| シェーン 1953・米 | |
![]() 製作:監督: ジョージ・スティーブンス 原作:ジャック・シェーファー 脚本:A・B・ガスリーJr ジャック・シャー 撮影:ロイヤル・グリッグス 音楽:ビクター・ヤング 出演:アラン・ラッド バン・ヘフリン ジーン・アーサー ブランドン・デ・ウィルデ ベン・ジョンスン ジャック・パランス ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 ワイオミング州の大平原。彼方にグランド・ティートン山脈の山並みがそびえる水と緑したたる大地。 流れ者のガンマン、シェーン(アラン・ラッド)はそこでつましく暮らす開拓農民の家に立ち寄った。 その家の主スターレット(バン・ヘフリン)は妻マリアン(ジーン・アーサー)と一人息子ジョーイ(ブランドン・デ・ウィルデ)のの3人暮らしだ。 そこへ牧畜業者ライカー達がやって来た。 「ここを出て行け」 ライカーは土地を我が物にしようと開拓農民たちにたびたび嫌がらせを繰り返していた。 スターレットは頑としてライカーの要求を撥ね付けた。シェーンはスターレットに雇われることになった。。ガンマンに憧れるジョーイはシェーンが好きになる。マリアンも穏やかなシェーンに好意を感じていた。 町に買い物に出たシェーンは、酒場でライカーの手下、クリス(ベン・ジョンスン)にウイスキーをかけられ喧嘩を売られた。しかし、堪えたシェーンはジョーイにソーダ水を買って帰るのだった。 夜、開拓農民の仲間がスターレットの家に集まった。ライカーの仕打ちに対してどう対処するかが議題だった。頑張るか、出て行くか。 マリアンはジョーイに言う。 「・・・ジョーイ、シェーンを好きになっちゃ駄目よ」 「どうして?」 「どうしても・・・」 「じゃ、どうして?」 「いつか、行ってしまうのよ、つらいわよ、好きになったら」 それは、ジョーイに対してよりも自分自身に対して言い聞かせているようでもある。 村の者達が買い物で町へ繰り出した。酒場でクリスが再びシェーンを罵倒した。「豚野郎、二度と来るなと言った筈だ」 シェーンも今日は黙っていない。「今日は俺がおごる」 シェーンがクリスにウイスキーを浴びせ、いきなり鉄拳を喰らわせた。すっ飛ぶクリス。 そこから壮絶な殴り合いが始まった。ライカー一味と開拓の仲間が入り乱れての大乱闘。シェーンが、スターレットが、ライカー一味を殴りまくる。ジョーイとマリアンはハラハラしながら見守る。 シェーンとスターレットはお互い傷つきながらも友情を深めたのだった。 ライカーに雇われた黒ずくめの殺し屋、ウィルソン(ジャック・パランス)登場。 ウィルソンは不敵な笑みを浮かべた早撃ちの名手だった。 ライカーの嫌がらせは続く。豚を殺す。農民の畑の上を牛の大群を暴走させ、作物を荒らした。 そんな時、ジョーイはシェーンに銃の撃ち方を教えてと、せがむ。シェーン、石ころをめがけて撃つ。石ころは地面を飛び跳ね、ジョーイは目を見張る。 それを見たマリアンがシェーンを諭すが、シェーンは言った。「銃は道具だ。使う人次第で良くも悪くもなる」 独立記念日の祭り。マリアンとダンスを踊るシェーン。 だが、平和は撃ち砕かれた。町へ出かけたトーレー(エライシャ・クックJr)がウィルソンにそそのかされ撃たれて死んだのだ。 それをきっかけに、村を出る家族が出始めた。スターレットは必死に説得する。「それではライカーの思う壷だぞ。皆で学校や教会を造ろうじゃないか」 「墓もか?」 しかし、ライカーの一味に家に火を付けられ、皆は団結して消火にあたった。全員が団結すればライカーから生活を守れる筈だ。 夜、ライカーの弟がスターレットの家にやって来た。「兄貴が呼んでいる。丸く話しを納めたいとな」 スターレットは、「よし行こう」と応じた。 ライカーの弟が帰った後、もう一人馬でやって来た者がいる。シェーンは銃を構えた。それはかって酒場で殴りあったクリスだった。 クリスは言う。「スターレットは罠にはまるぞ。・・・俺はどうかしていた。ライカーの仲間をやめるんだ」 クリスはライカーのえげつないやり方に嫌気がさしていたのでスターレット一家に警告に来たのだった。。