| 駅馬車 1939・米 | |
![]() 製作:ウォルター・ウェンジャー 監督:ジョン・フォード 原作:アーネスト・ヘイコックス 脚本:ダドリー・ニコルズ 撮影:バート・グレノン レイ・ビンガー 音楽:ボリス・モロス リチャード・ヘイジマン フランク・ハーリング ルイス・グルンベルグ 出演:ジョン・ウェイン トーマス・ミッチェル クレア・トレバー ルイズ・ブラッド ジョン・キャラダイン ドナルド・ミーク ジョージ・バンクラフト アンディ・ディヴァイン バートン・チャーチル |
物語 時は1885年、アリゾナのトント。ニューメキシコのローズバーグまでの駅馬車に、様々な人生を背負った人々が集まった。 守備隊の夫を訪ねる若妻ルーシー、賭博師ハットフィールド、酒の行商人ピーコック、飲兵衛の医師ドク・ブーン、商売女ダラス、公金持ち出しの銀行家ゲートウッド、脱獄囚を追う保安官カーリー、それに臆病な御者である。 皆、それぞれがローズバーグへ行く理由があった。折りしも、ジェロニモ率いるアパッチの出没の報が入っていた。騎兵隊の護衛で駅馬車は出発した。 呑んだくれのドクは酒の行商人ピーコックの隣で、ちびちび酒を楽しんでいた。一発の銃声がした。一人の男が駅馬車の前に立ちはだかった。脱獄囚のリンゴ・キッドだった。保安官の追っていた男だ。リンゴは親兄弟の敵、ルークとその兄弟2人討つべくローズバーグへ向かっていたのだが、馬の怪我で駅馬車を待っていたのだ。保安官は彼を馬車へ乗せた。アパッチの襲撃があれば役に立つ男だ。 護衛隊は途中、ドライ・フォークから引き返してしまった。不安ながらの旅で、馬車はアパッチ・ウエルズに到着した。その時、若妻ルーシーが産気づいた。へべれけに酔っていたドクは、皆の協力で何とか出産を済ませた。 その時、キッドは健気に働く商売女ダラスに惚れた。「一緒に暮らさないか」と迫るキッドにダラスは言った。「未亡人になる気は無いわ・・・」だが、ダラスはキッドにここから逃げろと言い、キッドはその気になった。しかし、その時、キッドは見た。遥か山の頂きにアパッチののろしが上がるのを。 駅馬車は再び出発した。途中、河の渡し舟が焼け落ちていた。馬車に大木を結び付け、河を渡る。再び走り出した駅馬車を山の上から見ているアパッチの群れ。 突然、酒屋の胸に矢が突き刺さった。アパッチの襲来だ。そこから、逃げる駅馬車と、追うアパッチ族の凄まじい戦いが始まった。キッドも保安官から銃を与えられアパッチを撃つ。保安官が撃つ。もんどりうって馬諸とも倒れるアパッチ。アパッチの数は多い。駅馬車の方は弾が切れた。もはやこれまで、逃げ切れない。 と、その時、微かに遠く、騎兵隊のラッパが聞こえた。皆の気持ちに希望が戻った。インディアンを遥かに上回る騎兵隊はアパッチをたちまち蹴散らしてしまった。 駅馬車は何とかローズバーグの町へ着いた。キッドの仕事はこれからだ。ルーク3兄弟はキッドの到着を知った。いづれも腕の立つならず者だ。町の連中はキッドの死を確信した。商売女ダラスも観念した。 キッドには弾が3発残されているのみ。夜の町、互いに近づいた3対1が銃を放った。銃声を聞き、涙に咽ぶダラスに近づいてきたのは他ならぬキッドであった。キッドは親兄弟の仇を見事果たしたのだ。 さて、キッドを脱獄の罪で逮捕しなければならない保安官カーリーであったが、そこはなんという粋な計らいであろうか、飲兵衛のドク・ブーンと二人でキッドとダラスを馬車に乗せ、「うまくやんな」と逃がしてやったのである。 「ドク一杯奢るぜ」と保安官。飲兵衛ドクは答えた。「一杯ならな」 |
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映画館主から およそ、西部劇の要素があまねく詰め込まれたジョン・フォードの大傑作西部劇。駅馬車に乗り合わせた、様々な人間模様、葛藤と恋。臆病な者と勇敢な者。スピード感溢れる演出。ラストの手に汗握る決闘。どれを取っても一流と言わざるを得ません。 特に、駅馬車を追いかけるインディアンの群れの迫力は、今見ても、決して見劣りしません。馬諸とももんどりうって倒れるインディアンを当時のライフ誌は「インディアンが砂を噛む」と評しました。カメラを地面の中に埋めての撮影では、頭上を駆け抜ける駅馬車と、追うインディアンの馬の群れが迫力に拍車をかけました。 それにしても、駅馬車が絶体絶命の危機の時、遠くから聞こえてくる騎兵隊のラッパのなんと頼もしいことか。勧善懲悪映画として、インディアンが悪としてとらえられるのには抵抗が無きにしも非ずですが、理屈抜きにホッとする場面です。 ジョン・フォード特有の詩情。砂漠の巨大なモニュメント。砂塵。それに、ユーモアと男の友情などなど、実に盛りだくさんです。 演技陣では、特に、ドク・ブーンを演じたトーマス・ミッチェルが秀逸。彼が実に美味そうにウイスキーを飲む場面では、こちらも飲みたくなります。飲みかけのウイスキーを暖炉に棄てると、ボッと燃える場面は、後に同監督の「捜索者」でもジョン・ウェインがもっとオーバーにやってました。 ラスト、保安官とドクが恋する二人を逃がして、新たな友情を交わすシーンは「カサブランカ」と似ています。「カサブランカ」のマイケル・カ−チス監督は、恐らく「駅馬車」のラストを意識していたと思います。 まだ若きジョン・ウェインはこの映画で売り出し、以後、西部劇の王者として生涯を貫きました。ジョン・フォードとジョン・ウェインの関係は黒澤明と三船敏郎の監督と役者の関係に良く似ています。共に、相補ってひとつの映画時代を築いたといえます。 アカデミー助演男優賞(トーマス・ミッチェル)とともに、余りにも有名な音楽は、アメリカ民謡17曲より編曲し、アカデミー編曲賞を受賞しました。 バッグに流れるMIDI音楽は大文字様のご努力によるものです。 ![]() |
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