「赤い河」
赤い河 1948・米
ジョン・ウェインとモンゴメリー・クリフト

製作:チャールズ・K・フェルドマン
製作:監督:
    ハワード・ホークス
原作:脚本:
    ボーデン・チェイス
脚本:チャールズ・シュニー
撮影:ラッセル・ハーラン
音楽:ディミトリ・ティオムキン

出演:ジョン・ウェイン
    モンゴメリー・クリフト
    ウォルター・ブレナン
    ジョン・アイアランド
    ジョーン・ドルー








物語

南北戦争直後の1851年。セントルイスからの幌馬車隊がテキサス州に差し掛かったとき、同行したダンソン(ジョン・ウェイン)は南方に絶好の牧畜場に向いた土地があると知り、親友グルート(ウォルター・ブレナン)と南に向かった。

彼等がレッド・リバーに着いた頃、振り返ると彼方に煙が上がっていた。幌馬車隊がアパッチの襲撃を受けたのだ。助けに行くには遠すぎた。ダンソンは恋人を幌馬車隊に残してきたのだ。
やがて、ただ一人逃げ延びた少年マットがたどり着いた。3人は南に向かう。

長い旅の末、リオ・グランデ近くに素晴らしい土地を見つけた。3人は一つがいの牛から牧畜を開始した。
14年後、ダンソンの牛は一万頭になっていた。逞しく成長した青年マット(モンゴメリー・クリフト)がいた。ダンソンはマットを養子にしていた。
「俺の牛に烙印を押せ!」ダンソンは叫んだ。烙印はレッド・リバーの河のマークの横にDの文字だ。

ダンソンは一万頭の牛を牛肉需要のあるミズーリへ運ぶ大胆な計画を立てた。多くの牧童が雇われた。その際、必ずミズーリまで行くと男たちに署名させた。
銃の使い手チェリーが加わった。空き缶をチェリーとマットが撃ち合う。いい勝負だ。グルートは言った。「いつか二人は撃ち合いになる」

牛の大移動が始まった。一万頭の牛の大群である。

2週間で260kmも進んだが、馬は故障し怪我人もでた。しかしダンソンは強引に皆を進ませるのだった。
野営した夜。不気味なコヨーテの鳴き声。日頃から馬車の砂糖を盗み舐めしていたケネリーが砂糖を舐めようとして皿を崩してしまった。その音に驚いた牛は暴走を始めた。一万頭の牛の大暴走。
ダンソン達は牛を追い、谷間に追い込んだ。多くの牛が死んだ。ダンソンはケネリーの不手際を責め銃で撃ったが、命は取らなかった。

皆、疲れていた。南へ行くという者が3人現れた。「ミズーリへ行くと約束した筈だ。守ってもらうぞ」とダンソン。不穏な空気が流れた。グルートが馬車の上からライフルをダンソンに投げた。瞬間、3人は倒れていた。

さらに、数人の脱走者が出た。チェリーに追わせるダンソン。ダンソンは執念の塊だった。
レッド・リバーを渡る牛の大群。4時間かけて九千頭あまりの牛が渡り終えた。
翌朝、チェリーが逃亡者2人を連れて戻った。「縛り首にする」と、ダンソンが言った時、マットが立ち上がった。「俺がさせない!」ダンソンの顔色が変わった。ダンソンが銃を取ろうとした。チェリーが弾き飛ばした。
マット「これからは、俺が隊長になる。ミズーリではなく、アビリーンに行く」 全員がマットに従った。親友の筈のグルートまで。
ダンソンはマットに言った。「いつかお前を殺してやる・・・」

マットの一行はアビリーンへ向かった。アビリーンには鉄道が来ているとの噂だ。しかし、いつダンソンが追って来るか怯えながらの旅だった。
途中、コマンチに襲撃されている幌馬車隊があった。マット達はインディアンを蹴散らした。

隊の中に勝気な女、ミレー(ジョン・ドルー)がいた。彼女はマットに惹かれた。
マット達が去った後、ダンソンが仲間を集めて幌馬車隊に来た。ミレーはダンソンがひと目で判った。マットから話を聞いていたからだ。

マット達がアビリーンに近づいた頃、鉄道があった!彼等はアビリーンに着いたのだ。牛の大群が町に入って来た。町の大歓迎を受け、牛の値段は予想の10倍の高値で契約されたのだった。
マットが宿に戻るとミレーがいた。「ダンソンが来てるわ。殺す気よ」

翌朝、緊迫した空気の中、待ち受けるマットに向かって一人で歩いてくるダンソン。チェリーがダンソンに銃を向けた。チェリーが倒れた。しかし、ダンソンも脇腹を撃たれた。それでもダンソンはマットに向かって来た。ダンソンが銃を撃った。マットの足元の砂が弾ける。マットは銃を抜かなかった。ダンソンは銃を放り投げ、マットを殴った。「腰抜けめ!」2度、3度、マットが吹っ飛ぶ。だが、次の瞬間、マットの鉄拳がダンソンを襲った。猛烈な親子の殴り合い。「これを待ってたんだ!」グルートは高みの見物だ。

突然、銃声がした。ミレーが銃を持って立っていた。「二人とも何よ!心配して馬鹿みたわ!こうなったら気が済むまで殴り合えばいいのよ!お互い愛し合ってるのよ!」 フンと立ち去るミレーに二人はあっけに取られた。「あの女を嫁にしろ」とダンソン。「まだ、命令するのか?」と、マット。「もう一つ、言うことがある。これから牛の烙印はこうする」ダンソンが地面に書いた。レッド・リバーのマークの左にD,右にMだ。「お前の働きだ」頑固な父は息子を称えたのである。
映画館主から

男のドラマ作りに定評のあるハワード・ホークス監督の初の西部劇。

男と男が信頼しあって仕事を成し遂げる、胸のすくような力に溢れています。ウォルター・ブレナンが丸腰のジョン・ウェインにライフルを投げ危機を脱するシーンは、そっくり同監督の「リオ・ブラボー」でも再現されていました。ウォルター・ブレナンのオトボケぶりも「リオ・ブラボー」で更に強化されました。しかし、「赤い河」の詩情はジョン・フォードに勝るとも劣らないものがあります。

大平原の牛の大群。その牛の大暴走。インディアンの襲撃。西部の男と女の恋。そして、何よりも男と男の友情と絆。西部劇の要素が盛りだくさん。“牛”はこの映画の主役といって過言ではないほどです。

ジョン・ウェインはこの後、「ハタリ!」’62、「エルドラド」’67、「リオ・ロボ」’70でもホークスの作品で主演しています。
モンゴメリー・クリフトは本作が映画デビュー。反骨の個性は「女相続人」「陽のあたる場所」「終着駅」「去年の夏突然に」「地上より永遠に」などで注目されながら、46の若さで心臓麻痺で亡くなっています。

ラストのジョン・ウェインとモンゴメリー・クリフトの壮絶な殴り合いと、和解。THE END マークで、晴れ晴れとした気分で映画館を出た高校生時代を思い出します。

  参考文献:「アメリカ映画作品全集」 キネマ旬報社

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