「シャイニング」
シャイニング 1980・米


製作総指揮:ヤン・ハーラン
製作:監督:
    スタンリー・キューブリック
原作:スティーブン・キング
脚本:ディアン・ジョンスン
撮影:ジョン・オルコット
音楽:べラ・バートック

出演:ジャック・ニコルソン
    シェリー・デュバル
    ダニー・ロイド
    
スキャットマン・クローザース


ジャック・トランス一家


広いロビーでタイプを打つジャック



ダニー

ハロラン




迷路でダニーを追うジャック
物語

紅葉に色づいたロッキー山脈の山あいの道を1台の車が走っていた。
作家のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は、冬の間だけ閉ざされる雪深いコロラドの山の中のホテル“オーバー・ルック”の管理人を依頼され、説明を受けにいくところだった。
その頃、家では一人息子のダニーは、心の中で“トニー”と話していた。“トニー”はダニーにしか解らない友達だ。「山のホテルになんて行きたくない、“トニー”が行っちゃだめって言ってるよ」
ダニーの目にエレベーターの扉を破って血の濁流が襲いかかった。そして、そこにたたずむ双子の少女。ダニーは怯えていた。

ホテルの支配人は「一応、耳に入れておきますが・・・」と前置きし、ジャックの前任者の悲惨な最期を語った。「チャールズ・グレディという管理人でしたが、妻と二人の娘を斧で殺し、自分は猟銃自殺しちまいましてね・・・」 不気味な話だが、ジャックは別段気にしなかった。

雪に閉ざされたホテル“オーバー・ルック”でジャックと妻ウェンディ、ダニーの3人の生活が始まる。引継ぎの日、ホテルの従業員、初老の黒人ハロランは、“うちのおばあさんとわしは、口を使わないで話ができた。君もできるね”とダニーに言った。ダニーとハロランはシャイニング(ひらめき・超能力者)だった。
“237号室には何があるの?”とダニーが聞いたがハロランは“近づかないように”と言うだけだった。

執筆活動にはもってこいの静かな環境。邪魔な客も来ない。ジャックは期待に胸を膨らませた。
ダニーは広いホテルの絨毯の廊下を三輪車で走り回る。ウェンディもここの生活になれてきた。しかし、息子のダニーが何かに怯えているのは気にかかる。

だが、次第にジャックの心に苛立ちがつのっていった。書こうと思っても仕事が進まない。妻はそれを理解しない。息子は言うことを聞かない。
そんな時、ジャックは一人の男に出会った。前の管理人、チャールズ・グレディと名乗った男は言う。「あなたの言うことを聞かないのなら、叩きなおしてやらなきゃ。私はやりましたよ、妻と二人の娘を矯正したんです」

ダニーの目にエレベーターの扉を突き破って血の津波が襲い掛かる。廊下に少女が二人、血だらけで横たわっているのが見える。
 
ジャックは237号室で美女の姿をした魑魅魍魎に出会い、心底からショックを受ける。その瞬間、ダニーは恐怖に震えていた。
ロビーから懐かしい音楽が聞こえてきた。ジャックは誘われるように入って行くと、大勢の人々が宴の最中だった。カウンターに腰をかけ、バーテンに酒を注文するジャック。グレディが「矯正はしましたか?」とたずねる。

ダニーは“シャイニング”でハロランに交信した。ハロランはホテルでの異変を感じ取った。

広いロビーで一人、無心にタイプを打つジャック。

ウェンディがジャックのいない時、そのタイプの原稿を覗いた。見る見るウェンディの顔色から血が引いた。おびただしい原稿用紙が・・・・・・
   All Work and No play Makes Jack A Dull Boy・・・・・・
       (仕事ばかりでは人は駄目になる)
全部、同じ文章で埋められたタイプの山。夫は狂っている・・・・。 ジャックが背後にいた。
ウェンディとダニーはホテルの中を逃げ回る。斧を持ったジャックが追ってくる。ジャックは今や、夫でも父でも無い、魑魅魍魎に取り憑かれた怪物と化していた。
その頃、ハロランは雪上車でホテルへたどり着いた。ホテルに入り、皆の名前を呼ぶ。いきなり、ジャックの斧が襲い掛かり、ハロランは即死する。

ウェンディはダニーをホテルの外へ逃がした。気づいたジャックが追う。ダニーは生垣の迷路の中に逃げ込んだ。斧を持った怪物が執拗に追いかける。賢いダニーは“雪の足跡”に気づき、途中で足跡を逆に後退して、横道にそれた。追ってきたジャックは足跡が途絶えて追えなくなる。

迷路から脱出したダニーは、ウェンディの運転するハロランの雪上車に乗り山を下るのだった。

ジャックはそのまま、迷路の中で凍死した。しかし、ホテルに飾られた一枚の写真、それは1921年7月4日の独立記念祭の夜会の記念写真の中で最前列にジャックの笑顔があった。
映画館主から

スティーブン・キング原作の「シャイニング」の映画化。スタンリー・キューブリックの傑作恐怖映画です。
コロラド山中のホテルは、20世紀初頭に建てられ、かって、インディアンの墓地だったという設定です。

現代人の孤独を暗示するかのような、この映画のテーマの中での白眉は、作家ジャックのタイプ原稿。おびただしい原稿用紙・・・・・
        All Work and No play Makes Jack A Dull Boy・・・・・・
           (仕事ばかりでは人は駄目になる)
我々もこの場面ではぞっとします。まさに、仕事のやりすぎ、過労死などが問題になる現代では、なおさらのことです。

カメラワークは凝っています。ダニーがホテルの廊下を三輪車で走り回るシーン。ローアングルのカメラアイはこの映画で新開発のステディカムという方式を使いました。(画面がぶれないカメラ用のショックアブソーバー)
ラストの迷路での追跡シーンでも威力を発揮。しかし、ダニーがこちらに向かって逃げて来る移動撮影シーンでは???が。まっさらな雪に足跡が無い!カメラマンの足跡はどうなってるの?・・・多分、クレーンによる移動撮影なのでしょう。 うまい!と、うなってしまいました。

ジャック・ニコルソンは次第に狂っていく演技のため、精神科医の指導を受け、あの醜悪な形相に変貌しました。それにしても適役でした。

    参考文献:「ザ・スタンリー・キューブリック」 キネマ旬報社

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