「邪魔者は殺せ」
邪魔者は殺せ 1947・英
邪魔者は殺せ

監督:キャロル・リード
原作:F・L・グリーン
脚本:F・L・グリーン
    R・C・シェリフ
撮影:ロバート・クラスカー

出演:ジェームズ・メイスン
    キャサリン・ライアン
    ロバート・ニュートン






物語

アイルランドのある都市。秘密結社の首領ジョニー(ジェームズ・メイスン)は、仲間数人と政治運動の資金を強奪する計画を立てていた。
ジョニーは銃器密輸の罪で投獄されていたが、脱獄し、彼を愛するキャサリン(キャサリン・ライアン)の家で半年間匿われていたのだ。

計画通り、工場の金を奪うことに成功したかに見えた。しかし、非常ベルがなり、工場から外へ出たジョニーはめまいを起こした。会計係ともみあいになり、ジョニーは左肩を撃たれた。その時、ジョニーは会計係を撃ち殺してしまったのだ。
車に半身乗り入れたまま逃走。カーブでジョニーは車から転落する。仲間は車をバックして助けようとするが、ジョニーが立ち上がり横丁に逃げるのを見てそのまま逃走した。

ジョニーは路地裏の防空壕に身を隠す。左肩から血が流れ、ジョニーの意識は朦朧としていた。やがて、入口から誰かが入って来た。男と女の逢引の場所だった。。そして、薄暗い中にジョニーを認めると、「手配中のジョニーだ」と叫ぶ。

一方、仲間の一人がジョニーを探し回っていた。そして防空壕の中のジョニーを見つけたが、辺りには警官隊が迫っていた。仲間が警官隊の気をそらせている間にジョニーは逃げた。仲間は捕らえられた。

折りしも夜の町に雨が降っていた。ふらふらのジョニーはある家庭に助けられるが、迷惑が掛かるのを知り再び外へ出て彷徨う。
馬車の御者の計らいで郊外の小屋へ逃げ延びる。それを見ていた愛鳥家の男が町の司祭の家へ知らせた。そこへジョニーを探しにキャサリンが来合せた。
キャサリンたちが小屋へ行くと、ジョニーはいなかった。

いつしか雨は雪に変わった。重傷のジョニーが町を彷徨う。
愛鳥家と同じアパートに住む画家ルーキー(ロバート・ニュートン)は偏執的なところがある。
ジョニーのことを知ったルーキーは叫んだ。「ジョニーをここへ運べ!彼の目には、今まで誰も描けなかった光がある」
そして、愛鳥家、画家のルーキーは酒場でジョニーを見つけ出した。
彼らはアパートへジョニーを連れ帰った。同じアパートの住人の医者くずれが治療する。ルーキーは狂ったようにジョニーを描くのだった。

愛鳥家は、偏執狂のルーキーから隙を見てジョニーを連れ出す。キャサリンは雪の中をジョニーを捜し歩いていた。
愛鳥家が弱ったジョニーを救うため、ジョニーを残し司祭のもとへ走った。
その頃、キャサリンはとうとう、彷徨うジョニーと再会した。二人は雪の中でひしと抱き合った。

キャサリンはジョニーを逃がす為、今夜出航する船に渡りをつけてあった。時間が迫っていた。息も絶え絶えのジョニーを抱きかかえるようにしてキャサリンは歩く。
波止場に来た時、すでに警官隊が彼らに迫っていた。もはやこれまで、観念したキャサリンは警官隊に向けピストルを発射した。

近くまで駆けつけた愛鳥家と司祭にの耳に続けざまに銃声が響いた。彼らが波止場で見たものは降り続く雪の中で折り重なるようにして死んでいるジョニーとキャサリンであった。

映画館主から

キャロル・リードといえば「第三の男」ですが、その2年前にこの「邪魔者は殺せ」を発表して彼の名声を決定的にしました。

ジェームズ・メイスンの革命家のリーダーが工場を襲って金を奪い、傷つきながら逃げるシーンが延々と続く、現代人が見れば退屈な映画と言われるでしょうが、リード演出のモノクロの画面は光と影の芸術の粋であり、ため息が出るほどの出来栄えです。

これをもっとスリリングに発展させたのが’49年の「第三の男」といえます。
ともに撮影はロバート・クラスカーでした。
’48年の「落ちた偶像」を加えた3本の原作・脚本をミステリー作家グレアム・グリーンが担当しています。

ジェームズ・メイスンは英国生まれの品格を感じさせる俳優で、本作のほかに’54年「海底二万哩」、’59年「北北西に進路を取れ」などがあります。
ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」のスパイ団の首領も彼ならではの味があって印象に残っています。

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