「タイム・マシン」
タイム・マシン 1959・米
タイム・マシン

製作:監督:
    ジョージ・パル
原作:H・G・ウェルズ
脚本:デビッド・ダンカン
撮影:ポール・C・ボーゲル
音楽:ラッセル・ガーシア

出演:ロッド・テーラー
    イベット・ミミュー
    アラン・ヤング
    ホイット・ビッセル
    トム・ヘルモア


イベット・ミミューとロッド・テーラー

人食人種との戦い

タイム・マシン
物語

1900年の年明け早々のある日のことだ。
発明家ジョージ(ロッド・テーラー)の家に招かれた4人の友人たち。
予定の夜、8時になってもジョージが現れない。いらいらしながら彼らが待っていると、この家のメイド、ワチェット夫人がジョージの置手紙を持って来た。
『8時に戻らなければ先に食事を始めてくれ』 と書いてある。
招待した当の本人が約束の時間に遅れるとはけしからん、などと皆がぶつぶつ言いながら食卓についたその時、ドアを開けてジョージが現れた。

ジョージは服装はボロボロで、疲れ果てているように見える。いったい、ジョージに何が起こったのか。ジョージは訳を語り始めた。

あれは、今から5日前の1899年の大晦日の日だった。今日と同じメンバーの友人たちを自宅に呼んで発明家のジョージが自分の研究成果を披露したのだ。
テーブルの上に四角い箱が置いてある。これがジョージの言う『タイム・マシン』のミニチュアモデルなのだ。
「3次元の概念は解かるね」と、ジョージ。
「前と後ろ、それに上下を入れて3次元さ、世の中はすべてこれだ」友人たちは身振りで示した。
「それにもう一つ、時間軸を加えると4次元になる」ジョージは箱を開けた。
中に奇妙な形の乗り物のような模型がある。
「大型なら人間を未来や過去に運ぶことができる」 ジョージは自信に満ちて言った。
「信じられない、人は未来を変更できん」 と、友人たちは信じない。
「そこだ!人間は運命を制御できるか、未来を変更できるか」 ジョージが言う。「レバーを前に倒せば未来へ、後ろへ倒せば過去へ、強さでスピードが変る」 ジョージが皆の目の前でミニチュアのレバーを押した。すると、テーブルの上のミニチュアモデルがスッと消えてしまった。

「信じられん、どこへ行った?」友人たちは魔法でも見たような顔つきだ。
「どこへも行ってない、だが、現在は存在しない。未来へ行ったからだ」
「?・・・君の説が正しいとしても、その仕掛けが何の役に立つ?」
「仕掛け?私は未来に行ってみたいのだ」 友人たちは半信半疑のまま帰途に着いた。ただ、デービッド(アラン・ヤング)だけはジョージの研究に理解を示した。

ジョージは自分の部屋へ行くと、そこには既にタイム・マシンが完成しているのだった。運転席のバックには大きな回転盤が設置されている。ミニチュアとまったく同じ構造である。
ジョージは意気揚揚とマシンに乗り込んだ。レバーを前に倒す。回転盤が回り始め、周りの世界が変化していった。カタツムリが走り出し、花のつぼみが瞬く間に開く。太陽が東から西へ素早く動く。スピードを上げると昼と夜が点滅する。外のショーウインドーのマネキンの洋服がどんどん替わる。

メーターが1917年を示したところでマシンを止めた。
家の中は蜘蛛の巣だらけの廃屋となっていた。ジョージが外へ出ると、車でやって来たのはデービッドだ。ところがそれはデービッドではなく息子だった。
「父は戦死しました」 世の中は第一次世界大戦に突入していたのだ。
ジョージは再びタイム・マシンに乗り、レバーを押した。
周りの景色が瞬く間に変わっていく。メーターの表示は1940年。第二次世界大戦の最中だった。それからは世界の変化を眺めながらジョージは感嘆した。周りの景色が素晴らしい速度で近代化されていく。ビル建設のラッシュ。

1966年、様子が変だ。サイレンが鳴り響く。デービッドの息子が老人になっており、「早く逃げろ」と叫んでいる。そして遂に、核爆弾が地上を襲った。世界に何が起こったのか。人類はやはり最後のボタンを押してしまったのか。
ジョージはタイム・マシンに乗り込んだ。地殻が裂け、溶岩が襲ってくる。マシンの速度を上げ、強度の熱から逃げ延びたが、今度は周りを冷えた溶岩が囲い、閉ざされてしまった。いつかはこの岩石から外に出られるだろう。

そして、やがて時が流れ、マシンがたどり着いたのは80万年後の世界だった。ジョージは外に踏み出した。マシンの前にスフィンクスのような巨な像が建っていた。その周りは楽園のような緑したたる自然が広がっている。
巨大なドームがある。誰もいない。
やがて森の中で日光浴を楽しむ若者たちを見つけた。
悲鳴が聞こえた。河が流れており、今しも若い女性が溺れそうになっている。誰も助けようとしない。ジョージは河に飛び込み女性を救出した。いったい、この世界はどうなっているのであろうか。人々は総てに無関心で無気力に見える。
ジョージが助けた女性はウィーナ(イベット・ミミュー)という名の可憐な女性だった。仲間のことをイーロイというらしい。ここでは何故か年寄りがいない。政府もなければ法律もない。そして、仕事もない。本もない。

