| 大いなる西部 1958・米 THE BIG COUNTRY |
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![]() 製作:グレゴリー・ペック 製作:監督: ウィリアム・ワイラー 原作:ドナルド・ハミルトン 脚本:ジェームズ・R・ウェッブ サイ・バートレット ロバート・ワイラー 撮影:フランツ・プラナー 音楽:ジェローム・モロス 出演:グレゴリー・ペック チャールトン・ヘストン ジーン・シモンズ キャロル・ベイカー バール・アイブス チャールズ・ビックフォード チャック・コナーズ ![]() ![]() ![]() |
物語 テキサスの荒野を駅馬車が駈けて来る。砂塵を蹴散らす馬の蹄の激しい動き、回る車輪、懸命に走る馬.。 やがて駅馬車から降り立ったのは、東部からやってきた海の男、ジム・マッケイ(グレゴリー・ペック)だ。彼はこの土地の牧場主テリル少佐(チャールズ・ビックフォード)の娘パトリシア(キャロル・ベイカー)の婚約者だった。 牧童頭リーチ(チャールトン・ヘストン)の出迎えで牧場に着くとパトリシアの熱烈なキスがジムを待っていた。 パトリシアの案内で馬車に乗ったジムは、ヘネシー家のバック(チャック・コナーズ)達の嫌がらせの歓迎を受けた。投げ縄で縛られからかわれる。パトリシアは彼らに罵声を浴びせるがジムは相手にしない。 テリル少佐は近くのヘネシー家と犬猿の仲で、女教師ジュリー(ジーン・シモンズ)の所有するビッグマディの土地の水源をめぐって長い間対立を続けていた。 娘婿になるジムがヘネシーの息子バックにいたぶられたとあってはテリル少佐は黙っていない。牧童達を引き連れヘネシー家に出向いた。バックたちは留守だった。牧童たちは村を荒らし、水槽に銃弾を撃ち込んだ。 その夜はジムとパトリシアの結婚前のパーティだった。テリルの屋敷は二人を祝う大勢の人で盛り上がっていた。ダンスに興じていた人々が静まった。戸口にヘネシー家のルーファス(バール・アイブス)が鉄砲を手に立っていた。 「今日、村に来てくれたそうだな。二度と村を荒らしに来たら、この町を血で染めてやる」 家に帰ってきたバックをルーファスが咎めた。「出来そこないの息子め。おかげで村が荒らされたんだ」 「だが、ジュリーは俺に気がある」バックがそう言うと父親の顔つきが変わった。「本当か。お前がジュリーと結婚すれば万事思い通りになる」 ジュリーの持つ水源を独り占めできるからだ。「ジュリーに優しくするんだぞ」 ルーファスは内心ほくそえんだ。 単身ジュリーの土地を見に行ったジム。ジュリーの土地は広大な平原と豊富な泉に満ちていた。。ジムはそこでジュリーに交渉した。自分に土地を売ってくれればテリルとヘネシー両方に水を分配すると説得。長い間、両家のはざ間に悩んでいたジュリーは交渉に応じたのだった。 一方、そんなこととは知らないテリル達は、ジムが道に迷ったと思い、手を尽くして捜索していた。 リーチたちの一行が野営しているところへジムが通りかかった。 かねてからジムに対して対抗心を抱くリーチはジムをなじった。「どこへ行ってたんだ。道に迷ったあんたを探していた」 「迷ってない。コンパスを持ってるからな」 もとよりジムは船乗りなのだ。 テリルとパトリシアの待つ牧場へ戻ったジムはリーチの挑戦を受けた。しかし、ジムはリーチの挑発に乗らない。そんなジムに西部男の気概を見出せないテリルとパトリシア父娘は失望の色を隠せない。 夜、ジムはリーチの部屋を訪れ、リーチを起こした。 「また迷子か」とリーチ。「明日の朝、ここを出て行く」とジム。「あいさつにきたのか」 とリーチ。「ここじゃ、狭くてあいさつできん」とジム。・・・・・・ かくして、離れた誰もいない場所で二人の壮絶な殴り合いが始まる。 二人は力において互角だ。へとへとの二人。「マッケイ、お前のあいさつは長いな・・・」リーチが言った。「・・・これが、何の証明になった?・・・」ジムは言った。 リーチはこのとき、ジムに真の男を感じていた。 ジムが町へ去った。パトリシアをジュリーが訪ねた。 「あなたはあの人を信じていないの?彼は結婚の贈り物にビッグマディを買ったのよ」 それを聞いたパトリシアは町のジムのところへ馬を飛ばした。自分が悪かったと謝り、二人の修復を願った。しかし、ジムは「ビッグマディの水源はテリルとヘネシー、両方に平等に分配する」と言った。 パトリシアは父親ゆずりのヘネシー嫌いだ。「あなたはパパの半分も男らしくなれないわ!」二人は決別した。 一方、ヘネシー家に連れて行かれたジュリーは、ルーファスから息子のバックの嫁にならないかと説得されたが、「ビッグマディはジムに売りました。彼は平和的に解決できる立派な人だわ」と答えた。 それを聞いたルーファスは叫ぶ。「あいつはテリルの義理の息子じゃないか!」 