会し成功した。

すでに中年を過ぎたセバスチャンだったが、未だに独身で、母親を敬愛していた。セバスチャンは再びアリシアの美しさに惹かれ、ある日、結婚を申し込んだ。すでにデブリンを愛していたアリシアは、デブリンに相談したが、何故かデブリンは冷たかった。アリシアはセバスチャンと結婚した。

結婚後もアリシアのデブリンへの報告は続く。求婚される前のセバスチャンの母親の晩餐会で、客の一人がワインの瓶を見てひどくうろたえた。その場はなんとか収まったが、その客が翌朝、死体で発見された記事をアリシアは読んだ。ワインの瓶が怪しい!アリシアは直感し、デブリンに報告した。

デブリンはアリシアに結婚パーティを開き、自分を招待するよう要求した。その時に酒蔵のワインを調べようというのだ。パーティが開かれ、デブリンも現れた。アリシアはこっそり酒蔵の鍵を抜き取り、デブリンに渡した。

人目を忍んで、酒蔵を調べる二人。酒宴は盛り上がり、ワインも切れてくる。早くしなければ酒が切れて夫は酒蔵の鍵を探すに違いない。酒蔵の中には同じようなワインの瓶がならんでいたが、デブリンが誤って1本の瓶を落とした。黒い粉が飛び散った。上で音がして、人がやって来る。素早く片付けた二人は外へ出た。デブリンはアリシアを抱き、長いキスを続けるのだった。

そこへ、セバスチャンが来た。アリシアは慄いた。デブリンは人妻の誘惑が失敗に終わったふりで帰っていった。アリシアはパーティに戻り、鍵を元へ戻した。しかし、セバスチャンにはすでにばれていたのだ。アリシアはアメリカのスパイに違いない。セバスチャンは母親に相談した。これが解れば仲間に殺される。セバスチャン夫人はアリシアに少しづつ毒を飲ませ、病死に見せかけるよう提案した。

デブリンが持ち帰った粉末を調べると、原子爆弾用のウラニウムであることが解った。あとは、産地を探るしかない。アリシアは体力が消耗していた。ある日、アンダースン博士が遊びに来ていた時、アイモレス山の話が出て、アリシアはウラニウムの産地がそこだと知った。博士が間違えてアリシアのコーヒーを飲もうとした瞬間、
「それは!」・・・・セバスチャンと母は同時に言葉を発し、沈黙した。アリシアにはこの時、自分が殺されかかっていると気づいたのだ。

何日もアリシアからの連絡が無いのを不審に思ったデブリンはセバスチャン邸を訪ねた。セバスチャンは仲間と会議中だったので、デブリンは階上のアリシアの部屋に忍び込んだ。アリシアが衰弱して寝ていた。デブリンは初めてアリシアに愛の告白をした。そして、彼女を抱えて階下へ下りていった。

セバスチャンが会議室から出てきた。「騒ぐと全てを君の仲間に言うぞ!」デブリンは脅した。セバスチャンは仲間の手前、妻を病院へ連れて行くふりをしようとしたが、デブリンはそれを拒み、アリシアを車に乗せ、スタートさせた。

セバスチャンは為すすべが無かった。
「来たまえ!セバスチャン、話がある!」家の中から声があった。とぼとぼ階段を上がって家に入ると、ドアは閉められた。

映画館主から

ヒッチコック映画としては比較的地味な作品ですが、小道具の使い方が上手く、サスペンスを盛り上げています。まず、酒蔵の鍵です。アリシア(バーグマン)が鍵を盗む場面とか、パーティ会場での天井からの俯瞰から、一気にバーグマンの手の中の鍵までカメラが近づく撮影手法はハラハラさせます。
ワインの瓶。この中にウラニウムが隠されているのですが、酒蔵に忍び込んだ二人は、いつパーティ会場のワインが切れて、ワインを取りに来るか気が気ではありません。
更に、毒入りのコーヒーカップ。体が消耗してきたバーグマンが夫の殺意を悟る場面。相当怖いです。

この映画のラストは秀逸です。ケーリー・グランドがバーグマンを救い出すところから、セバスチャン(クロード・レインズ)が仲間に呼ばれ家の中へ入るまで、サスペンスは持続したまま映画は終わります。つまり、セバスチャンはこの後、仲間からの死の制裁を受けるであろうことを感じさせる終わり方です。ピストルの音などさせないおしゃれなラストです。

ヒッチ好みの美男、美女。ケーリー・グランドは「断崖」でヒッチ映画に初登場し、「汚名」、そして後年、「泥棒成金」、「北北西に進路を取れ」と出演しています。ジェイムズ・スチュアートとともに都会的なセンスを感じさせる役者です。
イングリッド・バーグマンはスウェーデン出身です。ヒッチ作品には「白い恐怖」、「汚名」、「山羊座のもとで」と3作品に出演しましたが、彼女の代表作とはいえないでしょう。やはり、「カサブランカ」、「誰が為に鐘は鳴る」、「ガス燈」あたりでしょうか。

クロード・レインズも渋くて好きな俳優です。「カサブランカ」の警察署長なんか最高でした。

          参考文献:「ヒッチコックを読む」 フィルムアート社

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