書庫のなごりへ行くと、本らしきものは手を触れるとボロボロと崩れるのだった。
「何ということだ!人類の文化の結晶だぞ!100万年も必死で夢を追ったのは何の為だ!」 ジョージは嘆く。
「私は、もとの世界へ帰るぞ!彼らは無駄な努力をしているかも知れないが、まだ人間らしい」 
しかし、マシンが消えていた。スフィンクスの扉の中へ引きずり込まれた跡がある。扉は固く閉ざされていた。

『・・・私は、戻って人類の進歩を伝えたい。だが、ここで発見したのは、人間ではない。生きている植物だ!・・・』
原っぱに幾つも穴が開いている。そこから地下の世界に通じているらしい。
イーロイたちが知識を得ている、リングを見せられた。リングがテーブルの上で回っている間、不思議な声が過去の歴史を語るのだ。様々なリングが書物の役目を果たしているのだった。
ジョージはリングから回答を得た。人類はある時から、地下に生きるモーロックと地上に生きるイーロイに分かれたのだ。モーロックはイーロイを家畜のように扱い、大人になるとどこかへ連れ去るのである。

サイレンが鳴り響く。イーロイたちは夢遊病者のように歩いて行く。ウィーナも彼らと共に歩いて行く。イーロイたちはスフィンクスの中へ吸い込まれるように入って行く。
ジョージは原っぱの穴から地下へ潜入した。そこは巨大な地下世界だった。そして、ジョージは見た!夥しい人骨の山を!それはモーロックの人喰いの悪習の残骸であった。イーロイたちに年寄りがいない訳だ。イーロイはある年齢になるとモーロックの食用とされるのだった。

ジョージは火を使いモーロックたちと戦う。そして、地下のイーロイたちを穴から脱出させると、穴の中へ一斉に木切れを投げ込んだ。地下世界は火攻めで爆発し、陥没していった。
「君を私の時代へ連れて行きたい」 ジョージはウィーナに言う。だが、肝心のマシンが・・・。
ジョージがスフィンクスの前に行くと、なんと扉が開いている!タイム・マシンがあった。ジョージ、すかさずマシンに飛び乗る。ウィーナが走るが扉は閉まってしまった。マシンに乗ったジョージは生き残りのモーロックたちに襲われた。反撃しながらジョージはレバーを倒した。
タイム・マシンは速度を増して過去へ戻っていく。そして、遂に1900年の年明け早々のジョージの庭にいた。家の中では、ジョージに招かれた友人たちが待っていたのである。

ジョージの長い物語を聞いても友人たちは半信半疑だ。
「こんな馬鹿げた話は初めてだ。常識はずれだ」
ジョージは服のポケットから花びらを取り出した。80万年後の世界でウィーナからもらったものだ。花に詳しいデービッドはそれを見て言う。「この花は冬には咲かない筈だ・・・!?」

友人たちはてんでに帰途に着いた。
最後まで残っていたデービッドは言った。「戻ってくれて嬉しいよ、ジョージ」
ジョージは言った。「永遠に変らぬ友情を有難う・・・」 
いったんは帰りかけたデービッドは、ジョージの意味ありげな言葉が気にかかり、引き帰すと、変な機械音がジョージの部屋から聞こえてきた。デービッドがドアを破ると誰もいない。外の庭から何かを部屋の中へ引きずってきた跡があった。
「・・・読めたぞ!」 デービッドは不安げなワチェット夫人に言った。
「ジョージが80万年後の世界にいた、マシンがあの庭の位置だった。その時、ウィーナはこの部屋の位置に立っていたんだ。ジョージは又、80万年後の世界に行った。イーロイの新世界建設を手伝い、自分の世界を作るために!」
「彼女と二人で?・・・戻ってくるんでしょうか?」
「・・・予想もつかない、なにしろ、全世界の時間が彼のものだからね・・・」
映画館主から

いわゆるタイムマシン映画のハシリともいえる作品です。
「バック・トゥー・ザ・フューチャー」や「猿の惑星」などのようにマシンの方が動くのではなく、マシンは同じ位置のままで回りの世界が未来に過去にと変化するというのがこの作品の面白いところです。

それにしても、マシンから見える外のショーウィンドウのマネキンが何十年経っても同じマネキンというのは少し変な気がします。
80万年後の世界は類人猿のような食人種に支配された世界だった。その食人種の住む地下洞窟に主人公が忍び込むところは「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(’84年)の乗りであります。

主人公の青年発明家に「鳥」(’63年)のロッド・テーラー。80万年後の世界で出会う娘に可憐なイベット・ミミューが扮します。主人公の友達役で後年の人気テレビ・シリーズ「タイム・トンネル」で所長を演じたホイット・ビッセルが出ています。

監督のジョージ・パルは、「親指トム」(’58年)や「謎の大陸 アトランティス」(’61年)などの監督も勤め、製作者としても、「月世界征服」(’50年)、「地球最後の日」(’51年)、「宇宙戦争」(’53年)などといったSFを中心に製作しています。
あの「黒い絨毯」(’54年、チャールトン・ヘストン主演)も彼の製作でした。

ひょっとしたら、『懐かしの映画館 近松座』も、昔の懐かしい映画の旅への『タイム・マシン』かも・・・!。

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