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「逆転」 |
| 逆転 1963・米 | |
![]() 製作:バンドロ・S・バーマン 監督:マーク・ロブソン 原作:アービング・ウォーレス 脚本:アーネスト・レーマン 撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ 音楽:ジェリー・ゴールドスミス 出演:ポール・ニューマン エドワード・G・ロビンソン エルケ・ソマー ダイアン・ベーカー ミシュリーヌ・プレール ジェラール・ウリ レオ・G・キャロル ケビン・マッカーシー ![]() ![]() |
物語 ノーベル賞の受賞者の発表がヤコブソン伯爵(レオ・G・キャロル)によりなされた。 世界中から各界の受賞者がスエーデンのストックホルムのホテルに集結してきた。 その中の一人、文学賞に選ばれたアメリカのアンドリュー・クレイグ(ポール・ニューマン)は、実生活では酒飲みで女たらし、あまり評判は良くない。 彼の世話役はスエーデン外務省派遣の金髪美女アンダースン(エルケ・ソマー)だ。女たらしのクレイグが有頂天になるのも無理はない。 クレイグはホテルのカウンターで、物理学賞のストラトマン博士(エドワード・G・ロビンソン)と挨拶を交わした。 だが、そのストラトマン博士は、外出先で何者かに拉致されてしまう。 翌朝、各受賞者の記者会見が開かれた。そこでクレイグはスラストマン博士と再会したが、「始めまして」と言われ、戸惑う。・・・昨夜会った筈なのに? そして、ストラトマン博士の様子が何となく昨夜の彼と違うのだ。俺は、飲みすぎていたのかな・・・。 クレイグは記者会見で言った。「本が売れないので、偽名で探偵小説を書いて喰っているんだ」 クレイグの気まぐれな性格を知っているヤコブソン伯爵は気を揉む。 「本当の探偵になれるのでは?」記者の質問に、「こういうのはどうかな?誰もここに来た受賞者が本物と信じて疑わない。でも、偽者だったら?」 聞いていたストラトマン博士の表情に険しい変化があった。隣にいた博士の姪のエミリー(ダイアン・ベーカー)も同様だった。 バーで飲んでいるクレイグに電話が入る。「ストラトマンの件で、マルテン街40番地にすぐ来い」と、知らぬ人間からだった。 クレイグがその住所を訪ねると、部屋の中に胸を刺されて息絶え絶えの男が倒れていた。「モース・・・」と最後の息でもらして死ぬ。モース・・・“カモメ”。 カーテンの陰に人影がある。 その部屋から出て行く不審な男をつけて行ったクレイグは、あるビルの屋上から運河に突き落とされた。 命からがら、警察官同行でその部屋へ行くと、何事もない。死体もない。??? クレイグは鉄橋の上で不審な車に追われる。必死に逃げ込んだところはヌーディストクラブの会場だった。 クレイグも裸になり、大会に参加する。殺し屋風の男が二人、会場へ来て探している。「世界の人が神になった時、まず、どこを隠しますでしょうか・・・」裸の講義者にさんざんチャチを入れるクレイグ。会場は騒然となり、クレイグは駆けつけた警官に連れ出された。 ノーベル賞授賞式に向かうクレイグの車に男が乗り込んできた。「アンダースンを預ってる。授賞式ではよけいなことをしゃべるな」 会場に、アンダースンがいない。クレイグは“モース(カモメ)”を思い出す。貨物船のカモメだ。 会場を後にカモメに向かったクレイグは、カモメの船室にストラトマン博士と介護するアンダースンを見つけた。見張りの目を盗み、船から運び出される車の中に身を隠して脱出する。狭い車の中で抱き合ってクレイグはアンダースンに言った。「結婚しよう」 「偽博士はストラトマン博士のお兄さんよ。収容所で死んだ筈の・・・、東側に拉致され、洗脳を受けたの」アンダースンが説明した。博士の身代わりを授賞式に出し、米国を批判し、東側へ転向するように仕向けた陰謀であった。 会場の控え室では、心臓の弱ったストラトマン博士に医学賞の受賞者が電気ショックを施し、蘇生させた。 ノーベル賞の授賞式が始まる。国王臨席の元で次々に受賞者の名が呼ばれていく。「太陽エネルギーの転換利用法の研究により、物理学賞をストラトマン博士に!」 本物のストラトマンが壇上に現れた。偽博士の顔が驚愕に変わり、隙を見て場を去る。 階段を逃げる偽博士を殺し屋が追って来た。「違う!俺だ!」 殺し屋が偽博士を刺した。クレイグが駆けつけると、偽博士が変装をむしりとりながら「俺は、政治専門の役者だ。これが花道なのか・・・」息絶えた。 クレイグは殺し屋を追って屋上へ。格闘になり、追い詰められたクレイグが殺し屋を突き落とした。 「文学賞にアンドリュー・クレイグ氏!」 満場の拍手の中、少し遅れてクレイグが姿を現した。よたついている。 成り行きに気を揉んでいたヤコブソン伯爵はやっと胸を撫で下ろしたのである。 |
| 映画館主から コペルニクス的転回という言葉を借りるなら、これはまさに、ヒッチコック的転回であります。 事件のあった場所に警官を連れて行ってみると、そこには何事もないような細工が施されている。ヌーディストクラブの会場から脱出する手段など、ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」にそっくり。テンポはヒッチコックにかないませんが。 主人公のユーモラスな設定も、巻き込まれ型のドラマの展開もこれはまったくヒッチコックなのでした。 おまけに、ヒッチコック映画の常連、レオ・G・キャロルが時折画面を引き締めているのです。 脚本のアーネスト・レーマンは、「北北西に進路を取れ」の脚本家でもあります。やっぱりね! マーク・ロブスン監督は、カーク・ダグラス主演のボクシング映画「チャンピオン」’49年で注目され、以後、「脱走特急」’65年、「名誉と栄光のためでなく」’66年、「大地震」’74年などを手がけ、’78年に亡くなっています。 ポール・ニューマンは当時37歳。実際にひょうきん者らしく、デビュー当時似ていると言われたマーロン・ブランドを真似て、サインする時“マーロン・ブランド”と書いてしまうのだとか。 エドワード・G・ロビンソンは「十戒」や「シンシナティ・キッド」の名優。本物と偽者の二役ですが、同じ顔なのに微妙に善と悪を漂わせるのはさすが。 「暗闇でドッキリ」に先駆けて出演したドイツのグラマー女優、エルケ・ソマーのなんとも肉感的なこと。こんな女優とラブシーンができるポール・ニューマンにジェラシーを感じた私でありました。 |
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