「殺人者たち」
殺人者たち 1964・米
リー・マービン

製作:監督:
    ドン・シーゲル
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
脚本:ジーン・L・クーン
撮影:リチャード・L・ローリングス
音楽:スターーレー・ウィルソン

出演:リー・マービン
    ロナルド・レーガン
    アンジー・ディッキンソン
    ジョン・カサベテス

   クルー・ギャラガー

    「殺人者たち」のリー・マービンとロナルド・レーガン(左)

殺人者たち
物語

ある盲学校へ乗り込んできたサングラスの男、チャーリー(リー・マービン)とリー(クルー・ギャラガー)は、教師のジョニー(ジョン・カサベテス)を撃ち殺した。
二人は殺し屋だった。2万5000ドルでジョニーの殺しを依頼され実行したのだが、あまりに簡単にことが運んだことが何故か納得がいかない。ジョニーは逃げようともせず、無抵抗で撃たれたのだ。
「リー、今までに何人も殺したが、相手は皆逃げようとした」とチャーリー。
「彼は逃げなかった・・・」とリー。「奴は銀行強奪の仲間の一人だった。100万ドルは持っていない・・・ということは、殺しの依頼者が持ってるということだ」

チャーリーとリーは、車整備工のシルベスターを脅し、ジョニーの過去を聞き出す。シルベスターはかってレーサーだったジョニーの相棒だった。
シルベスターは語った・・・。

レーサーで活躍していたジョニーにある日、シーラ(アンジー・ディッキンソン)という女が近づいて来た。ジョニーは魅力的な彼女にひと目惚れしてしまった。だが、彼女のバックにはパトロンのブラウニング(ロナルド・レーガン)がいて常に目を光らせているのだった。

あるレースで事故を起こしたジョニーは奇跡的に一命を取り留めたが、レースに出る資格を剥奪され自棄になっていた。そんなジョニーにシーラは熱い接触を迫りジョニーは再び燃え上がった。ジョニーの相棒のシルベスターの忠告も無視してシーラに入れ揚げるジョニーだった。

ブラウニングはある計画を練っていた。現金輸送車を襲い、100万ドルを奪うというものだ。その計画を実行に移すには腕のいいドライバーが必要だった。
シーラが目をつけたのがレーサーのジョニーなのだ。彼の運転の腕前を見たブラウニングは決行を決意した。「ただし、殺しは主義に反するからしないことだ」

チャーリーとリーの二人の殺し屋は、ジョニー殺しの依頼者であるブラウニングの事務所へ乗り込んだ。ブラウニングはいまや『ブラウニング開発』の社長になっている。
「100万ドルはどこにあるんだ?」とチャーリーがサイレンサーを構えた。
「ジョニーが金を持ち逃げした。シーラも行方不明だ」
「お前は知ってる筈だ。女に電話するように伝えろ。変な真似はするな」
「・・・・」

はたして二人の殺し屋のホテルへシーラからの電話が入った。
シーラのホテルへ急行した二人は脅しをかけた。リーがシーラの横面を張り飛ばし、窓から落とそうとした。シーラは顔面蒼白となり、話し出した。
「襲撃の前夜、ジョニーの部屋へ行ったわ・・・」


現金強奪決行の前夜。
シーラがジョニーの部屋へやってきた。「命がけで来たの。ブラウニングはただ働きさせる気よ」 「え!」 「お金を奪った後、車の中は彼と貴方の二人きりよ。100万ドルとね」 「そうか!」 「殺しては駄目よ」 「殺さない」 「愛してるわ」

現金強奪決行の日。
現金輸送車の通る田舎道に警官に化けたブラウニングとジョニーが『この先、工事中』のたて看板を用意して待っていた。
時間ピッタリに現金輸送車がやって来た。二人が迂回道を示すと輸送車は素直に従った。今度はその道に立て看板を立て、パトカーに見立てた車でジョニーの運転で追う。元レーサーのジョニーの運転はたちまちのうちに現金輸送車を追い越した。その先に仲間の車が待っていた。2台の車が道を塞ぐ。そこへ現金輸送車がやって来た。
ブラウニングとジョニーは輸送車に近づきピストルを構えた。仲間たちも銃を構えた。
現金の入った袋をパトカーに積み込むとブラウニングとジョニーは走り去る。後は仲間たちが始末をつける段取りだ。

パトカーの中でブラウニングは言った。「お手柄だ、ジョニー」 その時、運転手のジョニーの手にピストルが握られていた。「ドアを開けて降りるんだ」
走る車から転がり落ちるブラウニング。
ジョニーは待っていたシーラと抱き合う。ジョニーは100万ドルをシーラと共に手にしたのだ。

その後、モーテルの部屋へ行った二人を待っていたのは、「裏切りの報いだ」ピストルを構えたブラウニングだった。なんとシーラはブラウニングの元へ走る。そして、「早くやって」と顔をそむけたのだ。「バン」銃声がジョニーを襲った。腹に銃弾を受けたジョニーは断崖の方へ逃げた。ジョニーを見失ったブラウニングはシーラに言う。「まあいいさ、いづれ見つけて殺し屋を差し向ける」
断崖の淵で、ジョニーはその声を断腸の思いで聞いていたのだ。

「それで霧が晴れた。ジョニーが殺される時、泰然としてたのは既に死んでいたからさ。4年前にあんたが殺したんだ」 チャーリーは言った。
シーラを連れ、ホテルを出ようとした時、ホテル玄関の前に乗りつけた車がある。シーラ、とっさに逃げる。車の中から銃声がし、リーが倒れ、チャーリーは脇腹を撃たれた。

高飛びしようと金をバッグに詰め込むブラウニングとシーラの前に現れたのは車で追ってきたチャーリーだった。脇腹から血が滲む。手にサイレンサーが握られていた。
「無駄だ、逃がさんと言ったろ・・・」 サイレンサーはブラウニングを続いてシーラを倒す。現金が詰まったバッグを手に外にふらり出てきたチャーリーは仰向けにひっくり返り、そのまま動かなくなった。
映画館主から

ドキュメンタリー映画出身のドン・シーゲル監督の切れのいいハードボイルドの傑作。原作は文豪アーネスト・ヘミングウエイの短編小説。

この映画の成功でそれまでの低予算の西部劇やアクション映画を脱し、「ダーティー・ハリー」(’71年、クリント・イーストウッド主演)や、「ラスト・シューティスト」(’76年、ジョン・ウェイン主演)などの大ヒット作を手がける一級の監督となります。
本作も殺し屋があまりに簡単に元レーサー殺しを成し遂げたことから来る疑問に端を発し、関係者からの話、つまり回想がテンポ良く進行していきます。そして、主な登場人物が全て死んでしまうという、凄い内容です。

主演の殺し屋チャーリーにあくの強さでは人後に落ちないリー・マービン。彼は、「リバティ・バランスを射った男」(’62年)など悪役が多いのですが、傑作西部劇「キャット・バルー」(’65年)では、善玉と悪玉の二役に挑み、見事アカデミー主演男優賞に輝いています。

レーサー役に監督作品「グロリア」(’80年)でも知られる個性派俳優、ジョン・カサベテス。彼を恋の虜にして悪の道へ誘う悪女シーラにアンジー・ディッキンソン。これはかなり魅力的。
更にそのパトロンで現金強奪計画のボスに後にアメリカ第40代大統領となるロナルド・レーガンが扮します。ロナルド・レーガンは2004年6月6日、93歳で世を去りましたが、アメリカ歴代の大統領の中でアメリカ国民から最も親しまれた大統領だったとのことです。

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