「ローマの休日」
ローマの休日 1953・米
スクーターでローマの街を走るアン王女

製作:監督:
    ウイリアム・ワイラー
原作:アイアン・M・ハンター
撮影:フランク・F・プレナー
音楽:ジョルジュ・オーリック

出演:オードリー・ヘップバーン
    グレゴリー・ペック
    エディ・アルバート
    ハートリー・パワー
    パオロ・カルリニ
    

オードリー・ヘップバーン

ヘップバーンとグレゴリー・ペック

「真実の口」の前の二人

物語

ヨーロッパのある小国のアン王女(オードリー・ヘップバーン)は、、ヨーロッパ歴訪の途にあった。
ロンドン、アムステルダム、パリ、そして、ローマへ。ローマでのパーティでは、アンはいささかうんざりした。決まりきった外交辞令に自分を合わせなければならないのだ。

その夜、興奮して寝つかれないアンは、医者から鎮静剤を打たれた。何やら楽しげな外の様子に、アンは寝室を抜け出た。
街の中心のスペイン広場をぶらついてもアン王女に気付く者は誰もいない。やがて、薬が効いてきて、アンは道端のベンチで横になった。そこへ通りかかったのは、アメリカの新聞記者ジョー・ブラドリー(グレゴリー・ペック)だった。

若い女性が道端で寝ているのを見過ごす訳にいかず、ジョーはアンを自分のアパートへ連れ帰った。アンは正体もなく寝てしまった。
その頃、大使館では、アン王女失踪でテンヤワンヤの大騒ぎ。

翌日はアン王女の記者会見がある予定だったが、ジョーは寝過ごしてしまった。女はまだ眠っている。昼過ぎに新聞社へ出社したジョーは編集長にさんざん嫌味を言われた。「今ごろまで何をしていた」「アン王女の記者会見を済ませてきました」編集長「・・・・?」 ジョーは、編集長の差し出した朝刊を見た。そこには、「アン王女、急病にて・・・・」とアンの顔入りのトップ記事があった。

はたして、新聞のアン王女の顔はアパートに昨夜寝かせた女と瓜二つではないか!ジョーは、編集長に掛け合った。「王女のトクダネはいくら?」 「まあ、個人的なプライバシー、写真入りなら5000ドルだ」ジョーは請合った。
ジョーはアパートの管理人に電話した。「俺の部屋を見張っていてくれ、誰も出入りさせるな!」

部屋ではアンがまだ眠っていた。ジョーは新聞の写真と見比べた。アン王女に間違いない。やがて、目覚めたアンは、ジョーに別れを告げアパートを出て行く。ジョーはさりげなくその後を追った。
アンは、ローマの町を珍しげに楽しんだ。理髪店でサッパリとショートカットに変身したアン。その時、美容師はアンを遊覧船のダンスパーティに誘った。ジョーがアンに再会するふりをした。アンはもう一日、ローマ見物をすることにした。

カフェでお茶を飲んでいる所へ、同僚のカメラマン、アービー(エディ・アルバート)が来た。ジョーはアービーに耳打ちした。「金を稼ぐ気は無いか」 アービー「・・・!?」

アンは初めての自由な行動に有頂天。ローマの町をスクーターで乗り回す。ローマの警察官に追いかけられる。「真実の口」の像の前でジョーにからかわれ叫ぶアン。「嘘つきは手を噛まれるんだ」とジョー。アンは「真実の口」に恐る恐る手を・・・。次にジョーが・・・その瞬間、ジョーの手が、「ウワー!!」アンは慌てふためく。ジョーのジョークだった。その間、アービーはカメラにことごとく納めた。アン王女の飛び切りのトクダネだ。

その頃、大使館では、十数名の密偵を呼び寄せ、アン王女の捜索に当たらせていた。
河べりの遊覧船でダンスパーティに興ずるアン。密偵たちがやって来た。「・・・王女様、お帰りください・・・」「・・・!人違いよ」 アンを連れ去ろうとする密偵たちと大乱闘になる。ジョーが、アービーが、美容師が暴れまくる。アンはフライパンで密偵の頭をぶん殴る。アービーのカメラは瞬間を捕らえた。
遊覧船から落ちたジョーを追ってアンも河に飛び降りた。岸辺にたどり着いた二人には、何時の間にか恋が芽生えていた。熱い接吻をかわす。しかし、二人はお互い、成就せぬ恋であることを知っていた。

ジョーのアパートで、アンはラジオ放送を聞く。「・・・アン王女の重態説の続報はまだありませんが、・・・ただ、国民の間に危機感が高まっています・・・」
アンは言った。「もう、行かなきゃ・・」 ジョー「・・・話があるんだ」「言わないで・・・」 二人は抱き合った。
アンが帰った後、ジョーはトクダネ用のメモを引き裂いた。もう、そんな気分にはなれないのだった。

数日後、アン王女の記者会見があった。アン王女登場。「報道関係の皆さんです」 アンは全員の顔を見ていった。・・・ジョーがいた。「・・・!?」 アンはその時、すべてを悟った。
各社の記者から質問が飛んだ。「印象に残った場所は?」アンは答えた。「ローマです。今回の訪問は永遠の思い出となるでしょう・・・」
そして、各社の記者と握手を交わすアン。アービーは「記念に・・・」と、封筒に入った写真をアンに手渡した。アンが覗くとフライパンで密偵を殴る自分が写っていた。そして、ジョーともさりげなく、無言で握手を交わすのだった。
映画館主から

オードリー・ヘップバーンは、この初の主演映画によって一躍大スターになりました。そのオードリーの素材を見出したのは監督のウイリアム・ワイラー。
本作はワイラーにしては珍しいロマンチックコメディです。ワイラーは同じローマを舞台に「ベン・ハー」という史劇大作を発表しています。コメディと史劇。何という変化。
ウイリアム・ワイラーは発表する作品の幅のジャンルの広さに驚きます。そして、どれもダントツの格調を誇ります。

「嵐が丘」’39、「我等の生涯の最良の年」’46、「女相続人」’49、「探偵物語」’51、「必死の逃亡者」’55、「大いなる西部」’58、「ベン・ハー」’59、「噂の二人」’62、「コレクター」’65、「おしゃれ泥棒」’66・・・などなど。

そういえばワイラーは、ヘップバーンを「噂の二人」と「おしゃれ泥棒」でも起用していましたね。

この作品は、某国の王女の気まぐれな行動に、トクダネにありつこうと飛びついた新聞記者を描いたコメディですが、ヘップバーンの可愛らしいすがすがしさと、ローマの名所観光的要素が加わってハッピーな気分にさせてくれたものでした。

私が小学生の時、仲良しの友達と松本市の映画館に裏口から侵入した時、上映していた映画が「ローマの休日」だと知ったのは、相当後の話です。私は、グレゴリー・ペックがヘップバーンをアパートへ連れてくる場面を覚えていたのです。


アカデミー主演女優賞、脚本賞、衣裳デザイン賞受賞作品。

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