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「必死の逃亡者」オープニング |
| 必死の逃亡者 1955・米 |
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![]() 製作:監督: ウィリアム・ワイラー 原作:ジョゼフ・ヘイズ 撮影:リー・ガームス 音楽:ゲイル・クビク 出演:ハンフリー・ボガート フレドリック・マーチ アーサー・ケネディ マーサ・スコット デューイ・マーチン ロバート・ミドルトン ギグ・ヤング ![]() |
物語 インディアナポリス郊外の平和な町。リヒヤード一家はダン(フレドリック・マーチ)、妻エリナー(マーサ・スコット)、娘シンディ(マリー・マーフィー)、それに小学生の息子ラルフの4人家族だ。 エリナーが夫と子供を会社と学校に送り出した朝、突然災難がやって来た。 「騒ぐな!血を見たくなけりゃな」 3人の風体の悪い男が家に押し入って来たのだ。彼等はその朝刑務所を脱獄した凶悪犯だった。グレン(ハンフリー・ボガート)、その弟ハル(デューイ・マーチン)、少し頭の足りない大男コービッシュ(ロバート・ミドルトン)の3人だ。 彼等は乗ってきた盗難車をガレージに隠した。グレンはエリナーに「銃を隠してあるだろう、コービッシュが見つけると何をするかわからんぞ」と脅し、銃を見つけ出した。 そして、グレンは自分の愛人に電話を入れた。「金を持って急いで来い。ここはノースプレストンだ」 やがて、ダンとシンディが帰宅した。エリナーがグレンに銃を突きつけられていた。ダンは一瞬に凶事を悟った。「何をしてる!」 「ここは場所もいいし、子供もいる。理想的だ」グレンは答えた。「家族の命が惜しけりゃ、変な気は起こすな」 「何時までだ」 「夜中に金が着くまでだ。警察に知れたら・・・命はない」 警察は脱獄囚たちが盗んだ車を探して非常線を張っていた。指揮をとるバード警部(アーサー・ケネディ)の元へ報告が入る。「奴の女を発見した。40号線をこちらに向かってる。夜中の12時頃着く」 小学生のラルフが帰って来た。ラルフは大人ぶっている。ダンの心配をよそに脱獄囚にたてついたりする。ダンはラルフを諭した。「君は大人だろ、警察に知れたらどうする。」 「僕は怖くないよ」 「奴等は拳銃を持ってるんだ、テレビの映画とは違うぞ」 グレンはダンに言った。「車のガソリンを補充して来い。バーボンも買って来てくれ・・・警察に知らせたら、犠牲者は女子供だ。解ってるな!」 ガソリンスタンドでのダン。その目の前に電話がある。しかし、彼にはどうしようもない。 娘のシンディは恋人が迎えに来てドライブに出た。しかし、シンディとて、警察に知られるのを恐れ、彼に異変を悟られてはならず、ごく自然に振舞わなければならない。 ダンが帰った。バーボンを2本買ってきたが、グレンはそのうちの1本を叩き割った。「俺たちは酔うわけにゃいかねえんだ」 シンディが恋人と帰ってきたが、シンディはそそくさと家の中に入った。恋人は不信感を抱く。(・・・何か変だ) 脱獄囚の3人が隙を見せた時、ダンがハルの銃を奪い3人を外へ出し、鍵を掛けた。急ぎ警察へ電話を・・・その時、「待って!」エリナーが叫んだ。ラルフが2階から飛び降り、グレンに捕まっていたのだ。振り出しに戻った。 その頃、グレンの愛人が信号無視で警察に捕まりそうになり車を捨て逃走していた。女からグレンに電話が入る。「そっちに行けないの」グレンは焦れた。「いいか、金は封筒に入れて送れ・・・」 翌朝、ダンとシンディは何時もどおり家を出た。ラルフは小学校を病欠した。 たまたまやって来た清掃人がガレージの中の車を見てしまった。清掃人を拳銃を持ったコービッシュが追った。そして、郊外で射殺した。 ダンは会社で女からの送金を待ったが届かず、銀行で調達した。コービッシュからの電話で郊外のゴルフ場の近くまで迎えに行く。ダンは凶行があったことを感じた。 家に帰ると、ラルフの担任の先生が見舞いに来ていた。ガラの悪いコービッシュと家に帰ったダンをみて先生は不審に思う。ラルフが先生に作文を渡していたのだ。ダンはそれを見た。作文には、「銃を持った男が家に来ている・・・」と書いてあった。ダンはそれを取り上げた。 先生を帰した後、ダンが金を差し出したが、グレンは受け取りながら、「これはもらっておくが、本当の送金はもっと多い」と言う。 