| らせん階段 1945・米 | |
![]() 製作:ドリ・シャーリー 監督:ロバート・シオドマク 原作:エセル・ライナ・ホワイト 脚本:メル・ディネリ 撮影:ニコラス・ムスラカ 音楽:ロイ・ウェッブ コンスタンチン・バカレイニコフ 出演:ドロシー・マクガイア ジョージ・ブレント ロンダ・フレミング ゴードン・オリバー エセル・バリモア エルザ・ランチェスター セーラ・オルグッド ケント・スミス ![]() ![]() ![]() |
物語 ニューイングランドの町外れに古い舘があった。その舘の老婦人(エセル・バリモア)は、寝たきりの病に臥せっていた。 雇われ看護婦(セーラ・オルグッド)は、我儘な老婆に手を焼いていた。老婆は数年前から女中として働くヘレン(ドロシー・マクガイア)が可愛くて仕方がないのだ。このヘレンは、幼い頃、両親が火事で焼死するのを目の前で見てからショックで声が出なくなってしまったという苛酷な宿命を背負っていた。 世間ではこのところ、体の不自由な女ばかりを狙った殺人事件が続いていた。老婦人はヘレンに家へ帰るようしきりに勧めるのだった。しかし、ヘレンは老婆のところへ往診にくる若い医師バーリン(ケント・スミス)が好きになっていたのでこの家を去る気になれない。 この家には、学者で老婆の長男ウォーレン(ジョージ・ブレント)とその女秘書ブランシュ(ロンダ・フレミング)、酒飲みの家政婦(エルザ・ランチェスター)が住んでいたが、最近はヨーロッパからプレイボーイの次男スティーブ(ゴードン・オリバー)が帰ってきていた。 そしてスティーブは兄の秘書ブランシュと恋愛関係ができており、兄弟仲はギクシャクしていた。 老婆はヘレンに言った。「今度はお前が危ないよ。家に帰るのがいやなら私の部屋で寝なさい」 雷鳴が轟く嵐の夜、地下室で秘書のブランシュが殺された。 らせん階段を降りていったヘレンはブランシュの死体を発見し、驚愕する。 そこへスティーブが降りてきた。ヘレンの背筋が凍りついた。ヘレンはスティーブを地下室の一室へ閉じ込め鍵を掛けた。 ヘレンは事件を老婆に知らせようとするが声が出ない。警察官が来たがすぐに帰ってしまった。ヘレンが窓ガラスを叩いて知らせるが嵐の音で警察官には聞こえず行ってしまった。家政婦は酒を飲んでいて起きない。 若い医師に電話しようとするが、声がでないため交換手に切られてしまう。 学者の長男ウォーレンがヘレンに近づいて来た。その顔はいつもの学者の顔ではない。 「唯一お前を助けることができるスティーブをお前は閉じ込めてしまったんだ、観念しなさい。世の中に必要のない人間は死ぬのだ」 殺人鬼はウォーレンだったのだ。ヘレンはらせん階段を駆け下り、物陰に身を潜めた。 ウォーレンがらせん階段を降りてくる。地下室で閉じ込められたスティーブの声が叫ぶ。「ここから出してくれ」 ヘレンは開けようとするが、ウォーレンの魔の手が伸びてきた。再びヘレンはらせん階段を駆け上がった。ウォーレンが追ってきた。 その時、らせん階段の上に拳銃を構えた老婆が立っていた。ウォーレンは立ちすくんだ。 「やはり、犯人はお前だった。私は前から怪しいと思っていた」 老婆は長男を射殺した。老婆が倒れた。ヘレンはスティーブを地下室から出した。老婆は駆けつけたスティーブに言った。「ごめんなさい、スティーブ、犯人はお前だとばかり思っていたんだよ。お前が帰ってくるといつも事件が起きるんだもの・・・」 恐怖のどん底から解放されたヘレンが電話口で、叫ぶ。声が出た。 「バーリン先生!早く来て!」 ヘレンは幼い頃以来話せなかった自分の声を感動をもって聞いたのだった。 |
| 映画館主から 原作者のエセル・ライナ・ホワイトは、ヒッチコックの「バルカン超特急」(’38年・英)の原作者でもあります。 「らせん階段」は、体の悪い女性ばかりを狙う殺人者がヒロインに迫るというスリラーで、ヒロインは幼い頃の事件が原因で口が利けなくなっているという設定です。何故、犯人がそういう女性ばかりを狙って殺すのかという説明は映画の中では詳しくは明らかではありませんが、一種偏執狂的な犯人像ではあります。 雷鳴轟く嵐の夜、孤立した舘、ベッドに臥せる老婆、以外な犯人。 舞台は揃い、ラスト、聾唖のヒロインが窮地に立たされる展開はスリラー映画の古典となっています。 ロバート・シオドマク監督は、「殺人者」(’46年)で、サーカス団で鍛え上げたバート・ランカスターを映画デビューさせ、以後、「裏切りの街角」(’49年)、「真紅の盗賊」(’52年)でも主役で起用し、ランカスターを世界的な大スターへ導きました。 聾唖者のヒロインを演じたドロシー・マクガイアは、目と顔の表情だけで難しい役をこなし、ラストの恐怖を観客に感情移入させました。 翌年の「紳士協定」(’47年、エリア・カザン監督)でアカデミー主演女優賞にノミネートされました。 「らせん階段」はドロシー・マクガイアの代表作といえるでしょう。 ラストで犯人の自分の息子を射殺する老婆を演じたエセル・バリモアは眼光鋭く怖いです。寝たきり老人が拳銃を持って歩いてきたのですから、本作の意外性は本当はこの場面であったかも知れません。 |
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