「大脱走」
大脱走 1963・米
大脱走

製作:監督:
    ジョン・スタージェス
原作:ポール・ブルックヒル
脚本:ジェームズ・クラベル
    W・R・バーネット
撮影:ダニエル・L・ファップ
音楽:エルマー・バーンスタイン

出演:スティーブ・マックィーン
    ジェームズ・ガーナー
    リチャード・アッテンボロー
    ジェームズ・コバーン
    チャールズ・ブロンソン
    デビッド・マッカラム
    ドナルド・プレゼンス
    ハンネス・メッセマー

デビッド・マッカラム(左)とチャールズ・ブロンソン

脱走しては独房へ入るマックィーン

バートレット(リチャード・アッテンボロー)は列車で逃げる

撃たれたドナルド・プレゼンスとジェームズ・ガーナー

バイクをぶっ飛ばすマックィーン

大脱走
物語

ドイツの北部、第三捕虜収容所に連合軍空軍の捕虜が何台ものトラックで送り込まれてきた。彼らは脱走の常習犯たちで20回も脱走を図った者もいる。
来た早々、トンネル掘りの名人、ダニー(チャールズ・ブロンソン)は、「森までは60メートル、いや90メートルか、長いな」と、早くも計画を頭で計算した。
そこは周りを鉄条網で張り巡らせた広大な収容所だった。所々に設置された監視塔からはドイツ兵が銃を構えて見張っている。

ルーガー所長(ハンネス・メッセマー)は、連合軍捕虜の指揮官ラムゼイ大佐(ジェームズ・ドナルド)に言い渡した。
「過去4年間、我が軍は脱走捕虜の再収容に多大な兵力と時間を費やしてきた。この収容所は脱走経験者ばかりを収容するために作った。脱走は許さん」
ラムゼイ大佐は、「ありがたい心遣いだ。だが、脱走は全将兵の義務だ。何度失敗しようとも脱走を企てる。それが我々に残された唯一の任務である」と言い返す。
「腐った卵はひとつの籠に入れて見張るのだ。ここにはスポーツ、図書館、娯楽室がある。園芸用具も貸す。そういうことにエネルギーを使うことだ」ルーガー所長は言い放った。

ヒルツ大尉(スティーブ・マックィーン)は、ボールを鉄条網まで転がし、取りにいったところで、監視塔からの銃撃を足元に喰らった。
「何をしている」駆けつけたルーガー所長に、「脱走しようとしていたんだ」と、ヒルツ。独房20日間の罰。
仲間のアイブスもドイツ兵をからかった罰で独房20日間。

ゲシュタポがバートレット(リチャード・アッテンボロー)を収容所に連行してきた。バートレットはこれまでに多くの脱走を指揮してきた男だ。
「今度、脱走して逮捕されたら銃殺だぞ。分かってるな」ゲシュタポは捨て台詞を残して去った。
しかし既にバートレットは脱走を計画していた。ラムゼイ大佐に言う。
「かってなかった大規模な脱走をやります。200〜300名をドイツ中に散らす」

「森に一番近いのは104号棟と105号棟だ。第一トンネルは105号棟から東に向けて掘る。100メートルある。縦に9メートル掘り、横へ進める。これで音は消せる」関係者を集めてバートレットが力説する。
さっそく、役割が分担された。洋服屋、道具屋、調達屋。
トンネル掘りの名人、ダニーはストーブの土台を偽装し、下穴を彫り始めた。

独房から出てきたヒルツとアイブスはまったく別の脱走計画を立てた。監視塔の死角を見つけ、鉄条網の地面を1メートル掘ってそこから向う側へ抜け出すというものだ。
そして実行し、失敗。再び独房へ逆戻り。

トンネル掘りは進んでいく。掘った土の処理は服の内側に隠した袋に入れ、外でズボンの中から捨てるという根気のいる作業となる。
トンネル内に空気を送るダクトとふいごを器用なセドウィック(ジェームズ・コバーン)が作った。
ヘンドリー(ジェームズ・ガーナー)はドイツ将校と仲良しになったふりをして、隙をみて身分証明書、切符などを偽造した。

バートレットはヒルツに要請した。「一人なら脱走できる。君は脱走して森の外の地理情報を得てきてくれないか」 「つまり、脱走して又戻れと?」 「そうだ」
一旦は断ったヒルツだが、トンネルの一つがドイツ軍に見つかり、自棄を起こして鉄条網をよじ登り逃げようとしたアイブスが銃殺されるに及んで、バートレットの要求を聞き入れるのだった。

