「ナイアガラ」
ナイアガラ 1953・米
ナイアガラ

製作:脚本:
    チャールズ・ブラケット
監督:ヘンリー・ハサウェイ
脚本:ウォルター・ライシュ
    リチャード・ブリーン
撮影:ジョー・マクドナルド
音楽:ライオネル・ニューマン

出演:ジョゼフ・コットン
    マリリン・モンロー
    ジーン・ピータース
    ケーシー・アダムス

ナイアガラ瀑布の全貌

ナイアガラの滝へ近づく遊覧船

マリリン・モンロー 
  ナイアガラ
物語

ナイアガラの滝。エリー湖から流れたナイアガラ河がオンタリオ湖に注ぐ、全長1キロメートル、高さ50メートルの世界一の巨大な滝。

ナイアガラを見渡せる場所にあるレインボーキャビン。
保養に来ているジョージ・ルーミス(ジョゼフ・コットン)と妻ローズ(マリリン・モンロー)だが、二人は何故か反目しあっている。
そこへ、新婚旅行にやって来た、レイ・カトラー(ケーシー・アダムス)と妻ポリー(ジーン・ピータース)。予約してあった部屋にはまだジョージとローズがいた。
管理人が交渉すると、ローズが出てきて夫の体調が良くないのでもう少し部屋を使わせて欲しいと言った。カトラー夫妻は別の部屋で妥協した。

着飾ったローズが出かける後姿をレイが見とれていると、ポリーはたしなめた。
ナイアガラ瀑布の遊覧船『霧の乙女号』に乗るレイとポリー。雨合羽に身を包むが滝の下は暴風雨のようだ。
滝下のトンネルツアーに参加する二人。レイのカメラで写真を撮ってもらおうとしたポリーが、滝の下の岩陰で抱き合う男女を見た。なんと、女はローズだった。ローズが夫以外の男と密会していたのだ。

夜、若者たちのダンスパーティがあった。ローズが一枚のレコードを持ってきてプレーヤーにかける。ブルースの曲だ。
レイ・カトラー夫妻のそばに来てローズが歌い始める。
「♪ これぞ、スリルのひと時、快感に震えて、しっかり抱いて、私を最高に・・・♪」
部屋のブラインドからその様子を見ていたジョージは、外に飛び出してきてレコード盤を割ってしまった。

ジョージが手に怪我をしたらしいと思い、ポリーはジョージの部屋に行き手の傷の手当てをしてやる。
「女房のスパイだろう。心配いらん」と言いながら、ローズの悪口を言い始めた。「あんな目立つ服を着て、視線の集まるところへ行きたいのさ」
ジョージはローズと結婚してから事業がうまくいかなくなったと荒れた。
夜8時半、ナイアガラの滝がライトアップされた。

ローズが恋人に電話する。「・・・うまくやってね」
ローズがバスの切符を買いに出かける。ジョージが後をつける。売店でローズが恋人に目配せする。

ジョージが行方不明になり、河岸から男の死体が発見された。遺体安置所へ呼ばれたローズは遺体の顔を見て失神した。

ローズの部屋が空き、ポリーが一人ベッドで休んでいると、裏口から忍び込んできた者がいる。「キャー!」男は逃げたが、それは死んだ筈のジョージだった。
そこへレイが帰ってきた。「ジョージが生きてるの」 しかし、レイは夢を見たんだと受けあわない。

ナイアガラの滝の脇を上がる階段で、ポリーはジョージと出くわした。「殺したのね」ポリーが詰め寄ると、「仕方なかった。彼がレンチで殴りかかってきたんだ」
「だったら、警察へ行けば」 「僕は死んだことにしたい、どこかへ行って静かに暮らしたい、協力してくれ」

ナイアガラの鐘の塔が音楽を奏でる。ローズが目を覚まし病院を抜け出る。
密かにシカゴへ向かおうとしたが、塔の下に待っていたのはジョージだった。
塔の階段を上がっていくローズ。追いかけるジョージ。
ローズに追いつくと、「もう、お前の曲は奏でてくれんぞ・・・あんなに愛していたのに・・・」ジョージはローズの首を締めつづけた。

翌日、ローズの死体が発見され、警察が動き始めた。
河岸へ釣りに来ていたレイとポリー。ボートで逃げようとしたジョージは、その時乗り込んできたポリーを乗せたままボートを発進させた。
レイはそれに気付き警察とともに車で追う。

「自首しなさい」ポリーはジョージに言った。「もう、手遅れだ、ローズを殺した」 警察の船が追ってきた。
エンジンの調子がおかしい。燃料が無い。ボートは動きが取れないまま漂流し、本流に入る。急流だ。そのまま行くとナイアガラの滝だった。
水しぶきと戦いながらボートの底を破り沈めようとするジョージ。だが、速い流れには逆らえない。滝の手前に大きな岩が見えてきた。ジョージはポリーをその岩に移らせた。
そして、ジョージを乗せたボートはナイアガラの滝壷に飲まれていった。
大岩の上で助けを求めるポリーに警察のヘリがロープを垂らした。

巨大なナイアガラは何も無かったかのように、相変わらず落ち続けていた。
映画館主から

ヘンリー・ハサウェイ監督は、「死の接吻」(’47年、ビクター・マチュア、リチャード・ウィドマーク)のようなスリラーや、「悪の花園」(’54年、ゲーリー・クーパー主演)、「ネバダ・スミス」(’66年、スティーブ・マックィーン主演)、「勇気ある追跡」(’69年、ジョン・ウェイン主演)などの西部劇で知られますが、彼の大ヒット作はやはりこの「ナイアガラ」でしょう。

スリラー映画としてのストーリーはシンプルです。浮気性の妻が夫の殺害を恋人と企て、逆に夫に殺されてしまうというもの。
世界的な観光名所、ナイアガラ瀑布がドラマの中で有効に使われました。
私も、高校3年生の夏休みにこの滝を見る機会に恵まれ、遊覧船で水浸しになった経験があります。
「ナイアガラ」を見たのは、その後のテレビ放映が最初でした。

体に密着したドレスで歩く、マリリン・モンローのいわゆるモンロー・ウォークを流行らせたことでも本作を有名にしました。
悪女役のマリリン・モンローは本作が初主演です。世界中の男たちのセックスシンボルとして可愛い女を演じつづけ、「荒馬と女」(’61年、ジョン・ヒューストン監督)を最後に’62年、自宅で謎の死体となって発見されました。享年36歳でした。

ラストでナイアガラの滝に落ちて行く夫役のジョゼフ・コットンは、「市民ケーン」(’41年、オーソン・ウェルズ監督・主演)、「第三の男」(’50年、キャロル・リード監督、オーソン・ウェルズ主演)で、常にオーソン・ウェルズの陰になり目立たない地味な存在でした。
’69年には東宝の「緯度0大作戦」にも出演したことがあります。

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