今夜は「友達の家に泊まれ」とダンが言ったにもかかわらず、シンディは恋人の車で戻って来た。家族が心配で仕方ないのだ。 グレンの弟のハルは、この状況に我慢できなくなっていた。グレンは止めたがハルは「俺はもう行く」と家を出た。通りがかりの車を盗み逃走。しかし警察に見つかり、逃げようとしたところを撃たれた。そしてそこへトラックが・・・。 ダンに郵便局から電話が入る。「金が着いた」 「取りに行け」と、グレン。 バード警部たちは、死んだハルがダンの拳銃を所持していたことを知り、ダンの家の周りに非常線を張った。たまたまそれを知ったシンディの恋人はシンディを家の外へ連れ出した。 ダンが金を持って家へ向かっていた。「待って・・・」近づいてきたのは警察だった。ダンの家の隣家にバード警部たちが詰めていた。ダンはあせった。警察に暴れられると家族が危ない! 「何をしている。私にとっては妻と子供の命が先決なんだ」 バード警部はダンに拳銃を渡すが、ダンは弾を抜いた。「危険な賭けだぞ」バードは言った。しかしダンは「これしか、道は無い!」と銃をポケットに入れ、家に向かった。「たいした男だ・・・」バードは呟いた。 ダン、家に入った。グレンは金を受け取ると同時にダンのポケットの拳銃を見つけた。「約束違反だが、助かる」グレンは自分の銃をコービッシュに渡したままだったのだ。 グレンが2階の様子を見に行った。1階にはダンと大男のコービッシュが残った。「外で何か変な音がした」ダンはコービッシュを促した。ドアを開き外の様子を見ようとしたコービッシュに隙ができた。ダンは思い切りドアを閉め、コービッシュの手を挟んだ。銃を落としたコービッシュを外へ突き飛ばした。叫び声を上げて外へ出たコービッシュに警察の銃弾が浴びせられた。 2階から妻のエリナーが飛び出して来た。「隣家へ逃げろ!」ダンが叫ぶ。「ラルフが!!」 「俺が助ける!早く行け!」 エリナーは裏口から隣家へ。 ダンが2階に行くと、グレンがラルフの頭に銃を向けていた。 「この男は撃てない。ラルフ、こっちへ来い!」ダンは言った。ラルフは怯えていた。「言うとおりにしろ!」 グレンは「撃つぞ!」と力を込めた。「走れ!」ラルフがグレンを振り切ってダンの元へ走る。グレンは撃った。しかし、弾を発射しない。ラルフを隣家へ逃がしたダンはグレンに向けコービッシュの拳銃を構えていた。 「悲しい話だが、お前の弟は死んだ。お前のせいで・・・」ダンは言った。グレンは今、土壇場に追い詰められているのを悟らずには居られなかった。 ドアを開け、手を上げたグレンがゆっくりと外へ出た。そして、逃げようとした瞬間、警察の銃弾はグレンを襲った。グレンは倒れ、動かなくなった。 全てが終わった。妻が駆け寄った。子供達がダンの元へ走った。恐怖の2日間が終わり、家族は抱き合った。そして、シンディの恋人もダンの手招きで家の中へ招き入れられたのだった。 |
| 映画館主から ある平凡な一家を突然襲った恐怖を、ウィリアム・ワイラー監督が緻密な計算し尽くされた演出で描いたサスペンス映画の傑作。 アメリカで実際に起きた事件を元にジョゼフ・ヘイズが小説化、ワイラーはすぐさま映画化権を獲得したとか。 極限状況の中での人間をスリルたっぷりに描いています。中でも一家の柱である父親役のフレドリック・マーチが熱演し、家族を守る責任感のある父親像を示しました。 ラストの最も緊張する場面、つまり脱獄囚が息子に銃を突きつけている、父親を信じて「走れ!」と叫ぶ場面は、この映画のクライマックスですが、父と子の信頼というものをドラマの形で勝ち取ったものでした。 父親は敵の拳銃に弾が入っていないのを知っているが、それを息子に伝える方法が無い。敵にそれを知られると別の反撃が加えられるからです。 「走れ!」 父の言葉を信じて息子は走った。父は息子により勝利を得たのでした。 ハンフリー・ボガートは悪役ではありますが、根っからの悪ではなく、人間味を持った男です。そして、たまたま押し入った家の主人が運悪く強敵だったのです。最後には、ボガートはフレドリック・マーチに尊敬の念さえおぼえた感があります。「入る家を間違えた」と。 貞淑な妻を演じたマーサ・スコットは、ワイラー監督の大作「ベン・ハー」では、ベン・ハーつまりチャールトン・ヘストンの母親役で出演していました。 |
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