| ニュー・シネマ・パラダイス 1989・伊=仏 |
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![]() 製作:フランコ・クリスタルディ 監督:脚本: ジュゼッペ・トルナトーレ 撮影:ブラスコ・ジュラート 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:フィリップ・ノワレ ジャック・ペラン アニェーゼ・ナーノ サルバトーレ・カシオ マリオ・レオナルディ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 映画監督サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(ジャック・ペラン)は、シチリア島に住む母親からの電話を受けた。アルフレードが死んだという。 サルヴァトーレは過ぎし日のシチリア島での少年時代に思いを馳せる。 シチリア島の村の映画館「パラダイス座」。映写室で映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)がこれから封切る映画の検閲を村の神父から受けている。 キスシーンは御法度で、神父が鐘を鳴らした部分をアルフレードがハサミで切り落としフィルムをつなぐのだ。 映写室を少年トト(サルバトーレ・カシオ)は、カーテンの隙間から顔を出して覗いている。カットされたフィルムが籠にいっぱいある。 「もらっていい?」トトはカットされたフィルムが欲しくて仕方が無い。 「駄目だ!」決まってアルフレードは言う。「ここには来るんじゃない!」 それでもトトは拾い集めたフィルムの断片を家で眺めては、映画での場面を思い出すのだ。トトは映画が大好きな少年だった。 映画館では、キスシーンの手前になると場面が飛んでしまうので客がブーイングをする。「もう、20年もキスシーンを見てないぞ!」 トトはそんな大人たちを見て大笑いする。 チャップリンやジョン・フォード、風とともに去りぬ、ユリシーズ・・・映画が大衆の唯一の娯楽だった時代だ。 買い物に使う金で映画を見てしまったのがばれて映画館の外で待ち伏せた母親にぶたれるトトをアルフレードが助けた。「映画館の中に落ちていた」50リラを母親に差し出す。アルフレードはトトにウィンクした。 映写室に忍び込んだトト。「僕にも教えてよ」 アルフレード「お前にはさせたくない。辛い仕事だ。いつも一人ぽっちだ。同じ映画を100回も見るんだぞ」 アルフレードが用を足している隙に、トトが映写窓を切り替えて逃げる。 ちゃんとフィルムの巻が切り替えてある。「この小僧!見てて覚えやがったな。二度と来るな!」 村の小学校の卒業試験の日。アルフレードはいまだに試験に受かってないのだ。斜め前にいるトトに合図してカンニングする。 翌日からアルフレードはトトに映写技術を教えるようになる。 ある夜、映画がはねた後、アルフレードがサービス精神を発揮して広場の向かいの壁に映画を映した。広場にいた人たちは狂喜してそれを見た。 その時、異変が起きた。フィルムに火がつき映写室が火事になった。アルフレードは顔に火を浴び倒れた。駆けつけたトトはアルフレードの足を引きずり助け出した。 「パラダイス座」が新しく生まれ変わった。トトが火事で失明したアルフレードの代わりに映写技師を務める。 やがて、トトは青年トト(マリオ・レオナルディ)へと成長していく。 好きになった女性エレナとの身を焦がすような恋の日々。相談相手はいつもアルフレードだった。目の見えなくなったアルフレードだが、、常にトトを思いやる助言を与えた。 トトが徴兵でローマに行き、戻った時、アルフレードはトトに言うのだった。 「お前はこの村を出ろ。お前には別の仕事が待ってる。人生はお前の見た映画とは違う。一度出たら、長い年月帰るな」 トトは耳を傾けていた。「長い年月を経て帰郷すれば、友達や懐かしい土地に再会できる」 「誰の台詞?クーパー?フォンダ?」「私の言葉だ。ローマに戻るのだ」 かくしてトトがローマに旅立つ日。アルフレードはトトに言った。「郷愁に惑わされるな。我慢できずに帰ってきても私の家には迎えてやらん。手紙も書くな」 「有難う、世話をかけたね」礼を言うトトにアルフレードは「自分のすることを愛せ」 それがトトが見たアルフレードの最後の姿だった。 シチリア島、ジャンカルドの村へサルヴァトーレ(トト)が30年ぶりに帰って来た。 懐かしい村の風景。年老いた母。自分の部屋には昔のままにアルフレードとの写真が飾られてあった。 アルフレードの葬列。懐かしい顔がある。「パラダイス座」で共に映画を見た連中だ。「トトが立派になって帰ってきた」 サルヴァトーレを見て誰かが言った。 すっかりおばさんになったサルヴァトーレの妹が言った。「アルフレードはあんたの話ばかりしてたわ。あんたが大好きだったのよ。“形見”があるの、帰りに寄ってね」 町の広場には「パラダイス座」が昔のまま建っていたが、6年前に閉館になったのだという。「テレビやビデオのせいですよ」 そんな声が聞こえた。 サルヴァトーレはもうすぐ取り壊しになる「パラダイス座」の中へ入ってみた。風化して残骸となった「パラダイス座」にはアルフレードとの青春の日々の思い出が詰まっているのだった。 ローマに帰って、アルフレードの“形見”を見た。それはカットされたフィルムの断片をつなぎ合わせた一本のフィルムだった。 映写室で一人、それを見た。それは、キスシーンのオンパレードだった。 少年トトが欲しがったフィルムをアルフレードが忘れずに取って置いてくれたのだ。 サルヴァトーレは、様々な男優、女優のラブシーンに30年の時を超えて郷愁に浸るのだった。 |
| 映画館主から 映画が娯楽の殿堂であった古き良き時代をノスタルジックに描いたジュゼッペ・トルナトーレ監督の秀作。 そのとき、33歳の監督の手腕には驚かされます。近年、これほどの郷愁を人々にもたらした映画を私は知りません。 今、中高年の人ほどその感が強いかも知れません。幼少の頃から映画館へ通った私はトトに完全に感情移入して見たものです。 トトを演じる3代の男優もまた良し。中年になったトトを演じるジャック・ペランはデビュー当時、アラン・ドロンの再来といわれたフランスの二枚目です。 しかしなんといっても、アルフレード役のフィリップ・ノワレが最高にいい味を出しています。実は、私の長年の友、T・N君にそっくりなのです。畳屋さんをやってるんですが、職人さんはこういう味のある顔になるんでしょうか。 ラストシーンは思わず涙が出るほどの感動。これは、掛け値なしの名画であります。 ただ、ドラマとはいえ、主人公が30年も家に帰らないとは、大変な親不孝者と言わざるを得ません。年老いた母が田舎でひっそりと暮らしているというのに!!《それをいっちゃー、おしめーよー》寅さんの声が聞こえてきましたので、引っ込みます。 アカデミー外国語映画賞、カンヌ映画祭審査員特別グランプリ受賞作品。 |
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