トンネルはあと二つ残っている。「ハリー」と名づけられたトンネル掘りが昼夜交代で断行された。落盤が相次ぐ。トンネルの支柱とする材料のため、壁の板、ベッドの下板、天井の板とあらゆる板が投入されていく。
トンネル掘りの名人ダニーは狭所恐怖症なのだ。いざ、全員が脱走となった時、パニックを起こし迷惑をかけないかと悩むのだった。

そんな夜、ヒルツが鉄条網を破って脱走した。しかし、まもなく捕まり、独房入り。しかし、ヒルツはバートレットの要求どおり森の外側の地理をつかんできたのだった。

やがて、トンネルは完成にこぎつけた。ヒルツも独房から出てきて、いよいよ決行の夜がきた。監視塔のライトを避けてトンネル「ハリー」の棟へぞくぞくと集まる捕虜たち。まず、ヒルツがトロッコでトンネルの先端まで行く。そこから僅かに残された縦穴を地表へ抜く。地表へそっと顔を出し、周りを見ると、何と、森まではまだ6メートルもあった。銃を構えた歩哨が歩いているのが見える。
しかし決行するしかない。ヒルツの合図で一人づつ地表へ抜け出し森の中へ走った。76名が脱出した時、物音に気付いた歩哨がやってきてトンネルが発覚してしまった。ドイツ軍はただちに脱走者に追ってを差し向ける。

列車に乗るバートレットとマクドナルド、そしてアシュレイ(デビッド・マッカラム)。自転車を盗み、のんびり田園を走っていくセドウィック。ボートに乗り湖へ漕ぎ出すダニー。ヘンドリーは目の見えないプライス(ドナルド・プレゼンス)をかばいながらの逃走だ。そして、ドイツ兵のオートバイをかっぱらい爆走するヒルツ。
脱走者たちはてんでに散っていった。しかし、ドイツ兵とゲシュタポの追求は甘くはなかった。
その多くは逮捕され、あるいは銃殺された。指揮者のバートレットも逮捕され、トラックで運ばれる途中で降ろされた。そして50名が機関銃の餌食になった。

オートバイで国境越えを図ったヒルツも鉄条網を越えることができなかった。収容所ではラムゼイ大佐に死亡者の名簿が手渡された。ラムゼイ大佐は苦渋に満ち、残った捕虜たちに死んだ者のの名前を発表した。
そこへヒルツが戻ってきた。そして又しても独房へ入れられた。そのうち、ヒルツの独房からは壁にボールをぶつける音が聞こえてくるのだった。
映画館主から

「OK牧場の決闘」(’57年)、「ゴーストタウンの決闘」(’58年)、「ガンヒルの決闘」(’59年)の決闘三部作や、「荒野の七人」(’60年)で切れ味の良い西部劇を作りつづけてきたジョン・スタージェス監督が、実話の原作を元に描いた脱走劇です。

原作は元イギリス軍将校でドイツ軍捕虜だった、ポール・ブルックヒルによる脱走記録「大脱走」で、大ベストセラーとなりました。収容所の外にある森の位置まで100メートルも地下トンネルを掘り、250人もの捕虜を脱走させるという大胆不敵な計画と実行。逃げる連合軍捕虜たちとそれを追うドイツ軍、まさに全編スリル万点。

「荒野の七人」で人気者となったスティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンの3人を再起用し、更に「噂の二人」(’61年)のジェームズ・ガーナー、「ナポレオン・ソロ」シリーズのイリヤ・クリヤキンことデビッド・マッカラムと、豪華な顔ぶれです。
又、大脱走を指揮するバートレットにイギリスの名優で後に「遠すぎた橋」(’77年)や「ガンジー」(’82年)で監督も手がけるリチャード・アッテンボローが加わります。近年の「ジュラシック・パーク」(’93年)の博士役です。
それに、多くの映画の常連、スキンヘッドのドナルド・プレゼンスと、主役級の俳優ばかりです。

実生活ではアマチュアのオートバイレーサーだったスティーブ・マックィーンがオートバイで爆走するシーンは見せ場の一つ。
マックィーンは後年、「パピヨン」(’73年、フランクリン・J・シャフナー監督、ダスティン・ホフマン共演)でも脱獄を繰り返す役で主演していました。

果たして大脱走は成功するのか。逃げおおせる者、逮捕される者、銃殺される者と運命の分かれ道が明暗を分けますが、見終わった後にはスポーツ観戦の後のような爽快感が残ります。

今となっては、マックィーン、コバーン、ブロンソンと亡くなってしまい、映画の中でしか会えません。寂しい気がします。

エルマー・バーンスタインの軽快なテーマ曲も大ヒットしました。

参考文献:「週刊20世紀シネマ館 NO.10」 講談社

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