| タクシードライバー 1976・米 | |
![]() 製作:マイケル・フィリップス ジュリア・フィリップス 監督:マーチン・スコセッシ 脚本:ポール・シュレーダー 撮影:マイケル・チャップマン 美術:チャールズ・ローゼン 音楽:バーナード・ハーマン 出演:ロバート・デ・ニーロ シビル・シェパード ジョディ・フォスター ハーベイ・カイテル ![]() ![]() ![]() |
物語 ベトナム戦争から帰還したトラビス(ロバート・デ・ニーロ)は、極度の不眠症だった。夜間専門のタクシー運転手になったトラビスはニューヨークの夜の町を流す。 マンホールから白い蒸気が湧き上がるニューヨークの夜は、猥雑な町だ。歩き回るのは売春婦、街娼、ヤクザ、ホモ、オカマ、麻薬の売人といった、裏世界の人種たち。 トラビスは相変わらず不眠症に悩む。毎日がただ過ぎて行く。彼は、どんな客でも場所を問わず運び届けた。 ある時、パランタイン議員の選挙事務所で働く女に興味を持った。パランタインは次期大統領候補である。トラビスはボランティア希望だと言って事務所を訪れ、女を口説く。女はベツィ(シビル・シェパード)という。 ある日、トラビスの車に一人の少女が乗り込んできた。「早く逃げて!」少女が叫んだ時、男がドアを開け少女を捕まえた。男は「何でもねえんだ」と言い、札を一枚放り投げた。二人が去るのをバックミラーでいつまでも見ているトラビス。 ベツィとの始めてのデイトの日。トラビスは映画に誘った。ところが映画館に入ると、上映されているのがポルノだったので、ベツィは気分をこわして飛び出してしまった。後を追ってなだめるがもう遅い。 電話にも出ようとしないベツィに業を煮やしたトラビスは事務所にづかづかと入って行き、ベツィに言った。「お前みたいな奴は死んで地獄に落ちろ!」 トラビスは男達に追い出された。 例の少女が男に手を引かれ歩いて行くのを見ているトラビス。この男は少女をだしに使うろくでもない人間に見える。 ・・・・・・俺には淋しさがつきまとう・・・孤独だ・・・漠然とした毎日が長い鎖のように続く・・・しかし、突然、それが変わった・・・・・・ 銃の売人からピストルを買うトラビス。マグナム44、38口径、コルト25口径、ワルサー。 アパートで体を鍛える。腕立て伏せ、懸垂。腕の奥に隠した銃を引き出す装置の製造。銃を早く抜く練習。 町で客待ちをしていると、例の少女が歩いて来た。車を降りて近寄るトラビス。「私と遊びたい?あの男マシューズに話して」 例の男が立っている。「まだ、12歳だ。病み付きになるぞ」マシューズ(ハーベイ・カイテル)はいった。 部屋に入るとトラビスは少女に言った。「本当に12歳か?」「・・・・・」「本名は?」「・・・アイリス」「いい名前じゃないか。覚えてるか、君が逃げようとタクシーに乗ったらマシューズが追ってきて」 「覚えてないわ」「俺が逃がしてやる」「・・・遊ぶんじゃないの」 トラビスは情けなくなりアイリス(ジョディ・フォスター)を突き飛ばす。 ・・・・・・今、俺の人生は一つの方向に向かってる。初めてのことだ・・・・・・ パランダイン議員の演説会場。聴衆の隅にトラビスが現れる。頭がモヒカン刈りになっている。次第に中央に近づいていくが、SPに気付かれトラビスは逃げた。 続いてトラビスはマシューズの所へやって来た。モヒカン刈りでにやつくトラビスを見て、マシューズは言う、「痛い目にあわねえうちに早くかえんな」トラビスがいきなりマシューズを撃った。倒れるマシューズ。 売春宿へ乗り込むトラビス。狭い廊下を歩いてくる管理人を撃つ。マシューズが追って来てトラビスを撃った。トラビスの首から血が吹いた。続けざまにトラビスが銃を乱射。マシューズは絶命した。飛び出てきた用心棒が撃った弾はトラビスの腕を貫いた。すかさずトラビスの左腕に装着したピストルがベアリングにより左手に納まると連続して用心棒を撃った。 用心棒が倒れこんだのはアイリスの部屋だ。アイリスは恐怖の悲鳴を上げた。その時、管理人がトラビスに襲いかかった。トラビスは足にセットしたナイフで管理人の手を刺し貫く。そして、彼の頭に銃を向けた。「やめて!」アイリスの悲鳴。トラビスは管理人の頭を撃ち砕いた。 トラビスは朦朧としながらも、自分の頭に銃口を向けた。カチッ、カチッ・・・弾は切れていた。そのまま、トラビスは意識を失った。泣き叫ぶアイリス。警官隊が駆けつけた時は、惨劇の後だった。 時が過ぎ、トラビスは全快してタクシードライバーの仕事に戻っていた。以前の彼と違う明るい表情がそこにあった。 アイリスの両親からの手紙が届いた。 “トラビス様 アイリスに対してのあなたの行為を感謝しています。アイリスは環境の変化に戸惑ってはいますが、真面目に学校に通っています。家内ともどもお礼を申し上げます” |
| 映画館主から マーチン・スコセッシ監督を一躍世界的に有名にした出世作。 ニューヨークという大都会の裏側を見ているうちに、孤独な青年トラビスは、何か“新しいことをやる”という、狂気の想念に捕らわれていきます。それが大統領候補の暗殺であり、結果的に形を変えた売春宿の襲撃になります。 この襲撃場面は映画史に残る凄まじいバイオレンスです。デ・ニーロの狂気の演技とバーナード・ハーマンの音楽がピタリと合い、息をつがせぬ迫力を生んでいます。銃撃が終わり、警官隊が駆けつけた時の天井からの俯瞰撮影に音楽がかぶさり、現場の凄まじさを緩やかにパンしていきます。 デ・ニーロとスコセッシ監督はその後もコンビを組み、「ニューヨーク・ニューヨーク」’77「レイジング・ブル」’80「ケープフィアー」’91「カジノ」’95と続きます。デ・ニーロがボクサーを演じた「レイジング・ブル」で彼はオスカーを手にしました。 スコセッシは俳優としても黒澤明の「夢」に画家ゴッホの役で出演しています。 少女娼婦役のジョディ・フォスターはこの作品で話題を集め、「告発の行方」’88「羊たちの沈黙」’91と二度のアカデミー賞に輝く女優として成長し、現在に至ります。 カンヌ映画祭グランプリ作品です。 |
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