| レベッカ 1940・米 | |
![]() 製作:デビッド・O・セルズニック 監督:アルフレッド・ヒッチコック 原作:ダフネ・デュ・モーリア 脚本:ロバート・E・シャーウッド 撮影:ジョージ・バーンズ 音楽:フランツ・ワクスマン 出演:ローレンス・オリビエ ジョーン・フォンティーン ジョージ・サンダース ジュディス・アンダースン |
物語 モンテカルロに来ていたイギリス娘キャロラインは、断崖に立つ男に声をかけた。どこか思いつめたところのある若い紳士はマキシム・デ・ウィンター。最近、最愛の妻レベッカを亡くしたばかりだった。 二人は急速に親しくなった。帰国しなければならなくなったキャロラインがそれを告げるとマキシムはその場で結婚を申し込んだのだ。 あまりに急な話に不安なキャロラインだが、結婚の登記を済ませ、二人はマンダレーに向かった。うっそうと繁る森を抜けると、雨の中に壮大な館が現れた。慇懃な使用人たち。そしてダンヴァーズ夫人。ダンヴァーズ夫人は先妻のレベッカとともにこの館に来て、今ではこの家の一切を取り仕切っていたが、どことなく不気味で冷たく、キャロラインは馴染めなかった。 マキシムが外出した時、屋敷の中を見て周るキャロライン。レベッカの“R”のイニシャルが目に付く。サイン、住所録、布の縫い付け・・・。回廊に掛けられたレベッカの肖像画。この館にはまだ、レベッカの気配が残っていた。 入江の小屋に不気味な男がいた。小屋の中には“R”の縫いとりのある刺繍があった。男は言った。この小屋にはレベッカの溺れた小船が置いてあったこと。死体はマキシムが検証したらしい。 ダンヴァーズ夫人のところへファベルという男が出入りしている。彼はレベッカのいとこと称しているがマキシムとは仲が悪い。なにやら密談をしてっそそくさと帰っていく。 仮装舞踏会の日、ダンヴァーズ夫人の奨めで、レベッカの肖像画の衣裳でキャロラインがマキシムの前に現れると、マキシムは血相を変えて怒り出した。階上の部屋で消沈していたキャロラインにダンヴァーズ夫人が近づいてきた。「あの奥様に勝つことはできません。貴方はお疲れです・・。旦那様は貴方を必要としていません・・・・。生きていても無駄でしょう・・・。下を見なさい。わけはないのですよ。飛び降りなさい、さあ・・・怖がらないで。」 キャロラインが窓から身を乗り出した、その時、遠くで人々の騒ぐ声が聞こえた。 船が難破し、その捜索中に別の小船が引き上げられた。そして、中にはレベッカの死体が・・・。するとマキシムが検証した死体とは・・・? マキシムはキャロラインに全てを告白した。じつは彼はレベッカを憎んでいた。レベッカはうわべはこの上ない美貌、教養、知性の持ち主だったが、裏では次々と姦通を重ねており、ファベルもその一人だった。ある日、入江の小屋でレベッカから妊娠を知らされたマキシムが動転して殴った拍子に彼女は頭を打って死んでしまった。そこでマキシムは死体を船に乗せ、船底に穴を開け、溺死を偽装したと言う。 検死法廷が開かれた。自殺か他殺かが議論になった。ファベルがマキシムにレベッカが死の直前に書いた手紙を見せ、自殺するような文面ではないと、ゆすり始めた。 一行はレベッカのかかり付けの医師から意外な事実を聞く。レベッカは妊娠ではなく、実は末期のガンだったのだ。あの日宣告されたレベッカは自殺するためマキシムに仕向けた罠だった。マキシムの容疑は晴れた。 マンダレーに帰ると森の向こうが明るくなっていた。館が燃えている。ファベルからマキシム無罪の知らせを受けたダンヴァーズ夫人が館に火を放ったのだ。マキシムとキャロラインは固く抱き合った。ダンヴァーズ夫人がレベッカの部屋で炎に包まれていた。“R”の縫い取りが燃えていく・・・・。館に漂っていたレベッカの影を消し去ろうとするかのように・・・・・・。 |
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映画館主から ヒッチコック渡米第一作目の作品です。この作品で、アカデミー作品賞を受賞し、華々しいアメリカデビューを果たしました。 「昨夜、私はマンダレーへ行った夢を見た。・・・・」という原作と同じキャロラインのモノローグで映画は始まり、全編が回想になっています。大邸宅の持ち主と結婚したキャロラインの心理的不安と恐怖をヒッチコック一流の演出で描きました。ヒッチの手にかかると、カーテンが揺れただけで死ぬほど怖いのは何故でしょう。 ダンヴァーズ夫人を演ずるジュディス・アンダースンの怖いこと。キャロラインに自殺を迫る時の演技は鬼気迫るものがありました。館そのものが巨大で、いまにも幽霊が出てきそうな雰囲気なのに、ダンヴァーズ夫人は何時の間にかそこに立っているという感じで、非常に怖く脳裏に焼きつきます。この、レベッカを心から信奉し、死後もその余韻を引きずっている夫人は、レベッカの死の真相を知り、絶望の余り、館に火を放ち、自らも死んでいきます。ダンヴァーズ夫人がこの映画の主役といっても過言ではありません。 ラスト、“R”の刺繍が炎に包まれていくシーンは「市民ケーン」のラストとそっくりですが、「市民ケーン」ほどの深い意味は無く、映像的な締めくくりとして表現したのでしょう。 アカデミー作品賞、撮影賞受賞作品です。 |
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