シェーンはクリスに礼を言い、握手する。 スターレットは身支度を始めた。マリアンは夫の身が心配でならない。 「行けば殺されるわ、私はどうなってもいいの?」 「お前を愛しているからこそ行くんだ」 そこへ銃を腰に付けたシェーンが現れた。「俺にまかせろ」 「どういうつもりだ」と、スターレット。「ライカーはともかく、ウィルソンには勝てんぞ」 「邪魔だ、どけ!」 二人は殴りあう。シェーンはスターレットを気絶させた。 マリアン「銃は捨てたんでしょ」 シェーン「気が変った」 「私のため?」 「貴方と家族のために」 マリアンはシェーンを見つめた。「・・・お元気で・・・」 シェーンは馬で町へ向かった。ジョーイは後を追って走る。 酒場ではライカー兄弟とウィルソンが待っていた。シェーンは静かに酒場へ入った。「スターレットの代わりに来た」 酒場の空気が張り詰める。 ウィルソンが笑みを浮かべて立ち上がる。ウィルソン「抜け」と言い、銃に手をかけた瞬間、シェーンの早撃ちはウィルソンを一撃で倒し、続いてライカーを撃ち倒していた。物陰に身を潜めそれを見ていたジョーイ、2階に人影を見て「シェーン、危ない!」 シェーンが振り向きざま、2階で銃を構えたライカーの弟を撃ち落した。勝負は一瞬で終わった。 「お別れだ、人間はやっぱり、自分の殻から出られない。人を殺したら一生ついて回る。元へは戻らないんだ。ジョーイ、正直で強い男になれよ」 シェーンはジョーイに別れを告げると、何処へともなく去っていった。 「戻って、シェーン!シェーン、カムバック!」ジョーイの叫ぶ声がシェーンの後を追った。シェーンの後姿の向うにグランド・ティートン山脈がそびえていた。 |
| 映画館主から 監督は「陽のあたる場所」(’51年)、「ジャイアンツ」(’56年)のジョージ・スティーブンス。 スティーブンスは、開拓農民の少年の視点を通して流れ者のガンマンの悲哀や、農民の妻とシェーンの微妙な恋心を描いて独自の西部劇の傑作を残しました。 ジョン・フォードやハワード・ホークスのような砂塵の舞う荒涼とした砂漠ではなく、ここには緑したたる大地の風景があります。そこに、善と悪、男同士の友情、家族の絆、そして決闘といった西部劇の要素を網羅しているのです。 流れ者がふらりとやって来て、一宿一飯の恩義で事件を解決し、また何処ともなく去っていくという、日本の時代劇の股旅物を彷彿とさせるストーリー展開が日本人の感性に合っていました。 また、主演のアラン・ラッドのガンマンらしからぬ穏やかな風貌も日本人好みでありました。 彼は175cmという身長にコンプレックスを持っていたといいます。それは、当時の西部劇のスターたち、ジョン・ウェイン(193cm)、ゲーリー・クーパー(190cm)、ランドルフ・スコット(188cm)、グレゴリー・ペック(188cm)、バート・ランカスター(188cm)、ジェームズ・スチュアート(183cm)といった身長には到底かないませんが、その小さく穏やかなアラン・ラッドが予想外の逞しさで巨漢の殺し屋ジャック・パランス(193cm)を一撃のもとに仕留めたところに喝采が起きたのでありましょう。 アラン・ラッドはスティーブンス監督の要求で銃の早撃ちを習得し、本作での銃を抜いて撃つまでの時間はわずか0.6秒。これは映画史上の記録といわれています。 しかしながら彼は以後、ヒット作に恵まれず、’64年に薬物とアルコールの乱用のため、50歳の若さで他界しています。 また、ジョーイ少年を演じ名子役となったブランドン・デ・ウィルデは、その後数本の映画に出演しただけで不慮の自動車事故で30年の生涯を閉じています。 ライカーの手下で最後に寝返るクリス役のベン・ジョンスンはジョン・フォード映画の常連俳優。 黒ずくめの殺し屋、ジャック・パランスは戦争で受けた火傷の整形手術の効果か、一種人間離れした悪役顔が以後の俳優歴に生きています。 ビクター・ヤングの名曲、「遥かなる山の呼び声」が全編に流れ、詩情を誘います。 参考文献:「週刊20世紀シネマ館 No.5」 講談社 |
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