| ノートルダムのせむし男 1939・米 |
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![]() 製作:パンドロ・S・バーマン 監督:ウィリアム・ディターレ 原作:ビクトル・ユゴー 脚本:ソーニャ・レビン 撮影:ジョゼフ・H・オーガスト 出演:チャールズ・ロートン モーリン・オハラ エドモンド・オブライエン セドリック・ハードウィック トーマス・ミッチェル アラン・マーシャル ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 15世紀のパリはルイ11世の統治下にあった。ノートルダム寺院の鐘つき男カジモド(チャールズ・ロートン)は生まれつき背骨が突き出たせむしであった。おまけに顔が異様に変形しており、誰もが恐れおののいて近寄らなかった。 彼は捨て子であった。20年以上前、寺院の階段に捨てられていたのをフロロ伯爵(セドリック・ハードウィック)が拾い上げ、兄の僧正に託したのである。 カジモドは鐘つき男として寺院をねぐらにしていたが、僧正には良く懐いていた。しかし、フロロ伯爵の厳格で冷たい性格を嫌い恐れていた。 ある日のこと。パリ市中にジプシー娘エズメラルダ(モーリン・オハラ)が禁を破り現れたことから物語が始まる。 役人に追われノートルダム寺院に逃げ込んだエズメラルダは僧正に匿われた。フロロ伯爵はエズメラルダを人目みてその美貌に心を奪われる。 だが、鐘楼に上がりカジモドを見た瞬間、エズメラルダは外へ逃げ出した。伯爵はカジモドに女を追わせた。 エズメラルダがカジモドに捕らえられたのを目撃して大声を上げたのは以前彼女を見て思いを寄せていた放浪詩人グランゴアル(エドモンド・オブライエン)であった。 カジモドを馬で追いエズメラルダを救ったのは市中警護の将校フィーバス(アラン・マーシャル)である。その男らしさにエズメラルダは夢中になるのだった。 この罪でカジモドは広場で鞭打ちの刑に処せられた。鞭打たれたカジモドは群衆から石を投げられた。そのカジモドにそっと近づき水を飲ませるエズメラルダ。カジモドは今まで人間らしい扱いを受けたことが無かった。その崩れた容貌に涙が滲んだ。 エズメラルダは乞食集団に引き取られて生活していた。乞食頭クロバン(トーマス・ミッチェル)は豪放快楽な男だったがエズメラルダには優しかった。 そこへ迷い込んできた放浪詩人グランゴアルが私刑にされかかっていた。 「結婚する者は私刑にはしない」 クロバンが言った。グランゴアルの首に縄が掛けられた。その時だ。「結婚するわ」 グランゴアルの前に歩み出たのはエズメラルダだった。グランゴアルは信じられない思いと喜びで混乱しながら彼女を見た。 しかし、エズメラルダの心を占めているのは将校のフィーバスの存在だった。ある夜、祭りでエズメラルダに近づいたフロロは言った。 「お前に会った瞬間から好きになった。お前は私のものになれ」 愛の告白だった。しかし、エズメラルダはそれを無視し。ジプシーの踊りを踊る。 将校フィーバスはエズメラルダを見ていた。暗闇に誘い抱擁した。エズメラルダは夢心地だった。 叫び声が起きたのはその時だ。「人殺しだ」 気がつくとエズメラルダはナイフを持っており、傍らに将校のフィーバスが死んでいた。 エズメラルダは捕らえられた。裁判に掛けられ絞首刑が宣告される。エズメラルダの無実の訴えは聞き入れられない。 だが、実は嫉妬に狂ったフロロがフィーバスを刺し、エズメラルダに罪を被せたのである。 フロロは兄の僧正に告白していた。しかし、僧正としては裁判の結果をいかんともしがたい。 ノートルダム寺院の広場の絞首台にエズメラルダが登る。彼女は死を覚悟している。グランゴアルは嘆いた。群集は広場狭しと詰め掛けていた。エズメラルダの首に縄が掛けられた。 その時、ノートルダム寺院の上からカジモドがロープで絞首台に現れ、役人を突き飛ばすとエズメラルダをさっらって寺院に戻った。 「聖域だ、聖域だ!」 