| 第十七捕虜収容所 1953・米 | |
![]() 製作:監督:脚本: ビリー・ワイルダー 脚本:エドウィン・ブラム 撮影:アーネスト・ラズロ 音楽:フランツ・ワックスマン 出演:ウィリアム・ホールデン ドン・テイラー オットー・プレミンジャー ピーター・グレイブス ![]() |
物語 第二次世界大戦の終わり頃、スイスに近いドイツ軍の第十七捕虜収容所にアメリカ空軍の捕虜たちが収容されていた。 その中の一人、セフトン軍曹(ウイリアム・ホールデン)は、抜け目のない男で、賭け事の私設賭場を開き、タバコなどを稼いでいた。 ある夜、二人の捕虜が密かに作った抜け穴から脱走したが、事前にそれを知っていたドイツ軍によって銃殺されてしまった。 二人の死体の前に全員が広場に集められた。 「この二人は、あまり遠くには行けなかった。私の経歴に傷もつけなかった、生きてはな。・・・消灯後、宿舎外に出た者は射殺する」収容所長のシェルバッハ大佐(オットー・プレミンジャー)は、一席ぶった。 セフトンは言った。「抜け穴掘って何になる、脱走に成功してもだ。今度は太平洋戦線に送られ、日本軍の捕虜だ。御免だね、俺はここでなるべく楽しく暮らす」 しかし、抜け穴のことがばれたのは、密告者がいるに違いないと思った皆は、セフトンに疑いの目を向けたのだ。 時折見回りに来るドイツ軍のシュルツ。彼は、全員が外に出た後、宿舎の電灯のコードが輪結びになっているのを見て、テーブルのチェスの駒をさりげなく交換した。チェスの駒の中にメモが入っていた。そしてコードの結びを直した。 又も知られる筈の無いラジオが没収された。全員はセフトンにますます疑惑を抱く。 そんなある日、ダンパー中尉(ドン・テイラー)が収容されてきた。彼はかってドイツ軍の軍用列車を爆破した経緯を皆に披露した。 しばらくして、所長はダンパーを連行し、尋問を始めた。軍用列車爆破の犯人としての容疑だった。 又、密告だ。捕虜達はとうとうセフトンが許せず、否定する彼を寄ってたかって袋叩きにしてしまう。セフトンは顔を腫らして寝込んだ。(・・・スパイを探し出してやる、ただではすまさんぞ・・・) 監視員が収容所を視察に来た。「ジュネーブ協定により、捕虜の人権は保護されている。不満はないか?」 「ダンパー中尉が連行されたままですが・・・」一人が言った。監視員が所長室に行くと、所長がダンパーを眠らせずに尋問をしていた。 「証拠もなく彼を処罰すれば問題にしますぞ」と抗議したが所長は鼻であしらうのだった。 ある時、ベッドのセフトンは電灯のコードが輪結びになっているのを疑問に感じた。そして、本当のスパイは捕虜に混じって入所しているプライス(ピーター・グレイブス)だと見抜く。彼は、ドイツ人でスパイとして捕虜の中に潜入していたのだ。 ダンパー中尉が護送されると聞いた全員は計略を練った。クリスマスプレゼントのピンポン玉を集め発煙筒を作った。 護送の日、発煙筒の煙幕の中、ダンパーの姿が消えた。実は貯水槽の中に隠れたのだ。 さて、その夜、ダンパー中尉を収容所の外に脱走させる人間をくじ引きしようとした時、「俺がやる」と、プライスが申し出た。 「待て!」セフトンが待ったをかけた。そしてプライスが本当のスパイだと実態を明かす。逃げようとするプライスは羽交い絞めにされた。 「俺がダンパー中尉を脱走させる。5分経ったらプライスを外に放り出せ。プライスに照明が集まる。その隙に逃げる」 セフトンを疑った皆は詫びた。「仕方ないさ」セフトンは言い、抜け穴から這い出た。 ダンパーは冬の貯水槽の中で凍えていた。セフトンはダンパーが貯水槽から出ると足を揉んで暖めた。 やがて5分が経った。宿舎からプライスが外へ放り出された。プライスに照明が集中した。「俺だ!ドイツ人だ!」必死に叫ぶプライスに一斉に銃弾が飛んで来た。セフトンとダンパーはその隙に鉄条網を破って闇の中へ消えて行くのだった。 |
| 映画館主から 2002年3月に96歳で世を去ったビリー・ワイルダー監督の異色戦争映画。 収容所という閉鎖された空間の中で人間の葛藤とぶつかり合いがスリリングに展開します。いわゆる収容所物のはしりとなった映画です。 スパイは誰か?という推理的な見所もあり、派手なアクションはなくてもドラマに引き込まれていきます。 ビリー・ワイルダーは、「失われた週末」’45、「サンセット大通り」’50、「麗しのサブリナ」’54、「七年目の浮気」’55、「翼よ!あれが巴里の灯だ」’57、「昼下りの情事」’57、「情婦」’58など、幅広いテーマに取り組み、それぞれが一級の作品ですが、その真骨頂はやはり、ジャック・レモンを主軸としたコメディではないでしょうか。 「お熱いのがお好き」’59、「アパートの部屋貸します」’60、「あなただけ今晩は」’63、「恋人よ帰れ!わが胸に」’66などの人情コメディです。 その笑わせて泣かせるテクニックは並ではありませんでした。 ウィリアム・ホールデンはこの映画でアカデミー主演男優賞を得ました。収容所のスパイ役はピーター・グレイブス。彼は後に「スパイ大作戦」シリーズで大いに売りました。スパイが好きなのかな? 収容所長を演じたのは、「黄金の腕」’55、「栄光への脱出」’60などの監督としても知られるオットー・プレミンジャーでした。 |
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