ジュリーがヘネシーに捕らわれているのを知り、テリル一族はブランコ谷へ向かった。谷にはヘネシーの部下たちが待ち構えていた。 そこへ、報せを受けたジムが追いついた。 「血を流さずにジュリーを助け出す」 ジムは言った。今やジムが気に入らないテリルだったが、リーチの説得もあってジムにまかせた。 ブランコの深い谷間を縫ってジムが馬を繰る。 やがて、ヘネシー家に着いた。ジュリーはジムの身を案じて自分の意志で来たのだというが嘘は見え据えていた。 「私がビッグマディを買ったが、水は平等に分ける」と、ジムはルーファスに言った。「お前は信用できそうだが、我々にはテリルがくたばるまで平和はこない・・・」とルーファス。「本当はあなたとテリルの二人の醜い老人の争いなんだ」 ジムはズバリ言った。 バックがジムに決闘を挑んだ。「受けて立つ」ジムは言った。 バックとジムが背中合わせに立つ。ルーファスの掛け声で始まる西洋式の決闘。お互いに弾は一発。10歩進んだところで向き合う。「狙え」のルーファスの掛け声。怯えたバックは次の「撃て」の父親の声がする前に引き金を引いた。銃声とともにジムの額を銃弾がかすめ、血が流れた。 ルーファスは息子が情けなかった。バックはすくみ、逃げ出そうとした。「撃て」ルーファスが叫ぶがジムは地面を撃ち、拳銃を投げ出す。 その時、バックが仲間の腰から銃を取り、ジムに向けた。ルーファスの銃弾が息子バックの胸を貫いた。虫の息のバックを抱きルーファスは嘆いた。「撃つと言った筈だ・・・」 ジムはジュリーとヘネシー家を後に谷へ向かう。 谷ではジムたちを待ちきれないテリル一党が、待ち伏せしているヘネシーの一党と銃撃戦の最中にあった。リーチも負傷し、両家に多数の死者が出た。 ジムたちを追ってきたのはルーファスだった。 「やはりこれは、俺とテリルの戦いだ」 この頑固者の老人はジムの言葉に感ずるものがあったのだろう。谷間に向かって大声を発した。 「テリル!俺とお前の一対一の戦いだ。他のものは手出しするな!・・・テリル、聞こえるか!」 やがてテリルが答えた。「望むところだ!」 ブランコ谷の双方から二人の老人が鉄砲を構えて曲がりくねった峡谷を近づいていく。そして、互いの姿を認めるや銃声を放った。お互いに相手を倒し、重なり合って死んでいった。 双方の部下たちは静かに引き返した。ジムはリーチと目が合った。今はリーチもジムを認めている。ジムの目は無言で語っていた。「これでいいんだ・・・」 ジムとジュリーは見つめあった。下方に二人の未来を待ち構えるように遥かなる大平原が広がっていた。 |
| 映画館主から グレゴリー・ペックが自身のプロダクションを興して「白鯨」(’56年、ジョン・ヒューストン監督)に続いて製作・主演した一大西部劇叙事詩。 共同製作・監督のウイリアム・ワイラーにとっては「西部の男」(’40年、ゲーリー・クーパー主演)以来18年ぶりの西部劇でした。 ワイラーの行き届いた演出により、ジョン・フォードやハワード・ホークスといった西部劇の大家の作品とは一味違った見ごたえのあるドラマに仕上がっています。 船乗りの主人公が結婚をするためにテキサスへやってくるところからドラマが始まります。そこではある水源を廻って二つの勢力が長い戦いを繰り広げていました。 理性的なペックは力があるのに誇示しようとせず、西部人の誤解を招きます。しかし、チャールトン・ヘストンとの夜明けまで続く殴り合い、チャック・コナーズとの西洋式決闘、荒馬との挑戦などに、本来の男らしさを彼らしく演じていました。それほどの演技力とも思えませんが、カッコよく、決まっています。 ヘネシーの息子バックを演じたのは「ライフルマン」のTVシリーズで主役を張ったチャック・コナーズ。彼は202cmの長身です(近松座の「俳優の身長」で第一位)。本作では、虫けらのような姑息でずるい人物を演じているためか小さく見えるから不思議。 演技で強烈な印象を残したのは、ヘネシー家の頭領を演じたバール・アイブスでした。粗野な中にも真っ当な人間たらんとする父親像を演じて本作の唯一のアカデミー賞、助演男優賞に輝いています。 主演級の役者ながら脇に徹したチャールトン・ヘストンも屈折した心情をなかなか良くやっとりました。 ワイラー監督の次なる大作、「ベン・ハー」(’59年)の主役に抜擢されたのもむげなるべしです。 “テキサスの荒野を駅馬車が駈けて来る。砂塵を蹴散らす馬の蹄の激しい動き、回る車輪、懸命に走る馬.” このオープニングシーンの素晴らしさ。映像にかぶさるジェローム・モロスのダイナミックな音楽。血沸き肉踊るとは正にこういう瞬間をさすのだと思います。 このテーマ曲をMIDI作者大文字様が見事に蘇えらせてくれました。お楽しみください。 大文字様のサイトへは映画館トップページ下の |
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