カジモドが叫び笑った。 鐘楼の上にエズメラルダを匿い食事の世話をするカジモド。聖域であるノートルダム寺院には官憲も近づけない。僧正の元にルイ11世(ハリー・ダベンポート)もやって来た。 「お前は真犯人を知っておるな」 ルイ11世は僧正に言った。その場にいたフロロは「私が殺したのです」 そう言って立ち去った。 「追え!フロロを逮捕せよ!」 ルイ11世が叫ぶ。 クロバンと乞食集団が寺院の下に押し寄せた。エズメラルダが危険にさらされていると思ったからだ。扉を柱で壊そうとしていた。 上から見ていたカジモドは彼らの頭上に木材や石材を投げ落とした。群集は逃げ惑った。クロバンは石に頭を落とされ倒れる。 溶けた鉛の釜をひっくり返したから下にいた乞食集団はたまらない。蜘蛛の子を散らすように散っていく。 フロロが鐘楼の上にいたエズメラルダを追っていた。カジモドはフロロを捕まえ鐘楼から投げ落とした。 やがて下に降りてきたエズメラルダを見てグランゴアルは虫の息のクロバンにエズメラルダの無事を告げるとクロバンは安心して息を引き取った。 僧正がエズメラルダに言った。「お前を助けたのはカジモドとグランゴアルだ」 エズメラルダはグランゴアルの胸に飛び込んだ。これで二人は晴れて夫婦になったのだ。 グランゴアルが広場の群集に叫ぶ。 「ジプシーのパリでの生活が認められたぞ!」 グランゴアルがルイ11世に書いた嘆願書をルイ11世が認めたのだ。 「うぉー!」 群集が沸きかえった。 エズメラルダとグランゴアルは群集と共に広場から去っていく。ノートルダム大聖堂の鐘楼からそれを眺めるカジモドは寂寥感に襲われていた。 「あの娘が好きだった・・・でもこの俺には・・・恋なんて・・・」 |
| 映画館主から フランスの文豪ビクトル・ユゴー原作「パリ聖母寺」の映画化。 醜悪な容貌をしたノートルダム寺院の鐘つき男カジモドのシプシー女に対する純粋な愛情を軸にスペクタクルな群集劇に昇華した傑作。 私が最初に見たのは中学生の時のテレビ放映でした。ラストでせむし男が寺院の上から材木や石材を下に投げ落とすシーンが記憶に残っていました。 今やDVDが500円で買える時代になり、50年ちかくたって再見することができました。 せむし男カジモドを演ずるのは名優チャールズ・ロートン。特殊メイクの奇怪な風貌は40歳のとき。 後年の「情婦」や「スパルタカス」では彼ならではの味わい深い演技を見せてくれました。 カジモドが思いを寄せるジプシー女にまだ19歳の若きモーリン・オハラ。後にジョン・フォード映画の常連女優となり、男勝りの気の強いところを演じています。 フロロ伯爵を演ずるのは1934年にイギリス王室から「サー」の称号を受けた英国俳優サー・セドリック・ハードウィック。鋭い眼光、圧倒的な風格で見る者を捉えて離さない重厚な演技は後年多くの大作映画に欠かせない俳優でした。 「リチャード三世」(’55年) 、「トロイのヘレン」 (’55年) 、「十戒」(’56年) などなど。 更に詩人グランゴアルは若き日のエドモンド・オブライエンでした。まだ24歳です。DVDで見た時私は誰か分かりませんでした。あの「終身犯」(’61年)や「ミクロの決死圏」(’66年)のエドモンド・オブライエンが若いとき、結構なハンサムボーイだったとは驚きでした。 あと乞食頭に「駅馬車」(’39年)ベテランのトーマス・ミッチェルとくれば演技陣に不足はありません。 モノトーンの画面はまるでエッチングの芸術作品のように美しく、大聖堂の群集は「天井桟敷の人々」(’45年・仏)に匹敵するほどの迫力でありました。 「ノートルダムのせむし男」は何度か映画化されており、本作の前に1923年、ロン・チャニー主演で、後には1956年にアンソニー・クィン主演で映画化されています。1996年にはディズニーのアニメ「ノートルダムの鐘」が記憶に新しいところです。 |
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