「裏窓」
裏窓 1954・米
裏窓

製作:監督:
  アルフレッド・ヒッチコック
原作:コーネル・ウールリッチ
脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影:ロバート・バークス
音楽:フランツ・ワックスマン

出演・ジェームス・
スチュアート
    グレイス・ケリー
    レイモンド・バー




ジェームズ・スチュアートとグレース・ケリー
物語

ここはニューヨーク。芸術家が好んで住む街、グリニッチ・ヴィレッジのアパートの二階。
カメラマンのジェフ(ジェームス・スチュアート)は、カーレースの取材で事故に合い、左足を骨折、ギブスをはめられ車椅子の生活だ。アパートは中庭を囲んで4棟建っている。ジェフは退屈しのぎに、アパートの住人を観察するのが日課になっていた。

ポピュラー音楽の作曲家、テラスで寝る中年夫婦、バレリーナの卵、耳の遠い女性彫刻家、病床の妻と大男、新婚らしいカップル、オールド・ミスの女性・・・。 ジェフは望遠レンズを通して、これらの人生を覗いて悦にいっていた。
「覗き見は、ニューヨーク州では6ヶ月の重労働よ」と、毎日派遣されて来る中年看護婦のステラはジェフに忠告していた。ジェフの足をマッサージしながら、リザ(グレイス・ケリー)との結婚を勧める。リザはジェフの恋人でファッションモデルだ。

そんなある日、日頃喧嘩の絶えない病床の妻と大男の家に気になる出来事が・・・。
深夜、大男がトランクを重そうにかかえ、路地裏に出ていった。しばらくして再び戻った彼は又、トランクをかかえて外出した。こんな夜更けに何をしているのだろうか?

翌朝、ステラにマッサージを受けながら、ジェフが昨夜の大男の奇怪な行動を話していると、大男が窓から周りの様子を窺っていた。中庭にある彼の専用花壇で犬がしきりに臭いをかいでいる。
ジェフは倍率の高い望遠レンズで大男の部屋を覗くと、彼は大きな肉きり包丁とノコギリを新聞紙に包んでいるではないか!

その夜、リザがやって来た。ジェフは大男の話をしたが、リザは取り合わない。何故、夜中に3度も外出したのか?あのトランクの中身は?肉きり包丁と、ノコギリは?・・・もしかしたら、奥さんを殺したのでは?

深夜、リザから電話があり、大男の名はソーウォルドで、貴金属のセールスマンをやっていると知らせてきた。
ジェフは戦友だったドイル刑事に事情を話した。ドイルの調べでは、ソーウォルドの妻は昨日から療養に出かけたという。ソーウォルドを観察すると、彼は妻のハンドバックから貴金属などを取り出していた。
リザは言った。女は外出する時、宝石類は置いていかない、と。

夜、花壇で犬が殺されていた。犬はソーウォルドが花壇に埋めた物を掘り返そうとして殺されたのでは?翌日、ソーウォルドの留守中リザとステラは花壇を掘ったが何も出てこない。すると、リザは非常梯子を上り、ソーウォルドの部屋へ忍び込んだ。証拠品の指輪を盗み出そうという訳だ。そこへ、ソーウォルドが帰ってきた。逃げようとしたリザはソーウォルドともめあいになった。ステラの電話で、警官がやって来て、リザは連行されて行く。そのとき、リザがソーウォルドの妻の指輪をはめた手をジェフに向かって示したため、ソーウォルドはジェフの存在に気がついた。

ジェフはステラにリザを連行した警官に事情を話すよう送り出した。すると、ドイルから電話が入り、本格的に乗り出すと言って来た。電話を切った時、ソーウォルドの部屋の電気が消えていた。又。電話のベル。ジェフはドイルの電話と思い、ソーウォルドは出かけたと言ってしまった。応答が無い。

ジェフはドアの鍵を掛けようとするが、車椅子がうまく動かない。廊下に足音がする。ついに、ソーウォルドが部屋に入ってきた。とっさに、ジェフは写真のフラッシュをたいた。2度。3度・・ソーウォルドがたじろぐ。
ソーウォルドの部屋にリザや警官が入ったのが見えたが、こちらには気がつかない。逆上したソーウォルドがジェフに襲い掛かる。ジェフが窓から落とされそうになった。その時、警官が駆けつけ、ソーウォルドを押さえつけたが、ジェフは力尽き、落下してしまった。

事件が片付き、車椅子にうたた寝しているジェフの両足にギブスがはめられているのだった。その脇で、退屈そうにリザが雑誌を読んでいた。

映画館主から

原作者コーネル・ウールリッチはウィリアム・アイリッシュの別名でも知られます。ヒッチコックは例によって、原作重視ではなく、映画的に設定を変えています。主人公を報道カメラマン(原作では、スポーツマンタイプの男となっている)にしたことは、“覗き見”という、この映画の主題にピッタリはまります。
足を骨折していて、動けないという、ジレンマもサスペンスを増加させ、ラストでは犯人に二階から落とされるという意外な展開になります。しかし、結果はギブスが両足にはめられているという、ユーモラスで締めくくっています。
しかし、考えてみると、殺しの場面が有る訳でなし、死体が出た訳でなし、本当に殺人事件が起きたのかは謎のままです。ジェフの単なる推察に過ぎないのです。少なくとも映画の中では明らかになっていません。映画が終わってから、警察が、あるいはドイル刑事が追求するのでしょう。

カメラが素晴らしく、冒頭から、アパートの住人の生活をパンで流し、都会の中の人々の喜びや、孤独を見せます。あくまでも主人公の目を通してですが。断片的に見せる個々の生活が、ちょっとしたオムニバス風になっているのも、この映画の見所です。

悪役、ソーウォルドを演じたのは、TV「ペリー・メイスン」シリーズのレイモンド・バーでした。
ヒッチコックお気に入りの、ジェームス・スチュアートと、グレイス・ケリーの共演も豪華で、オシャレでした。

   参考文献:「ヒッチコックを読む」 フィルムアート社

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